おかしな日本語、わけの分からない言葉が多い。
「ぜーんぜん美味しいです」は、テレビの料理番組や味 の旅番組などでよく聞く言葉だ。コンビニでは「五百二十円、ちょうどお預かりします」の、わけの分からない言葉の方が「ちょうど、いただきます」という正しい言葉より多く使われている。そんな時は「えっ、お預かりって?おつりがあるの?」とか「返してくれるの?」と応えることにしている。
「お」の付く言葉が、丁寧語と勘違いしていることもあるのだろうか。「お預かりします」の後で、「○○円のお返しです」だったのだろうが、なんでも「お預かり」で済ませて疑問に思わなくなってしまった。少し年配の人も使い出している。
以前、会社の先輩で「○○部長さん、おりますか」と取引先に電話をしている人がいたが、これは、ついに、直らなかった。脳裏に染みこんでいるのだ。「お」が付いているから敬語だと思って使っていたのだろう。「謙譲語なんですよ」と注意したら、謙譲語の意味も勘違いされ、丁寧語の中でも、さらに上に位置する敬語と思ったようだ。
変な敬語や間違えた謙譲語を使われると、スケジュール調整もおかしくなる。
ある業者さんと、システムのデモンストレーションを見せて貰う約束をした。私が、取引先へ行くのか、業者さんが当社へ来るのかを決めることになったのだが、「じゃ、私が伺います」と言ったら、先方は、先ず最初の勘違い。
「いや、○モトさんが、決めてください」と返してきた。「だから私が伺いますよ」と言いかけてから気が付いた。「伺います」を、問いかけに間違えたのだ。
そして次の勘違い。
「あっ、そうか、○モトさんが、お伺いするんですね」ときた。そして次は極めつけ、
「じゃあ、○日×時に、お邪魔してもらうってことで、お願いします」
心配になって
「俺が行くんだよね。分かってる?」
私から俺に変えて、少し強い口調で確認する。さらに「お邪魔なら行かないからね」とも付け加えてから、言葉の使い方を教えたが、驚いたことに、それまで「お邪魔してください」が敬語だと信じていたそうだ。
「でも、滅多に使わなかったですよ。『お伺いしてくれますか』が仕事で使う言葉で、個人的な目上の関係の人にだけ、『お邪魔してください』だったから、仕事に支障はなかったと思います」と言っていた。
古いことわざや熟語を知らない若い人の場合は仕方がないと思う。
10年以上も前だった。ある人が、部下を電話で叱っていた。
「はい」、「はい」と素直に聞いていたそうだが、最後に、もう一 言注意の言葉を言った。
「余計なことと思うかも知れないが、お前のため、老婆心なが ら注意しておくんだぞ」と、締めくくったつもりなのに、
「えーっ、どこかの婆さんが死んだんですか?どうしたんですか?」と返ってきたそうだ。
この上司は「だめだー」と頭をかかえていたが、「そんな言葉、死語ですよ。分かるわけ無い」と周りから言われていた。
「明日は旗日だ。連休だ」と言って帰宅していった年配者がいた。案の定、「ハタビってなんだ?」と若い人が不思議がっていた。「昔は、祝日に日の丸を飾ったので旗日と言ったんだよ。俺も使わない言葉だけど、旗を出してた家庭の人は使ってたよ」と説明した。
私でさえ戸惑う「ハタビ」は死語だと思う。