金属中毒

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上海事変  いきなりギアス。3作以上続けば金属中毒ギアス部屋に移します。

2008-07-12 18:50:32 | コードギアス
上海事変 
(いきなりギアス、ほんの出来心です。)


黒の騎士団との戦いがほのぼのポエム調に終わった後、エリア11にも中華連邦にも政治的現実が待っていた。そのうち、中華連邦に起きたのが上海事変(上海内戦)である。内戦は10日かけて平定された。その10日間、星刻はほぼ24時間神虎と共に前線にいた。黒の騎士団との戦いで負った傷もまだいえぬままの従軍に軍関係者さえも難色を示したが、結局星刻が出なければどうしようも無かった。付け加えると今度の戦いは完全に同国人を相手にしてのもの。しかも相手の唱える正義とこちらの掲げる正義は同じもの。《この国を救うために》。それゆえに兵士達の精神的な負担も大きかったし、それを鼓舞せねばならない司令官は。
上海の内戦(公式記録では内戦ではないが)から戻り、天子に拝謁した星刻はいつに無く疲れて見えた。その理由は共に従軍した軍人達に訊けばすぐに分かることだった。だが、13歳と言う年齢に比べてさえ、幼い表情を見せる天子には〈他の軍人さんに訊く〉という簡単な発想が無かった。
「しんくー、外に連れて行って」
ひざを突いたまま報告を終え、「では、私は軍に戻ります」と言いかけた星刻を、天子はすかさず捕まえた。彼女には大きすぎる豪華な椅子からぴょんと飛び降りると、てってってっと星刻に走る。そしてお約束のようにカクンと裳裾を踏んづけて顔から床に突っ込みかける。それを星刻がこれも前世からのお約束のようにふわりと受け止める。
星刻の体からはまだ汗と鉄の匂いがした。その匂いを天子は初めて知った。今まで、真綿と絹にくるまれて、真実を何も見ていなかった天子は男の汗の匂いすら知らなかった。でもいやなにおいではなかった。
汗の匂い、これはシンクーの。鉄の匂い、これは・・・神虎のにおい。
天子はそう思った。実際には最新型のナイトメアは鉄で出来ているわけではない。天子は知らない。彼女が始めて感じたにおいは彼女の男を取り殺す病の匂いだと。