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プロポーズ小作戦51

2009-04-26 16:09:07 | コードギアス
プロポーズ小作戦51
『ゼロに仕えよ』
宰相シュナイゼルはダモクレスの日(2019年7月)から、この言葉に支配されている。その支配がどういうものなのか確かめることはできない。それはシュナイゼルの内側にしかないのだから。
スザクは自分自身も今もルルーシュのギアスにかけられたままである。
スザクが強く望めばジェレミアは解除しただろう。だが、スザク自身がそれを望まなかった。
この思いはルルーシュの真実だから。
それに実質的にも『生きろ』ギアスは役立った。ゼロとして身をさらす生き方とは、常時命を脅かされる事。ギアスはスザクに、限界を超えての戦闘を可能にする。
常時戦場の只中に居て、普通ならもう何十回も死んでいるはずだった。それでもスザクはゼロとして生きて、戦闘を、虐殺を止めている。最小限の流血で。

自分の経験からスザクは『ゼロに仕えよ』のギアスは常時発動しているわけではないと考えていた。それは『仕える』という言葉が持つイメージの差であろう。
サムライは命の終わりまで主君に仕える。しかし、騎士はむしろ契約に近いのではとスザクは思う。まぁその辺りは個人差の方が大きいようだ。例えばギルフォードとジノを考えればわかる。
スザクの考えでは具体的に「ゼロが命ずる」と言って命じた事以外は、シュナイゼルの考えが出ていると思っている。また「命令」への従い方もシュナイゼルの考えが入るようだ。

例えば今回、スザクは「星刻に内密に会いたい」と命じた。実現した。しかし、目的は達成できなかった。
漆黒のナイトメア零(れい)の整備のため、蓬莱島に来たゼロは、星刻も神虎のプログラム変更のため蓬莱島にいると知った。
ロイドさんなら星刻がどこにいるか知っているかもとロイドの研究室を訪ねると、隣のラクシャータの部屋で盛大な怒鳴り声がした。
「よくも、私のかわいい神虎を固定砲台扱いしたわね。覚悟はいい」
仮面越し、窓越しに覗くと、星刻がしょんぼりうなだれている。
ラクシャータはいつものキセルを振り回していたが、それが鞭に見えるのは気のせいか。スザクの心象映像か。

セシルがちょいちょいとスザクを呼ぶ。付いていってみるとロイドも居た。
どうしたのか訊くと、簡単に教えてくれた。
星刻が自分以外のパイロットを影武者として神虎に乗せるため、プログラムをいじったのだ。ラクシャータの許可なしで。
影武者は身長が星刻とほぼ同じで声の質も似ている。しかし、飛行型のナイトメアに乗ったことなど無い。本来の専門は大型基地の防衛、つまり固定砲台である。そこで星刻はラクシャータのパスワードを破ってチョコチョコとプログラムを変更した。ちゃんと元に戻したのだが、ラクシャータにばれたらしい。

「ラクシャータにとって神虎は本当に特別にかわいい子だから」
セシルがお茶を入れながら言う。仮面を理由にスザクはそれを飲まない。不幸な犠牲はロイドになる。

ぴしゃりと大きな音がして窓と防音装置付のブラインドが閉じられた。
それから3時間、スザクはドアを開くのを待った。もちろんその間に専用ナイトメアの零はロイド達が整備している。

ドアが開く。スザクは道を塞ぐ形で待っていた。
『ゼロ・レクイエムの保険』
その意味をスザクは知らない。

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