クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

若杉弘/ドレスデン・シュターツカペレのマーラー「巨人」

2005年08月18日 05時42分13秒 | 交響曲
最近、本屋を営む友人が、不景気と読書離れで、本が売れない売れないとぼやいております。
若い人が本を特に読まなくなったように思いますな。
ケータイにあれほど金を使っては、本を買う余裕などないでしょう。
CDはどうかな?もうダウンロードで済ませるようになってしまっているのかな?
クラシック音楽のCDなんて、お先真っ暗な感じもします。
先日も、行きつけのレコード屋を1時間ほど物色したものの、来客はボク一人。
寂しいもんです。

近所の別の本屋(文房具やCDも売っているような、小さいけれど便利だった)が閉店バーゲンしてました。クラシックのCDも少々置いていたんですが、ソニーの1000円盤などは軒並み300円。ダブリ買いに注意しながら(しょっちゅうダブってしまうので・・・(^^ゞ)、10枚ほどゲット。その中の1枚が今日のCDであります。

マーラーの交響曲第1番「巨人」。
若杉弘指揮ドレスデン・シュターツカペレの演奏。1986年の録音。原盤はドイツ・エテルナだったと思う。ドレスデン・シュターツカペレの「巨人」は、他にスウィトナーの1962年録音のCDしか聴いたことがない。他にあるのかな?。

ドレスデン・シュターツカペレの音が、DENONなどに比べて、やや明るめで艶やかに聴こえるのは、レーベルの特色か、録音が少々違うのか。もう少し渋めの音だったように思うのだが(DENONやドイツ・シャルプラッテンでは渋め)、エテルナ盤の鮮烈さも悪くない。トランペットやトロンボーンなど、金管の咆吼などキラキラしていて心地よいし、ホルンの音色は、いつも通り甘く太く柔らかい。
アンサンブルも、例によって素晴らしいし、楽器の溶け合いも見事。

この曲はマーラーの青春。
ワルターが言ったように「マーラーのウェルテル」だと思うし、聴き手にとっても青春交響曲だろう。

若杉の採るテンポは、速すぎもせず遅すぎもせず、心地よい。弦は、ドレスデンの柔らかさ、高音はしなやかに伸びてゆくし、木管は柔らかく優しくからみつく。青春の憧憬を十分に表出していると思う。
音楽の表情付けもあまりせず、どちらかというと、淡々と進む。オーケストレーションそのものが良く出来ている(と、ボクは思う)ので、無理な演出を若杉はしていない。
水彩画のような、スッキリとして軽みをもった演奏。さすがに終楽章は壮烈に盛り上がるが・・・・。前の3つの楽章が、アッサリとして特徴的。

いわば「中庸」の演奏。

マーラーこそ後期ロマン派の典型なのだから、もっとドロドロ、表情たっぷりに演奏出来るのだろうが、我が若杉は、「中庸」路線。
「涙節」はないし、「絶叫」もない。
やや薄味かなとも思うが、これが若杉弘のマーラーの特長なのだろう。
オケの特徴を前面に出しながら、ゆったりと焦らず、淡々と演奏させてこの素晴らしさ。
「もっと泣いて欲しい」と若い頃なら思ったかもしれないが、今はこんな演奏がボクは好きです。





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