Housaku1033
Housaku1033
ノリスの街に入ると同時にラッセルは馬賊?の集団に襲われた。覚えておいでだろうか?シン国皇帝第一皇子の第一子が馬の暴走でエリスの街から離れた事を。
彼は砂漠でふらふらしているところをある集団に拾われた。それが本物の馬賊であったことは別に驚くに値しない。昨今では密貿易の隊商と馬賊ぐらいしかこの辺りにはいないからだ。
第一皇子の第一子はあまり頭のいい青年ではなかった。彼はべらべらと自分の身分を明かした。馬賊は何らかの利益を読んだ。彼らはノリスの街でラッセルを待ち伏せて襲った。
乾いた空気に響く銃声、うぉーりゃー、という掛け声。ずいぶんわかりやすい典型的な馬賊だった。運転手の中年男が顔色を変えた。彼の受けた依頼はただラッセルをあるルートで運ぶ事。それだけだった。大型銃で撃ちまくられる危険手当など受け取ってはいない。といっても、『俺は関係ない』と叫んでみても通用する相手ではない。こうなったらこの月の化身のような、銀色の青年の戦闘力に期待するしか・・・。運転手の中年男は絶望した。
「・・・、あれ、なに?」
てめぇぼけとんのか!
状況をまるで掴んでいないラッセルの声に、運転手はハンドルに派手に頭をぶつけた。
実際、このときのラッセルは半分以上ぼけていたといっていい。意識の半分以上はもうセントラルの黄金達のもとに飛んでいたからだ。
「敵だ!盗賊だ!」
運転手は叫ぶと同時に大きくハンドルを切った。無茶な加速にタイヤがきしむ。加速についていけず、ラッセルは頭をぶつけた。それでようやく現状を把握した。
3秒後、
ラッセルの口からは文部省から苦情が出そうな、たちの悪いスラングが飛び出した。
「 !俺の邪魔をするな!」
声が馬賊に届いたとき、ラッセルはすでに戦闘モードに入っていた。
意識は高揚し脳の回転が過熱する。極度の興奮。高揚。だが、外見は涼やか。この特徴はラッセルの生涯を通じて存在した。
月の化身さながらの美形から飛び出したスラングのあまりの品格のなさに、運転手はこんな状況ではあるのに大いに吹いた。直後に凍りついた。底知れぬ銀の瞳が見据えている。極低温。そして、それからの展開はあまりに速かった。
「高い所に行け」
こいつやっぱりファーストの養い子だ。
命令形がさらりと出てくる銀の青年に運転手は寒気を感じる。ファーストは裏社会でさえも化け物と呼ばれていた。
『桁が違いすぎる。悪とか、犯罪とかそういうレベルじゃない』。ファーストを知る物は皆恐怖心を抑えられないまま呟く。『単にあいつは化け物なんだ』。
外見だけ見ればセラン工房の精霊ドールさながらに美しいこの青年。銀のラッセル。だけれども中身は間違いなくあのファーストの養い子。運転手は今更ながら、とんでもない者とかかわってしまったと後悔した。
Housaku1033
ノリスの街に入ると同時にラッセルは馬賊?の集団に襲われた。覚えておいでだろうか?シン国皇帝第一皇子の第一子が馬の暴走でエリスの街から離れた事を。
彼は砂漠でふらふらしているところをある集団に拾われた。それが本物の馬賊であったことは別に驚くに値しない。昨今では密貿易の隊商と馬賊ぐらいしかこの辺りにはいないからだ。
第一皇子の第一子はあまり頭のいい青年ではなかった。彼はべらべらと自分の身分を明かした。馬賊は何らかの利益を読んだ。彼らはノリスの街でラッセルを待ち伏せて襲った。
乾いた空気に響く銃声、うぉーりゃー、という掛け声。ずいぶんわかりやすい典型的な馬賊だった。運転手の中年男が顔色を変えた。彼の受けた依頼はただラッセルをあるルートで運ぶ事。それだけだった。大型銃で撃ちまくられる危険手当など受け取ってはいない。といっても、『俺は関係ない』と叫んでみても通用する相手ではない。こうなったらこの月の化身のような、銀色の青年の戦闘力に期待するしか・・・。運転手の中年男は絶望した。
「・・・、あれ、なに?」
てめぇぼけとんのか!
状況をまるで掴んでいないラッセルの声に、運転手はハンドルに派手に頭をぶつけた。
実際、このときのラッセルは半分以上ぼけていたといっていい。意識の半分以上はもうセントラルの黄金達のもとに飛んでいたからだ。
「敵だ!盗賊だ!」
運転手は叫ぶと同時に大きくハンドルを切った。無茶な加速にタイヤがきしむ。加速についていけず、ラッセルは頭をぶつけた。それでようやく現状を把握した。
3秒後、
ラッセルの口からは文部省から苦情が出そうな、たちの悪いスラングが飛び出した。
「 !俺の邪魔をするな!」
声が馬賊に届いたとき、ラッセルはすでに戦闘モードに入っていた。
意識は高揚し脳の回転が過熱する。極度の興奮。高揚。だが、外見は涼やか。この特徴はラッセルの生涯を通じて存在した。
月の化身さながらの美形から飛び出したスラングのあまりの品格のなさに、運転手はこんな状況ではあるのに大いに吹いた。直後に凍りついた。底知れぬ銀の瞳が見据えている。極低温。そして、それからの展開はあまりに速かった。
「高い所に行け」
こいつやっぱりファーストの養い子だ。
命令形がさらりと出てくる銀の青年に運転手は寒気を感じる。ファーストは裏社会でさえも化け物と呼ばれていた。
『桁が違いすぎる。悪とか、犯罪とかそういうレベルじゃない』。ファーストを知る物は皆恐怖心を抑えられないまま呟く。『単にあいつは化け物なんだ』。
外見だけ見ればセラン工房の精霊ドールさながらに美しいこの青年。銀のラッセル。だけれども中身は間違いなくあのファーストの養い子。運転手は今更ながら、とんでもない者とかかわってしまったと後悔した。
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