30代から40歳代後半まで、夢中でテニスをやっていた。真夏の炎天下でも、冬は木枯らしの中でも、やっていた。会社のテニス部の部長も務めていた。部長といえば、写真部の部長も兼務していた。
ある日、大阪から栄転で本社の部長としてやってきた男(先輩になる)が、部屋の入り口で、私と鉢合わせをした。私の方が先に入ろうとしていたが、出て行こうとした部長殿が、「俺は部長だぞ。お前が譲るのが当たり前だろう」と偉そうに言った。私がまだ課長代理か、課長だった頃だ。
短気な私は、「なにーっ、部長だあ!俺だって写真部とテニス部の部長だ。俺が先だった。お前がどけ!」と怒鳴って、譲らせたことがある。そのフロアは総立ちになりかけた。
テニス部長と言っても、上手いからではなく、予算取りなどで会社と交渉するための部長だ。
クラブでの活動よりも、気のあった仲間とのテニスが多かった。金曜の夜から日曜日まで2泊の泊まりがけテニス合宿に、よく出かけた。
この2泊の夜が、恐怖の夜になる。
私より6歳上、仲間内最年長の「ohkubo」氏のいびきが原因だ。
私たちは何度も同宿している仲なので、いびき対策も心得ている。たばこのフィルターや小さく固く丸めたティッシュを耳に詰めたりすることで、かなり減衰する。
本人は、かなり気にしているから、他の人はあまり言わない。私は、いびきを揶揄して、からかうことを楽しみの一つにしているから、どんどん言う。
「今日はどうだった?いびきを掻いていたか?」と聞くから
「いや、今回、いびきは聞こえなかったよ」と言うと、ホッとした、うれしそうな顔をする。そこで
「しかし、この部屋は、夜中に、なんの工事をやってたのかな。一晩中ブルドーザーが走り回ってたな」
「ohkubo」氏は、がくっと首を垂れた。
相模原で合宿をした時は、「いびきは、聞こえなかったよ」と喜ばせ、「でもここは、厚木基地の米軍艦載機の発着訓練の音がうるさいね。真夜中でもやるんだね」と言って、がっかりさせた。
悩んでいる(ように見える)「ohkubo」氏は、様々な工夫をする。ある時は「みんなに迷惑をかけるから」と、押し入れで寝た。これは、全く逆効果で、押し入れが共鳴箱になり、部屋中に響き渡った。
また、「みんなを眠らせるために、俺が最後に寝る」と言って、眠いのを我慢して、必死に起きていた。みんなが寝入ったのを確認してから寝たのだが、疲れ果て眠ったものだから、いつもより大音量で、みんなをいっせいに起こした。
ある時、いびきの特効薬なるものを持ってきた。鼻の中に液を滴らせて使うタイプだ。寝る前に使い出したが、効果を確実にするために、何度も鼻孔に垂らしていた。この行為がその後の悲劇を呼ぶ。使い方に書いてある量を、はるかに超える量を鼻に垂らしたため、鼻の中が「グジュグジュ」になり、普通の呼吸音さえ聞くに堪えないものになってしまった。もう、そのいびきは、表現できない音で、全員にじゅうたん爆撃を与えた。
和風旅館に泊まったりすると悲劇は拡がる。隣の部屋の人が、そのまた隣の人から苦情を言われていた。
「あんたのいびきがうるさくて寝られなかった」
「俺は、いびきを掻かない」
と喧嘩になってしまった。これは二人で出張に出かけたときの話だ。
それでも、「ohkubo」氏は、時々反撃に出てくる。寝坊な私に「いつまで寝ているんだ」と得意げに言いながら、私が寝坊で引き起こした過去の話をしようとする。そこで、私は駄目を押す。
「眠らせてよ。いびきの聞こえない今しか眠るチャンスがないんだから」
悔しがる「ohkubo」氏の顔をチラッと見て、もう一度、眠る私なのである。
通称「たぬき」の「ohkubo」氏は、本が一冊書けるくらい逸話が豊富である。
ひょっとしたら、この人を揶揄するのが、私の一番の趣味かも知れない。
恋する気持ちを、隠してきたつもりなのに、態度や表情に出てしまったのだろうか?人から、「物思いをしてるようですね」と言われてしまった。
これが上の歌、平兼盛の作品の意味だ(と思う)。
今は、忍ぶことなどなく、相手が嫌がろうが、迷惑だ言おうが、ストーカー行為までして言い寄る。ストーカー被害に遭っている女性が(男性の場合もあるようだ)、警察に訴えても、なんの力にもなって貰えない場合がある。挙げ句に、殺されたり、拉致されたり、暴行を受ける被害が後を絶たない。
