クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ベートーヴェンの交響曲第9番 ニ短調 「合唱」 バーンスタイン/ウィーン・フィル

2008年02月11日 06時07分59秒 | 交響曲
3連休の最終日。第九まで来ました。

ベートーヴェンの交響曲第9番 ニ短調 作品125「合唱」。
レナード・バーンスタイン指揮ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場合唱団の演奏。
ソプラノはギネス・ジョーンズ、アルト独唱ハンナ・シュヴァルツ。
テノールにルネ・コロ、バスはクルト・モル。
1979年9月、ウィーンのムジークフェラインザールでのライヴ録音。DG盤の全集からの1枚。

僕のクラシック音楽体験の原点。この録音とは別テイクだと思うのだが、1979年大晦日のNHK-FMでバーンスタイン/VPOの第九が放送された。このころ、大晦日はテレビの紅白歌合戦に対して、FMは第九を放送していたものだった。
聴き終わったあと、世の中にこんなにスゴイ音楽があるのか、と思ったものだった。それまで、フォークソングやニュー・ミュージック(と当時呼ばれていた)ばかり聴いていた自分には、衝撃だった。背筋はゾクゾク、感動に震え、滂沱たる涙・・・・。
バロック名曲集やライト・クラシカルのLPは持っていたが、このバーンスタインの第九を聴いて、「今後、オレはクラシックを聴こう!」と決心したのであります。

以後、オーディオに関心があったこともあって『ステレオ芸術』を読み(当時はオーディオ・ブームの時代だった)、やがて、少々難しかったが『レコード芸術』を読み始め、NHK-FMのクラシック番組を貪るように聴き(当時は、クラシック番組が大変多かった)、エアチェックして(そのためにカセットテープがどんどん増えた)・・・・。
1980年前後のビンボー学生はおおかたそんな暮らしだったろう。

しかし、それにしても、今聴いてもこの演奏は全く素晴らしい。
重厚な音が迫力十分い押し出してくる。それなのに、鈍重な感じはしない。全体的にテンポは快速で、リズム感一杯で、とてもフレッシュ。しかもバーンスタインらしい情熱的な指揮、それに見事に反応・協調するウィーン・フィルも素晴らしい。

第1楽章は快速。バーンスタインの情熱が噴出する。その激しさの中に引き込まれて、昂奮してゆく自分に気づく。いや、迫力満点。切羽詰まった感じの表現もイイ。その緊張感がたまらない。

第2楽章も緊迫感が続く。特に弱音分が良い。弦楽セクションのヤル気が伝わってくる。速めのテンポで進んでゆくのも、演奏が弛緩しなくてイイ。スケルツォ中間部の木管とホルンの響きも最高と思う。

そして第3楽章のアダージョ。これを聴いて幾度慰められたことか。何と美しい音楽だろう・・・何度も僕は思ったなぁ。
大人になる途中の、疾風怒濤の時代、誰もが経験しただろう沢山の悩みを抱えて(今思えば大したことでもないのだが、当時は重大な問題だった)、だからこそ、このアダージョが身にしみた。
バーンスタインはここでもやや速めのテンポ。サラッと行く。この「サラッ」としたところがイイ。ドロドロした進行では、涙も出ないだろう。

終楽章は、独唱も合唱も素晴らしい。圧倒的。
ソロもよくとおるし、アンサンブルもよく揃っている。クルト・モルの充実した低音は最高だし、ルネ・コロは当時全盛期であったろう。素晴らしいテノールを聴かせる。
女声では、シュヴァルツの声がイイ。しっとりとして、心にしみる優しさ。

ラストに向かって感興が高まります。情熱が噴出します。
録音は今も十分素晴らしく、特に低音の響きがエエです。
かけがえのない一枚。多分、一生聴き続けるのだと思います。

すべては、この一枚から始まりました。

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