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スターフォックスの一ファンのブログ

トリックスターについて

2016年02月06日 11時17分53秒 | 考察
 タロットカードは、一般的に78枚で一組。
 56枚の小アルカナと、22枚の大アルカナより成る。

 小アルカナは棒、剣、聖杯、硬貨の4つのスートにそれぞれ14枚のカードがあり、14×4で56枚。
 これがトランプの元になったとか、いやトランプとは無関係だとか、いろいろ言われるけど私にはよく分からない。

 占いでは、大アルカナよりも小アルカナのほうが重要らしいが、その理由もよく分からない。
(それなりの資格と覚悟を持つ者しか、占いには手を出してはいけないと思っている。私にはどちらも無い)

 22枚の大アルカナには、それぞれ寓意画が描かれている。
 魔術師、皇帝、戦車、隠者、太陽、月、星……などなど。
 『ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダーズ』に登場するスタンドのモチーフにもなってますね。

 ここで話題にしたいのは大アルカナのうちの一枚、『愚者』について。

 『愚者』の番号は0だったり22だったり、21だったり番号なしだったりする。タロットにより違う。
 私が持っているウェイト版のタロットでは、愚者は0番になっている。

 描かれているのは、棒の先に荷物をくくりつけ、太陽の下を呑気に歩く一人の若い男。
 男のあとには一匹の犬が、彼の足にじゃれつくようについてきている。
 荷物をくくりつけた棒を右手に、野で摘みでもしたのだろうか、一輪の花を左手の親指と人差し指で摘まんで持っている。のどかな空を見上げながら、なんの心配もない様子で歩いている。もうあと数歩先の足元に、断崖が迫っていることも知らずに。

 『タロット教科書 第1巻』(魔女の家BOOKS)によると、このカードに込められたイメージは、
「カバンひとつ肩に掛けた青年は、様々な経験を通し人生の糸口を求めています」
「彼はミシシッピ川を放浪するハックルベリーです。はかない人生をあてどもなく探し求めています」
「彼はさまよえる王子であり、吟遊詩人です。普通の人と違ったことをするので、世間の笑い物になっています」
「カードの人物の若さによって表現されているものは、力とダイナミックな意志です。人生における冒険が、旅行したいという欲望に不意に襲われた青年のイメージによって表現されています」
 ……だ、そうだ。

 タロットカードは正位置(通常の向き)と逆位置(上下逆さま)により、その解釈が変わる。
 正位置の解釈:大きな決心、好ましい偶然、自由、型にはまらない、無邪気、純粋、可能性、発想力。
 逆位置の解釈:おろかな決心、自己中心的な行動、軽率、わがまま、落ちこぼれ、焦り、注意欠陥多動性。

 この『愚者』のカードが持つイメージが、『トリックスター』と重ねられることがある。
 トリックスターとは、神話や物語に登場するキャラクターのタイプのひとつ。

 平凡社の世界大百科事典の『トリックスター』の項には、こう書いてある。

『策略や詐術(さじゆつ)を駆使して活躍する〈いたずら者〉がヒーローとして登場する神話や民話は世界各地にみられる。そのような登場人物をトリックスターという。トリックスターは,策略を用いる狡猾さ・賢さを賞賛される一方,欲望を制御できずに失敗する愚かさ・滑稽さを笑われる者であり,また人間に火や文明をもたらす文化英雄的な神であると同時に,単なるいたずら好きの反社会的な破壊者でもある。そこでは,善なる文化英雄と悪しき破壊者,あるいは賢者と愚者という,法や秩序からみれば一貫性を欠いた矛盾する役割が,一主人公の属性として語られる。』

 世界の秩序を破り、物語を引っ掻き回すいたずら者。それがトリックスター。

 『愚者』は、己を探求したいという欲望にかられて別なる世界に踏み出すが、自分自身の未熟さを制御できずに挫折してしまう……そういう点でトリックスター的なのかな、と思う。

 ↓たぶん、こいつらもトリックスター。

●ポーキー(MOTHER2、MOTHER3)
「もう このへんのいきものは ぜんぜんダメ。 
 もっと かっこよくしてやらなきゃ。 
 テーマは
 ・もっと つよく! 
 ・もっと わるく! 
 ・もっと らんぼうに! 
 アレとアレをくっつけて  みたこともないアレをつくるんだ。 
 なづけるならば みわくのキマイラけいかく。 
 じみちにコツコツと かいぞうしてやろう。」
「みらいと かこを じゆうに いききしてきた たびびと」
「すべてを おもいのままにしてきた」
「いまでもフェアに おしえてあげているんだ。 やっぱり そのほうが ゲームが おもしろくなるからね」
「りかいしてくれるね? かみのような そんざいになった ポーキーさまの かなしみを」

 ポーキーがギーグの側について策略をめぐらせなかったら。平和なノーウェア島の生き物を、キマイラに改造してしまわなかったら。きっともっと事は穏便に済んだはずなんだ。

 ……ところが一方で、UFOが墜落した夜にポーキーがネスの家のドアを叩かなかったら、あるいはドラゴやクラウスを改造してしまわなかったら、MOTHER2も3も物語が始まってさえいない。なんという皮肉。

●仮面ライダーディケイド
 平成ライダー10周年として制作された、同名の番組の主人公。
 「仮面ライダークウガ」から「仮面ライダーキバ」までの、9つの平成仮面ライダーの世界を旅して、おのおのの世界を救っていく。(それぞれの仮面ライダーの世界は、パラレルワールドという設定。ちなみに後半では平成ライダー以外の世界にも訪れる)

 なぜだかディケイドは、どこの世界に行っても歓迎されない。「世界の破壊者」「悪魔」と呼ばれて忌み嫌われ、排除の対象になる。

 どこの世界にとっても異物。己の属する世界を探して、遍歴する仮面ライダー。

 しかして一方で、忘れられかけた平成仮面ライダーの物語をふたたびよみがえらせ、バラバラだった各世界をひとつに繋ぐという役目も担っている。



 ……何事にも良い面と悪い面がある。
 トリックスターは神にもなれる反面、単なる破壊者に堕する危険性も秘めている。

 力を良い面に向けることができれば、複数の世界を往還する者、自由なる越境者、架け橋をつくる者、異なる世界同士を接続する存在、物語を発生させる者になれるかもしれない。

 無関係に存在していた二つの世界が交わる時が、物語の生まれる瞬間だから。
(ゆえに、『愚者』の番号は0なのかもしれない)

 正位置を保てるのか、逆位置へと落下するのか。

 未来はまだわからない。

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