日中越境EC雑感

2008年に上海でたおばおに店を作るところから始めて、早もうすぐ10年。余りの変化に驚きの連続

イタリア旅行で思ったこと

2014-08-17 | 旅行(中国その他)

 先月末より3週間もイタリアに滞在しておりました。欧州は中国に来る前、2002年と2003年に比較的長く旅行して以来ですから、11年ぶりと言う事になります。1990年代にイギリスに行ったことがありますが今回で4回目の欧州旅行。イタリアは今回が初めてでした。

 欧州を訪問するたびに感じるのですが、日本はまだまだ遅れている。技術・産業という基準で見れば日本は一部世界の最先端を走り、すっかり先進国という意識を持っています。が、精神面という点ではまだまだなのかなと思わされました。確かに世界の中ではよい方とは思いますが、先進国と言えるまでには至っていないような気がします。

 もともと無教養な私が欧州の歴史についてそれほど詳しいわけではなく、英仏独の3か国に対しては何となく憧れを抱き、山のぼりが趣味でしたので当然スイスアルプスに興味は持っています。一方イタリアには全く興味を持ったことがなく、今回の目的は息子の教育面で妹の助力を得ることが主でしたので、私自身はビジネス的に興味のあるトルコの再訪、一度は見てみたいプラハへの訪問を考えていましたが、結論から言えばイタリア国内で時間を過ごしてしまいました。

 日本に戻る時間がなく、上海で手に入る塩野さんのイタリア本7-8冊、観光ガイドブック2冊ほどを統治の古本屋で手に入れ、結局事前にもあまり時間が取れなかったもので旅行中に読んで理解を深めようとしたしだいでしたので、イタリアについて深い認識を持ったコメントはできない浅い観光に終わってしまいました。

 

 妹はスイスの方と結婚し、スイス国境に近いドモドッソラという町から10Kmほどの小さな山の中にある古村の築400年ほどの石作りの住宅を自らの手で改装し居住しています。改装作業はまだまだ続いており、今は綺麗になった家が元は森林の中にありその木々の伐採、手作業で梁を入れてリノベーションをしている写真を見て、その労力と努力には驚かされました。本人が教育者であり、旦那さんも絵画の先生と言う事で今後色々と教育方面の拠点として何かを進めようとしていますので、改めてご紹介することもあるかと思います。

 

 さて、イタリアについては経済面では日本と同様過大な国債を抱え、EUの中ではお荷物国家ともいえる存在である、政治面ではマフィアの影響が非常に強い、いい加減、欧州の中では中国的い似ているとも言われています。確かに、コネクションの重要さ、仕事ぶりのいい加減さ、料理のおいしさ、かって高度な文明を持っていたという点では中国と似ているところもあるでしょう。町もミラノあたりはかなり汚く、上海と大差はないような気もします。

 が、ローマ時代に関して塩野さんの本を読む限り、中国の歴代王朝とは相当に異なるなと思わされました。ローマ時代当時の下水道をいまだに使っている(1800年代整備のパリより優れているという)。また街道もその時代のものをベースにしていると聞いてまずは驚かされました。中国の下水道状況と言えば、ドイツ植民地時代に整備された青島、日本時代の大連がこの国の中では最も優れていると言われていますから。塩野さんの中では中国の王朝は万里の長城の様な自分を守るものは作ったけど後に残るものは何もない、ローマは城壁を壊し逆に街道を整備したとその文明が外に広げたものであることを示し優位性を示唆しています。

 

 中国ビジネスに従事する身としては、当然同じような経歴を持つ方は中国文明にあこがれを抱いた人も多い(それがいざ中国に来ると現代中国人を見て反動は起きやすいとも思います)と思いますが、そうはいってもと何か反証になるものを考えたくなります。火薬と羅針盤、神は中国の3大発明だ。。思想的にも儒教がある。。

