クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

マーラーの交響曲第6番 イ短調「悲劇的」 インバル/フランクフルト放送響

2008年01月16日 05時35分26秒 | 交響曲
四国伊予路も、冷え込みが厳しくなりました。寒であります。
皆様、寒中お見舞い申し上げます。

さて、今日は大曲です。

マーラーの交響曲第6番 イ短調「悲劇的」。
エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送交響楽団の演奏。
1986年4月、フランクフルトのアルテオパーでの録音。DENON盤(ヘッセン放送との共同制作)。

インバルのマーラー全集から20年経過した。
当時はマーラー・ブーム絶頂だった(ついでにバブル経済も絶頂だった)。
インバルのマーラーは、実に見通しの良い演奏で一世を風靡したものだった。演奏が素晴らしいのでレコード評論家は絶賛、DENONの録音も最高であってオーディオ評論家からも絶賛だった。
今聴いても、ホンマに録音は素晴らしい。超優秀録音だった。B&K社のマイクを使用するなどDENONが意欲的に海外録音に取り組んでいた頃でもあった。
ホールトーンも十分で残響が美しく、定位はビシッと決まっている。個々の楽器も実在感十分で、しかも鮮やかな音で捉えられている。家庭で聴くのに十分すぎるくらいの贅沢な録音と云うべきか。
第4楽章のハンマーも強烈。部屋が震える。ハンマーの音が大音量で収録されているから再生には気をつけろ、とジャケットにご丁寧にも注意書きが記されているほど。

オーディオ的快感が一杯のこの演奏も、今や廉価盤、クレスト1000シリーズで1,500円。エエ時代になったものです。
(ブリリアントの激安全集BOXだともっと割安になりそうです)

さて、演奏。

第1楽章は立派な構成で感嘆。フランクフルト放送響が巧い。特に金管が安定していて、音色も良い。金管群のアンサンブルも完璧、実に達者な演奏。
弦楽セクションにもう少し色気・艶があればいいのになぁと思うのだが、独特の細身の音は、インバルがつくり出すシャープなマーラーに、よく合っているとも思う。この弦の音が、インバルの基本なのかな。

第2楽章は充実した演奏。独特の粘りもある。
インバルはユダヤ人。バーンスタインなどに通ずる「粘り」がこの楽章では聴ける。
ベトベト感はないのだが、フレーズのそこかしこ、特に遅い部分での粘り・タップリ感は、インバルの特徴と思う。僕は好きだなぁ、この粘りの質は。淡泊なようでいて、実は十分に粘着するマーラーと云えるかも。

第3楽章はアンダンテ。この順番がインバルの録音当時は普通だったと思う。今は第2楽章にアンダンテを持ってくるやりかたが増えたようだが、聴き慣れているせいか、僕には第3楽章がアンダンテである方がしっくり来る。
演奏は実にクール。瑞々しく濡れたような抒情が、静かに響き渡る。粘りも少し。
ホルンがイイ。これ最高に巧い。甘い音が良く、響きもウットリするほど美しい。それを包み込む細身の弦楽セクションがまたよろしい。ヴァイオリンなど涙が出る。

フィナーレはフランクフルト放送響の実力発揮。
インバルの指揮も堂に入ったもので、聴かせ上手。30分にわたる長大な楽章を全く飽きさせずに持ってゆく。

ハンマーは確かに強烈。
再生には、ホンマにご注意ください。


<マーラーの交響曲第6番「悲劇的」 自己リンクです>
■小澤征爾/ボストン響
■マゼール/ウィーン・フィル
■アバド/シカゴ響
■ブーレーズ/ウィーン・フィル
■ヤンソンス/ロンドン響
■テンシュテット/ロンドン・フィル(EMIライヴ盤)



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