「切迫しているとは思えなかった」と警察の発表が、判を押したような同じ決まり文句。切迫しているかどうか、張り込みをして調べろと言いたいが、張り込みだか、ストーカーだか分からなくなってしまう。
警察官にストーカー行為をされ、警察用拳銃で射殺されてしまう事件が起きた。しかも、制服のまま、警察のバイクで、女性のアパート付近で頻繁に目撃されていたという。待ち伏せもあったそうだ。
警察官も大変だ。本当に張り込みか、それとも、ストーカーなのか、明記した腕章が必要となる。
失恋なんて、誰にだってあるんじゃないのか。成就しそうになければ、心に「忍ぶ」ことができないのだろうか。
私のように、何度も失恋した「ふられ男」には、自分ばかりか、他人の人生を終わりにする自分勝手な気持ちが分からない。
私は、若い頃から隠せない方で、物思いしたり、食欲がなくなる、典型的な「色」に出してしまうタイプだった。
食欲がなくなると、すぐ「色」、すなわち表情に出る。顔がやつれるからだ。すると、目もくぼんでくる。
いつ頃からだろう。食欲に影響が出なくなったのは。「ふられ男は卒業して、俺って意外ともてる?」と自信を持ち出した頃からだろうか?ただ、鈍感になったからだろうか?
夏バテと言ってるのに、食用は落ちない。若い頃のように無茶食いはしないが、そこそこは食べている。そして、体重は変わらないのに、肉がたるんできたのか、筋肉が落ちたのか。腹回りに脂肪が付いてきているように見える。
メタボリックが着実に進行している。
今年の夏は、暑いのなんの。一体どうなっているんだ。
日本記録を更新、しかも二カ所で40.9℃を記録した。20年も前になるだろうか。八王子が日本記録に迫ったことがあった。その時の暑さは、尋常ではなかった。エアコンの効いた車から降りたときの熱気。すぐ側に火の気を感じた。たき火か、火事か。
「どうしたんだ」と叫びそうになったが、それが、その時の気温だった。
アスファルトの照り返しなどが加わって、猛烈という表現がぴったりだ。40℃を超えると、火の気を感じるほどの暑さだということを知った。
この暑さ故のなのか、年齢によるものか、それとも、定年後の生活で体がなまったからか。これまでと疲れ方が違う。
最近の朝の仕事。庭の草木に水を撒き、草刈りをして、洗濯物を干し(一日置きに3回ほど洗濯をしている)、洗濯がなければ掃除をして、それだけで、汗まみれになってしまう。
その後、シャワーを浴び着替えをしたら、一日の疲れとなってしまう。
午後は、楽器のレッスン・教習なら、まだエンジンがフル稼働できるが、それ以外ならぐったりするだけ。5、6年前なら、炎天下で、野球をやっていたし、10年前ならテニスをやっていたのに、この変わり様はなんだろう。
今は、外で体を動かそうとすると、足が不安そうだし、心臓が自信ないと訴えるし、脳が拒絶して、私の言うことなんか聞かない。
口先だけが達者な老人が生まれつつある。
野球花盛り
三振のバッターがホームベースに帰ってくるのがすごい!
高校野球を見ていて、最近の傾向のいくつかに気づいた。
振り逃げのなんと多いことか。落ちる球を多用することもあり、捕手の前でワンバンドする。その振り逃げが得点に結びつく場面も何回か見た。一塁へ投げたり、打者にタッチして、結果的に三振で切り抜けることが多いが、打者が一塁へ走らず、放棄してベンチに下がるのも多い。
「振り逃げ」と言うから、空振り三振だけがそれに該当すると思っている人が多い。見逃しでも、スリーストライクの球を捕手が直接捕れない場合(ワンバウンドも)は、振り逃げの権利がある。だから、スリーストライクでもバッターアウトとは限らない。
草野球の試合で、相手チームから猛烈な抗議を受けたことがある。捕手が後逸して、本来、三振の私は、セカンドまで行ってしまった。相手の監督たちが「見逃し三振だ。振ってない」とばかり、主審に詰め寄る。捕手が捕れないような低い球(ショートバウンドだったかも?)をストライクと判定する球審もすごい。抗議を受け入れそうだった。もっとも、うまい捕手なら後逸まではしない。そのレベルのチームだからルールを知らないのだろうが、主審が同意しそうなのには驚いた。私は常にルールブックを何冊か持ち歩いていたから、それで説明したが、相手チームは釈然とせず「いつルールが変わったんだろう」などと言っていた。
ニコニコ笑顔がすごい!
