金属中毒

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プロポーズ小作戦39

2009-04-17 15:17:18 | コードギアス
プロポーズ小作戦39

毒見した女官からそのおいしさを聞いた天子は1個食べてみた。
スマイルオレンジは食べた人にもその笑顔を分け与える。
天子にも笑顔が届けられた。

両頬にオレンジからもらったえくぼを浮かべ、天子は両手にオレンジを持ってジノのいる離宮に走った。
後ろから女官が追いかけるが、すっかり機敏になった天子に追いつけない。
(おいしいからジノにも食べさせてあげたい)
昨日、ジノは少し元気が無かった。それはナナリーと通信で話してからなのだが、天子は知らない。

(どうも、ナナリー殿下、いや陛下にうまいこと乗せられた気がするな)
垂直上昇機のエンジンを温めながらジノは心中につぶやく。
結果的にはあの白の宰相の言うとおり、腹黒狸を迎えに行く事になっている。

ジノがエンジンを温めさぁ乗り込もうかとしたとき、天子が庭に飛び込んできた。
慌ててジノはエンジンを切る。
「どうしたんだい。天子ちゃん」
「ジノ、食べて」
アーニャから贈られたオレンジを食べたからでもあるまいが、天子の口調はアーニャそっくりになった。
ジノは差し出されたオレンジをそのまま口にする。この大らかさがジノの持ち味だ。これが星刻なら押し頂いて御礼を申し上げた後、お一人でこのような場所にいらっしゃるのは危ないとかの、ご注意申し上げがしばらく続く。
かぶり、白い歯がオレンジの果皮を破る。
ほとばしる果汁。さわやかな香り。
「スマイルオレンジか」
「アーニャさんから届いたの。おいしいからジノも食べて。絶対元気になれるのよ」
「うん、元気になった。ありがとう天子ちゃん」
「良かった」
にっこり笑う天子。
その笑顔がジノの深いところを揺さぶる。
言葉にするなら母性本能を刺激される。

「天子ちゃんは星刻を好きかい」
「大好き」
こんなにかわいい子にそう言ってもらえる、幸せ者めとジノは思う。

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