瞑想と精神世界

瞑想や精神世界を中心とする覚書

『グレース&グリッド』

2006年06月18日 | 読書日誌
◆『グレース&グリッド(上・下)』ケン・ウィルバー(春秋社、1999年)
途中、他の本を読んだりしていたので、ようやく下巻を読み終えようとしている。読み始めたのは5月13日だった。何よりも印象的だったのは、2人が出会うべくして出会ったとしか思えないこと。ケンの記述にも、トレヤの日記にも、互いにとっての出会いの衝撃が、その意味の大きさが、繰り返し語られている。

そして、結婚直前にトレヤの癌の発見。その後のトレヤの闘病、自分の執筆活動を一切投げ打ってのケンの献身的な介護。トレヤの癌の発見は、もちろん2人を打ちのめす。にもかかわらず二人は互いの愛を確認していく。そしていくぶんか希望が見えたかに見える。しかし、それを打ち砕くような転移の事実。そんなことが何度も繰り返されていく。

その中で2人は絶望的な危機に陥ったが、やがてそれを克服して成長していく。まるで2人が出会ったのも、トレヤが癌になったのも、2人の魂の成長のためにはじめから計画されていたかのように見える。しかし、それにしてはあまりに過酷な試練。トレヤにとってもケンにとっても。

「しかし、実際のところ、トレヤは現在に生きることによっ、未来をあてにして生きることを拒むことによって、まさに死を自覚して生きるようになったのだ。‥‥死とは、実際、未来をもたない状態だ。あたかも自分に未来がないかのように、現在に生きることによって、彼女は死を無視するのではなく、死を生きていたのだ。」(下巻p175)