クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

モーツァルトの交響曲第36番 K425「リンツ」 クリップス/アムステルダム・コンセルトヘボウ管

2007年04月28日 05時38分05秒 | 交響曲
先日、フィリップスの1000円盤で「ジュピター」・40番を聴いて、いやはや何とも素晴らしい演奏だったので、これは全部聴いてみなくちゃイカンなぁと思いました。

そこで、今日は・・・・。

モーツァルトの交響曲第36番 ハ長調 K425「リンツ」。
ヨーゼフ・クリップス指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管の演奏。
1972年の録音。DECCA発売の輸入廉価盤の全集。原盤はDECCAなのか、フィリップスなのか。

HMVから届きました。クリップスのモーツァルト全集。
ポツポツ聴き始めておりますが、いや、全く素晴らしい。きわめて普通の、何の変哲もない、大オーケストラの、古き良き時代のモーツァルト。
これといったセールス・ポイントはないのかもしれないが、まあ、試しに聴いてみなはれ、と云いたい気分。実に味わい深いモーツァルト。

この「リンツ」なども普通の演奏なのだが、大変楽しく心地よく聴けた。

第1楽章の清潔なアーティキュレーション、心地よいフレージング。
アムステルダム・コンセルトヘボウ管特有の柔らかい音を前面に押し出した演奏であって、聴き手を幸福にしてくれる。テンポも実に軽やか。というより、程良い軽さ。フワッと柔らかく頬を撫でられてゆくような音が、もうたまらない。
クリップスはホンマにモーツァルト指揮者だったと思う。どこをとっても安定していて、モーツァルトの愉悦がこぼれてくるような演奏。指揮者もオーケストラも楽しんでいる感じ。こちらもウキウキしてくる。

第2楽章は格調高いアンダンテ。適度に重厚で、何より弱音で響きが痩せないのがイイ。ふっくらと豊かなモーツァルトがここにいる。古楽器で演奏するとギスギスした感じになるところを、クリップスは楽しくふくよかに演奏させてゆく。ここでも、音楽する喜びがある。モーツァルトは、こうでなくちゃね。

第3楽章のメヌエットも恰幅がいい。柔らかいトリオも楽しい。
アムステルダム・コンセルトヘボウ管は、聴き手を包み込むような豊満な響きが美しく、落ち着いた感じがする。残響も素晴らしい。

フィナーレは速くなりすぎないのがイイ。リズムもよく、どこにも無理がなく自然なモーツァルト演奏。
エキセントリックな古楽器演奏に慣れてしまうと、生ぬるく感じるのかもしれないが、この暖かさ、ぬるさ、ほどよい甘さ・・・・これぞ、モーツァルト演奏の王道じゃないかと思ってしまいますな。

録音は30年以上昔のものとは思えない鮮明さ。
この全集は、じっくり楽しんで聴いていきたいものです。



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