俺の翼に乗らないか?

スターフォックスの一ファンのブログ

お礼とお詫び

2011年05月25日 21時10分10秒 | 小説『ファルコとの出会い』
 『ファルコとの出会い』もついに「その51」だよ。よくもまあ飽きずに書いているもんだ。
 これも、たまにしか更新しないにもかかわらず、覗きにきてくださる、そしてコメントしてくださる皆様のおかげです。篤く御礼申し上げます。

 そして、「その51」ではなんだか興奮した様子でペッピーが帰ってきたんだけど、これはもちろんペパー将軍からファルコの捕獲を依頼されて帰ってきたのですよ。
 ペパー将軍とペッピーが会話している場面を書いてから4年も経ってしまい、忘れられているかもしれないので念のため書いておきます。
 記事についているカテゴリー部分(小説『ファルコとの出会い』、と書いてある部分)をクリックすれば、これまでの話もまとめて読むことができるので……よければ読み返してやってください。

 読み返していると、前後のつながりがおかしいところとか、矛盾しているところとか、突っ込みどころが目立つことと思いますが、どうかご容赦ください……。
 この話が完結した後に、記事をすべてつなげた上で加筆修正して、食い違いや矛盾がない完成版として、もう一度お目にかけることができればよいなと思っております。
 それではもうしばらくの間、お付き合いくださいませ。

「ファルコとの出会い」その51

2011年05月25日 20時10分16秒 | 小説『ファルコとの出会い』

「うわああああっ!!」
 カララン、カラン……
 突然大声をあげて跳ね起きたフォックスに驚いて、スリッピーの両手の間でグラスが涼しげな音を立てた。
「びっ……ビックリした~っ。驚かせないでよ、フォックスってば! こぼれなかったから良かったけどさ」
「……すまない」
 あえぐように呼吸しながら、椅子から身を起こす。
「冷たいソレオだよ。飲むかい?」
 何も言わずにグラスを受け取ると、ごくりごくりと喉を鳴らして飲み込んだ。
 グラスの半分ほどを飲んだところで、ぷは、と息をつく。
「怖いユメでも見たのかい?」
「まあ。そんなところだ」
 シャツはじっとりと湿り、頭にはにぶい痛みがある。
 スリッピーの背後で、ブリーフィング・ルームのドアが静かに開いた。その向こうに、興奮した様子のペッピーが立っている。

「おまえたち!!」
 大きな声が頭に響き、フォックスは眉根を寄せた。二人が返答する間もなく、第二声が飛んでくる。
「何をボヤッとしとる! 書類仕事なんぞ、今日で終わらせちまうぞ!」
「一体、何があったんだよ、ペッピー」
「何があっただと?」
 喜色満面。それ以外に形容する言葉を思いつかない表情で、ペッピーは答えた。
「仕事だよ、仕事。初仕事の依頼だ。それもペパー将軍、直々のな!」

「ファルコとの出会い」その50

2011年05月25日 19時03分21秒 | 小説『ファルコとの出会い』

 ふう――――。
 グレートフォックス内部、ブリーフィング・ルームの椅子の上で、フォックスは肺の奥底から息を吐きだした。
 新生・スターフォックスのリーダーに就任してから、山のような書類と、各種手続き、各方面の許可・申請・更新といった仕事に追われている。意味不明の文言と、やたらに難解な法律用語のかずかずと格闘していると、何もかも放り出したいと思うときがある。しかしそれら事務的な作業が終わらなくては、遊撃隊として仕事を募ることもできないのだ。
「大丈夫かい? フォックス」
 つるりとした顔と愛嬌のあるふたつの目玉が、俯いたフォックスの顔を覗きこむ。
「疲れてるんじゃないかい? オイラが飲み物を入れるからさ、一休みしなよ」
 遊撃隊隊員募集の話に乗って、スターフォックスの一員となったスリッピー・トードだ。
 フォックスはありがとうと礼を言うと今度は深々と椅子に腰掛け、背もたれに体をうずめた。本来作戦会議に使われるはずのこの椅子の背は硬く、あまり心地よいとはいえない。
 同じコーネリア防衛学校で、パイロット養成コースを歩んでいる同期を遊撃隊に引き抜くには、それなりの勇気と覚悟がいった。たとえスリッピー本人が十分乗り気であったにせよだ。
 ここ1カ月の間、フォックスは、パぺトゥーンから舞い戻ったペッピーとともに、スリッピーの実家を幾度か訪れた。そしてかれと、かれの父であるベルツィーノ・トードをまじえ、長い話し合いをした。
 紆余曲折はあったが、結局のところ家族の理解は得られ、スリッピーはここにいる。
 だが――と、フォックスは不安に駆られる。メンバーのうち二人が全く経験のない者という状態で、遊撃隊の任務をこなしてゆけるだろうか。仕事は軌道に乗らず、前途ある若者の将来を閉ざしてしまうことになりはしないだろうか――。
 考えても仕方のない、悪い想像ばかりが頭に浮かぶ。夜になり眠れば、また違った恐怖が襲ってくる。

 ――おそろしく長い数秒間だった。今でも吹き上げるほのおの色と形を、はっきりと思い浮かべられるんだ。

 ベッドの上でペッピーが話した、父親の最期。自分が見られたはずのないその光景が、夢の中では圧倒的な現実感を伴って再現される。
 貫かれたプラズマ・エンジン。破裂するプラズマ加速器。機体を舐めるように燃えあがる火炎。肉を焼かれ、骨を焦がされた男の、声にもならなかった最後の声。

(――――――――!!!!!)

 この世の者には聞くことのできないその断末魔が夜を引き裂くたびに、フォックスは目覚める。そして死の恐怖に憑かれている自分を発見するのだ。
 だめだ。このままじゃあ。
 まだ自分が幼いころ、父はコーネリア防衛軍を抜け、2人の仲間とともに遊撃隊を結成した。このごろは自分が、その父のあとを全く同じになぞって生きているように錯覚することがある。自分もまた、コーネリア防衛軍への士官というコースを外れ、2人の仲間とともに新生スターフォックスを軌道に乗せようとしている。であれば、いずれ自分も、ジェームズと同じように――。
 炎の中で焼かれる父の姿が、いつの間にか自分の姿に変わっている。

(――――――――ぎゃあああああああああ、あああああ…………!!!!!!!!!)