クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ブルックナーの交響曲第3番 ニ短調 「ワーグナー」(第1稿) インバル/フランクフルト放送響

2007年06月14日 01時59分34秒 | 交響曲
ようやく梅雨入りです。まだ本格的な雨は降っていませんが、今日あたりから崩れてくるんでしょう。
平年より9日遅いとのこと。そろそろ降ってくれないと、田んぼは大変です。まだ丈の低いイネが、雨を欲しがっている感じです。

さて、今日もブルックナーを聴いています。

ブルックナーの交響曲第3番 ニ短調 「ワーグナー」(第1稿)。
エリアフ・インバル指揮フランクフルト放送交響楽団の演奏。
1982年9月、フランクフルトのアルテ・オパーでの録音。TELDEC原盤。

ノヴァーク版第1稿の衝撃。
この曲の副題「ワーグナー」の意味は、この版を聴かないと分からないのではないか。第2楽章の後半で出てくる「タンホイザー」のリズムなど、痺れるほど。ああ、これがワーグナーなのだ。

インバルは終始緊張感を保ち続けながら、オケを統率する。
フランクフルト放送響は好演。万全のテクニックで、強奏では崩れず、弱奏ではデリカシーを醸し出す。金管が抜群に巧く(実演でも凄かったが)、安定感抜群。
弦楽セクションの響きは透明感があって、やや青みがかった感じ。クールで繊細な響きだと思う。ピアニシモが綺麗なのはTELDECの録音が素晴らしいのと、アルテ・オパーのホールトーンの良さかな。実にいいオケだと思う。
(ほんわかと、暖かく優しい響きのオケが好きな人には向かないかも。)

インバルの指揮は引き締まって、職人気質と言っていいだろう。こつこつと丁寧に、地道な積み重ねを行って、音楽をつくってゆく感じ。

その丁寧さが利いて、第1楽章などは単調になりやすい構造なのだが、音楽を飽きさせない。ついついミリタリー調になってしまうところを、しっかり引き留めて、緊張感のある演奏ぶり。フルートやホルンのソロが非常に美しい。

第2楽章アダージョはこのCDの白眉。
弦楽セクションの美しさが基調であって、中欧の深い森を想像させる静寂感がたまらない。「ローエングリン」などにも通ずるドイツの森だ。ワーグナーだ。
そして、いよいよ出現する「タンホイザー」序曲の素晴らしいこと!オケも最高の音で、ブルックナーの憧憬を歌ってゆく。最高潮。

第3楽章のスケルツォも楽しい。いかにもブルックナーで、9番交響曲のスケルツォと似た雰囲気の音楽。あれほどの切迫感はないが、インバルで聴くと迫力十分。
フィナーレも、インバルの克明で細部までしっかり抉り出す指揮がイイ。フランクフルト放送響が敏感に反応して、引き締まった演奏を聴かせる。

インバルのブルックナーはシャープな切れ味がカッコイイです。
スッキリ系で、もたれないブルックナーでもあります。
インバルより年長の名匠巨匠の演奏と比べると、少し薄味なのかなとも思いますが。オケが素晴らしく、インバルの意図をよく反映している協調が美しく、好ましいと思っています。

録音は素晴らしいです。
今も十分現役盤でしょう。



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