デジタル写真が主流になってしまい、暗室作業など、全く必要なくなってしまった。
納戸を暗室に改造、二階のトイレを、フイルムや印画紙の水洗場兼用にしたのは30年も前になる。7年前の立て替えを機に、正式な暗室を作るか、迷ったが、結局止めた。
現像・焼き付け・引き延ばしの「DPE」は手間がかかる。現像液などの薬品を作り、その保管にも気を遣う。一枚の写真を作るまでの時間と工程。そして暗室などの場所の確保。課題は多い。
撮影も、露出を決め、構図を決め、失敗のないように注意しながら撮る。結果は、現像するまで分からない。
デジタル写真は撮ったらすぐ確認できる。取り消して撮り直しもできる。構図も後で更生が可能だから、とにかく数多く撮るに限る。
覆い焼き、増感(減感)現像など、テクニックを駆使して、写真に個性を出せるのが、自前DPEの良さだ。
しかし、デジタル写真は、大幅な写真の加工が出来るし、暗室が無くても、パソコンさえ達者に扱えれば、誰でも可能だ。
私が、暗室作業を始めたきっかけの一つで、もしかしたら最大の理由かも知れない、「町の写真屋さんやラボに出せない(頼めない)写真」を焼く、という目的があった。
そのような需要は、かなり多かった。友人や、そのまた友達から、持ち込まれた未現像のネガや現像済みのネガ。趣味?と実益を兼ねた、小遣い稼ぎが可能だった。
ひところ、ポラロイドカメラの需要は、かなりの部分を「写真屋さんに出せない写真」を撮ることが目的だったと認識している。これは、私が商売上?の経験で感じたものだ。
どこで手に入れてくるのか、友人たちが持ってきた写真やネガ。暴力団関係の収入源だったようだが、だまされる奴もいた。
お得意客だったyazawa君。新宿歌舞伎町で、その筋らしい人物から
「裸の二人が、汗まみれで組んずほぐれつ、マル秘の写真だ。買わないか」と声をかけられた。すぐ買うことに決めた。
「警察の目が厳しいから、すぐ開封するのは危ない」とも言われ、お金を出し、すぐ帰宅。ドキドキしながら開封したら、相撲の写真が入っていたという、うそのような話もある。
返品したくても「うそは言ってない」と言われてしまうだろうか?もっとも、その場所に、もう居ないだろう。
現在は、デジタルカメラが、私の役得、副収入?を無にした。カラー引き伸し機も押し入れで眠っている。