もうひとつ気になるのが、選手がニコニコしていることだ。悪いことではないが、違和感が拭えない。
「野球を楽しくやろう」「笑顔がチームの結束を高める」など、指導者が推進しているのだろうが、フォアボール、デッドボールを出しても、また、挙げ句に、走者一掃の長打を打たれても、ニコニコしている投手。見逃しの三振に倒れても、ニコニコ笑ってベンチに下がる打者。エラーしても、ニコニコ。牽制球で刺されてもニコニコ。
違うんじゃないの。悔しそうな顔を見せろよ、と思う。周りの選手が「ドンマイ」と笑顔で寄ってきたら、笑顔で応える。それが試合中の笑顔だろう。
無理に作っていると思える笑いの表情が不自然だ。
笑顔も、怒りも、見せないハラハラ監督がすごい!
一方、我が巨人軍。また、原監督が迷采配をして、勝ちを捨てた。
最終回(だったかな?ニュースで呆れながら見ていたからよく覚えていない)の1回で投手を何人も交代起用(アナウンサーが5人と言っていたような気がする。気が遠くなりかけていたので、よく聞き取れなかった)したそうだ。投手は立ち上がりが問題で、一人討ち取れば落ち着く。だから、最初のアウトを取ることが重要だと言われる。
それなのに、左バッターだから左の投手を出し、討ち取っても、次は右バッターだから、また替える。投手立ち上がりの修羅場を課題として、次々、テストをする。
4、5人の投手を出せば、そのうち何人かは調子を出せないか、下手をすると大崩れする者が必ずいる。原監督は、それが誰だか確認したいのだろう。勝ちを捨てても、二軍に落とす選手を見つけるのが生き甲斐のようだ。
50年間、巨人不安、じゃなかった、巨人ファンを通してきたが、桑田監督就任が待ち遠しい。
朝青龍を、甘えるだけ甘えさせてきた高砂親方。
部屋に横綱が居れば、その収入は莫大なものになるそうだ。そのため、横綱には自然と甘くなり、きついことも言わない。やりたい放題を、知らんぷり。扱いは、腫れ物に触るようになってくる。これまでも無断帰国を繰り返してきた朝青龍。先代親方の葬儀時も無断で帰国していたそうだ。
今回も、その流れのひとつで、横綱はへっちゃらな、いつもの行動だった。巡業にも出ないのに、サッカーに興じていたから騒ぎが大きくなっただけのこと。
帰国して、処分が出たときの親方のコメントがだらしない。
「引退してしまうのではないか。心配だ」と言っていた。事実上の引退勧告と判断していたが、親方がこれでは、引き締めにはならない。
相撲協会も、これまでが甘すぎた。一人横綱だから、見て見ぬふりを決め込み、口先だけの、厳しいコメントを出してきた。今回の処分も、横綱が二人になったから、やっと厳しい処罰ができた。しかし、朝青龍の「神経衰弱」騒動で、腰砕けになりつつある。「高砂親方に任せる」というだけの対応になってきた。
親方自身の、しつけもできない、煮え切らない態度に加え、大関止まりだったことで、横綱が見下して、相手にしていないという見方もあるようだ。
帰国を認めたら、謹慎の意味がない。引退させる前提で帰国を許すなら別だ。モンゴルとの国際親善を考慮するなら、これまでの功績を評価して、名誉ある引退方法を考えたらどうか。モンゴルの力士は、まだ健在なのだから、迷うことはない。
相撲に勝ったときの態度が悪い、と言う人もいるが、あれは、勝負師のパフォーマンス。別問題と考えて、冷静に評価したい。