金属中毒

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はかたをすくえ 行くは地下50階

2015-09-03 11:52:21 | Weblog
朱鷺の本丸が博多のことを聞いたのは他の本丸が連絡を受けてから、ずいぶんたってからだった。
というのもこの本丸はまだできたばかりで、今回博多奪取作戦に必要な練度に達していなかった。
近くの本丸をたずねた役人がわざわざ寄って茶飲み話に話した。

暇ではないはずの役人がなぜ用もないのに来るのか。
それはこの本丸が癒しだからだ。ここは美しい本丸だ。南欧風の神殿を思わす建物。薄紅の空、走り回る短刀たち。そろいの白いスカーフが風になびくさまは天使としか言えない。
そして、食事がうまい。よそでは和食が多いがここは洋食、それも南の方の味だ。デザートも極上。特に果物が絶品だ。
とろけるように甘いクルミ。これはごこたいが植えて育てている。
チョコボールの木。これは前田が植えて育てている。
こういうのを見るとさすが本丸だと思う。さにわの霊気で畑の作物が異常に早く育つというのは常識だが、まるで魔法のようにお菓子のなる木まで育てるなど。この本丸以外では見たことがないが、苗木が高いのだろうか。

 この役人のお気に入りがバラ園である。白赤黒紫桃青を始め、あらゆる色彩のバラが咲き誇る。これらの花は枯れることを知らず、ただゆるやかな風に己を赤い光に変えて散らす。その後にまた小さいつぼみがつき花が咲く。だからこのバラ園はいつも美しい。

大きな樫の木、木陰のテーブル。食事はたいてい外で食べる。この本丸の気候は4月ごろで固定している。
テーブルに並ぶのはトマトサラダのオリーブオイル掛け、ブドウの葉に包まれたドルマ(ブドウやキャベツの葉で肉と米などのフィリングを包んで蒸し煮にした料理)、とれたてのオレンジの果汁。少し硬めのヨーグルト。ランチタイムとしては十分だ。

 聞くところでは他の本丸の打刀はあの外見に似合わずどんぶりめしを山盛り食べるという。ここの近侍は食が細い。16歳の女の子のさにわと同じくらいしか食べない。あるいは一度重症になって、そのときに刀剣として必要な記憶をほとんど無くしたのが関係しているのかもしれない。だが戦闘力は問題ないし、知性も高い。指揮官としての能力も高い。刀剣数が少ない割りにこの本丸の戦績はいい。だが、さすがに4振で大阪城攻略は無理だろう。

 役人はそう思いながら博多の話をした。単なる茶飲み話のつもりだった。
しかし、思いかけず激しい反応を受けた。








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