金属中毒

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空港警備

2009-03-12 06:33:33 | コードギアス

藤堂は空港警備のため軍の1個中隊を指揮していた。何しろついこの間まで世界中あちこちが敵味方入り乱れて戦っていたのだ。どの国の人間がどの国の人間にうらみを持っているか見当も付かない。
愛らしい天子は世界的なアイドルである。今や、彼女の姿が写るニュース放送はそれだけで視聴率30パーセント以上を確保できると言われている。すっかり人気者になった天子だけにまた別の危険もある。
愚かにも朱禁城にもぐりこもうとしたパパラッチはすでに3桁を超えている。
「彼も苦労が絶えないな」
内心だけで藤堂はつぶやく。
「藤堂軍事総官、3分後に専用機が到着いたします」
「よし、作戦通りに実行せよ」
天子の安全を守るため、パパラッチ達を先に捕らえておく。重要な作戦だが、それでも命のやり取りをしていた藤堂や千葉には余裕がある。

中華連邦専用機が純白の機体を煌めかせる。
藤堂は額に皺を寄せる。併走しているはずの神虎の姿がない。
国際機体と呼ばれる蜃気楼、紅蓮、残月、神虎、トリスタンの5機は今や世界中どこでもフリーパスである。
といってもご存知のように現存している機体は神虎とトリスタンのみ。そのうちトリスタンは半壊状態のままであるから実質特権を使うのは星刻一人である。星刻に言わせれば「あれは特権と言う名の押し付けだ。私は中華の軍人であってゼロの代行者ではない」。つまりEUにせよアフリカにせよ、なにか厄介な問題が起きかければやたらに連絡してくる。
中華に波及する問題になる前に解決できるほうが合理的なので、星刻もせっせと動いているが、どうも本物のゼロより使われている気がする。今のゼロは、身体を介しての勘が鋭く理屈よりも先に真実にたどり着く。ただ、その勘があまりに優れているためか、相手を納得させる理屈が付いていかない。その隙間を星刻が埋めている。
ゼロが選んだ唯一の同盟者、平和の聖騎士、そんな呼び名がマスコミから与えられている。同盟者は事実だが、他は認めた覚えも受け入れた覚えもない。それでも動いているのはインドとチベットの動きが微妙だからだ。生きのこった分離派と結託されないように、他国の支持を天子に集めておきたい。そのために利用できるものは利用する。自分の身でも、縁談でも。天子様のためならば。


純白の専用機から降りてきたのは洪古将軍一人。さすがのパパラッチもひげ面のこわもてには食指が動かないらしくホテルに入った頃には、警戒態勢は段階を落としていた。
藤堂はホテルに洪将軍を訪ねた。
「星刻なら風邪だ」
特に隠す必要もないと洪はあっさり答える。
昨夜、というより今朝の夜明け前に戻った後、せきと微熱でそのまま休んでいるという。
聞けば天子も軽い風邪でお留守番という。
「天子様はこっちに来てもいい程度だが、」
天子がいれば星刻がおとなしく休むので留守番を選んだらしい。
なるほどどんな厳重な警戒よりもあの小さな主君の「おやすみしてね」の一言は効果的だろう。
藤堂は特にどうとも思わなかったが帰宅して千葉にそれを言うと、女の勘というものか
「同時に風邪をひくとは、風邪をひくようなことでも2人でしたのでは」とさりげなくも鋭い指摘があった。

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