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スラッカンはスッカラカン

2007-12-08 21:01:28 | 日記・エッセイ・コラム

 会社の「先輩から後輩」ルートで、観劇券を譲り受け、久しぶりに妻と劇を観る機会に恵まれた。
Photo テレビで、すっかり夢中になって見ていた「チャングムの誓い」。
 この舞台は、韓国で上演されたミュージカル「大長今」を、日本の舞台演劇用にしたもので、菊川怜が主演する。
 予備知識を持っていないと、李氏朝鮮時代の宮廷用語や組織名、官職名が分かりづらい。ストーリーも知っていないと、3時間の舞台に凝縮された話の展開が理解しにくい。ストーリーを知った上で観ると、脚本家の苦労と才能をかいま見ることが出来て見応えがある。
  菊川怜も、上手い下手はともかく、チャングムのひたむきさが伝わる演技だ。秀逸は、前田美波里。凄い存在感があり、部台映えのする容姿は、際だっていた。

 テレビ版で不思議に思ったことは、気にしないほうがよい。
 王様は老けて弱っていくのに、チャングムや他の女官は変わらない。これは大河ドラマでは常識となっていることだからよしとしよう。しかし、長官に到っては、最初から初老のまま、年を取らずに数十年仕えている不思議。
 カンドックおじさんの息子が、いつの間にか出てこなくなって、話題にもならない不思議(物語の終わり頃、死んだ息子がいたとする台詞があったが)Photo_2
 都は明らかに田舎村だ。宮殿と、高官の屋敷門以外は、村の小屋風建物しかない不思議。
 宮殿の医務局では、肩どころか、体を触れ合わせなければならないほど窮屈な会議場面の滑稽さを伴う不思議。
  
 日生劇場の舞台では、暗転の場面切り替えが手際よく、観ている側も気持ちの切り替えが容易だった。ただ、王様から御下問を受ける場面で、王宮の中に、スリッパが片方だけ置いてある不自然さに首をかしげた。舞台係か、その前の出演者のスリッパが脱げて置かれたままになっていたのだろう。白いスリッパだから女官の物だろう。出演者も気になりながら演技していたと思う。

 王の食事を賄う厨房の役所名を水刺間(スラッカン)、そこを治める長を最高尚宮(チェゴサングン)という。その直下に複数の尚宮(サングン)がいて、その下に大勢の女官がいる。サングンは個人の姓を付けてチェ・サングン、ハン・サングンなどと呼ぶので、初めの頃は、チェゴサングンもチェゴさんなのかと思った。姓を付ければチョン・チェゴサングンとなるので、格が違うということが分かる。
Photo_3 ネグミのミン・ジョンホなどの言葉が出てくる。うっかりすると、「め組」と勘違いして、北島三郎が纒(まとい)を持って出てくる「暴れん坊将軍」の場面を想像する。ネグミ(内禁衛)は、王を守る武官の役所名だ。
 このくらいの知識を持っていないと、劇も半分くらいしか理解できない。
 
 料理研究家を称する妻でも、とてもチェゴサングンにはなれない。食材に関する広い知識で、名産品、特産品を求め、王の健康を優先した献立を考え、そして、すぐれた味覚で、美味しいものを作る。
 特産品でなく特価品を求める妻には、王様を満足させることが出来ない。仕入れ業者も、「ポイントが何点付くか」で選ぶから、水刺間(スラッカン)には、そぐわない。
 「今日は、ポイントが5倍だってさー!」と買いすぎて、財布が空っぽ、スッカラカンになることも、しばしば。私の財布を取り上げることも、ちょいちょい。

 観劇の帰り道。妻に
 「スラッカンのチェゴサングンは無理なので、スッカラカンのオバサングンに任命する」と伝えた。


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