 が、建築物等や芸術に関してはどうだろう。。始皇帝陵がある。青磁などもある。でもローマの遺跡に該当するものは残っていない。インフラも残っていない。ルネッサンスの様なものも起こらなかった。何故でしょうね?イタリアに関しては、元老院が公邸を選ぶ制度から皇帝が世襲制になり、北方異民族の侵略、キリスト教が国教となったあたりからおかしくなり、その後暗黒の中世という時代になり1000年近く停滞する。その時代は、ギリシャローマの文献が残るアラブのほうが文明的には優れたという。そのアラブからで戻りのような形で古代ギリシャローマの文献が戻り始まったのがルネッサンス。。その後大航海時代、産業革命と続いていくようですね。

 

 同じように比較すると中国は唐から宋の時代は文明的に非常に発展した。でもモンゴルに侵略されおかしくなり、民を経て今度は満州族の支配を受け、さらには西洋列強や日本の侵略、共産党政権と続き、西洋的に言えば暗黒の中世の時代が今に至っても続いているのではないだろうか。人々の行動や心根を見るかぎりもいまだにその時代にとどまっている気がする。。

 

 日本としては、そういう中国を見てあれこれ言ってもしょうがないよなと思わされました。

 

 強く思ったのは、ビジネスという観点で日本はどうしてもアジアを主に考えてしまいますし、文化的な近さから確かにアジアに優位性があると思います。でも低コストという観点で見るとイタリアで見たアパレルで比較的質の良いものはトルコやグルジア等の東ヨーロッパ周辺国に物がある。安いものは中国からバングラディッシュに移行中のようですが、距離を考えるといずれアフリカにも移っていくでしょう。アメリカで中米諸国の生産品があるのと同じですね。市場という点ではイタリアだけでなくほかの欧州諸国も同じでしょうがアジア市場はやはりそれなりに重要で、その場合は中国に生産拠点をおくケースが多いのではないでしょうか。

 

 日本の場合、中国は低コスト生産の場であり、今後は大きな市場となるのですが、やはりこの二つはきっちり分けて考えるべきだし、特に市場をどこにするかで低コスト生産の場はもっと考えないといけませんね。単純に中国からアジアへの生産拠点の移管が妥当かどうかはやはり商材や企業によって異なるのだろうと思いました。

 

 まぁでも今回強く思ったのは、昨今国の関係の悪さから、とにかく日本と中国韓国を比較して、日本の良さを強調するメディアの報道が多いこと。確かにそれはそうだろうと思いますが、欧州から見てみるとそれは目くそ鼻くその世界の話ではないだろうか?絶対的距離という問題がありますが、あちらでは今はシリアの内戦とイラク問題が主。当然ながらウクライナショック。中国の脅威っていう観点はあまりないように思います。また日本に関しても原発の処理とかでかなり笑われているようですね。今の日中の問題は、この時代に極東でアホが何やっているんだよって感じじゃないでしょうか。

 

 僕自身に関しては、基本的に中国の脅威を認識しその準備を取らなければならないと思っています。でもまぁそういうのをおいといて、日本にとって中国も韓国も確かにまだまだ遅れた国であり、必要以上にこの辺の国にこだわっても時間の無駄。日本の将来像を描くには、欧州の今は昔に比べて落ちぶれてしまった老大国たちから学ぶものが相当にあるのではないかと言う事です。

 

 もう一つ。僕自身もビジネスの場としては中国以外でもアジアを主に考えると思いますが、アジアから学ぶものは非常に少ない。アウトプットばかりでインプットがほとんどない。もちろん個々の国の歴史や文化から学ぶものはありますが、やはり所詮は後進国に過ぎず刺激が少ない。こういう場にどっぷりつかりすぎると人間が劣化する。そういうリスクを強く感じました。アジアに住む人はアメリカも含めやはり定期的に先進国を訪問しないと、まずいのではないかと思いました。アジア諸国のリーダーは大半が欧米留学組ですし。中国組に関していえば、中国だけ見て日本の優位性を語る人も結構いるのですけど、それだと長期的にはまずいでしょうね。昔からの中国専門家的な日本人の多くががいつの間にか中国ですら使い物になら無くなってしまったのと同じです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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