◆『靖国問題の精神分析』岸田秀、三浦雅士(2005年、新書館)
この本は以前からかなり関心があった。岸田がこうした政治的にホットな問題をどのように分析しているのか非常に興味があった。今日、行きの電車の中で読み始め、思わず夢中になった。この本に限っては、その面白さの半分以上を対談者の三浦雅士が導き出しているような気がする。
岸田は、小泉首相の靖国参拝に賛成なのだが、それはもし中止すれば中国をのさばらせることになるからだという。中国は、戦前の日本を真似て大東亜共栄圏構想を抱き始めていると岸田は見る。だから中国の批判に従うなという意見である。
これに対して三浦は、もともと靖国神社は、岸田が批判する自閉的共同体(その代表は旧日本軍)の象徴にほかならないから、岸田や靖国参拝に賛成するのは論理矛盾だと批判する。もう一つの批判は、中国が大東亜共栄圏構想を持っているように見えるのは、敵を必要とするアメリカの欲望が作り上げた幻にすぎないというもの。
この辺の具体的なやりとりの興味深さは、実際に読んでもらうほかないのだが、私は三浦の考えにずっと説得力があると感じたし、岸田も三浦の鋭い追及にしばしば追い詰められている。
私がこの本を面白いと思った個人的なもう一つの理由は、私がずっと引っかかっている自我と国家の関係という問題を考えるヒントを与えてくれたからである。これについては明日以降に触れる。
この本は以前からかなり関心があった。岸田がこうした政治的にホットな問題をどのように分析しているのか非常に興味があった。今日、行きの電車の中で読み始め、思わず夢中になった。この本に限っては、その面白さの半分以上を対談者の三浦雅士が導き出しているような気がする。
岸田は、小泉首相の靖国参拝に賛成なのだが、それはもし中止すれば中国をのさばらせることになるからだという。中国は、戦前の日本を真似て大東亜共栄圏構想を抱き始めていると岸田は見る。だから中国の批判に従うなという意見である。
これに対して三浦は、もともと靖国神社は、岸田が批判する自閉的共同体(その代表は旧日本軍)の象徴にほかならないから、岸田や靖国参拝に賛成するのは論理矛盾だと批判する。もう一つの批判は、中国が大東亜共栄圏構想を持っているように見えるのは、敵を必要とするアメリカの欲望が作り上げた幻にすぎないというもの。
この辺の具体的なやりとりの興味深さは、実際に読んでもらうほかないのだが、私は三浦の考えにずっと説得力があると感じたし、岸田も三浦の鋭い追及にしばしば追い詰められている。
私がこの本を面白いと思った個人的なもう一つの理由は、私がずっと引っかかっている自我と国家の関係という問題を考えるヒントを与えてくれたからである。これについては明日以降に触れる。