クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

ブルックナーの交響曲第9番 ニ短調 「原典版」 朝比奈隆/大阪フィル

2008年01月24日 04時05分07秒 | 交響曲
暦どおりの寒さです。まさに大寒。
さて、今日は大曲を聴いてます。時間は60分を超える程度なんですが、この曲は大曲と思います。

ブルックナーの交響曲第9番 ニ短調 「原典版」。
朝比奈隆指揮大阪フィルハーモニー交響楽団の演奏。
1995年4月23日、大阪、シンフォニーホールでのライヴ録音。
ポニー・キャニオン盤で、1,500円の廉価盤。

朝比奈隆の晩年の演奏は、神々しいばかり・・・。スゴイと思う。
朝比奈のCDは夥しい数があるので、どれが良いのか、僕は朝比奈マニアではないのでよく分からない。CDには当たり外れがあるとの世評もあるのだが、さて、たまたまなのか、僕が購入したCDは立派なもんだなぁと思えるものが殆どだった。

このCDのライナーノートによれば(書いているのは宇野功芳)、1992年に開始された朝比奈隆のブルックナー全集の、これは完結盤になるそうな。9番交響曲だけをとると、5回目の録音。スゴイ。ブルックナーの9番を(ブル9と略した方がエエですか?)5回も録音した指揮者は、世界広しといえど、朝比奈一人くらいだろう。

さて演奏。

第1楽章から悠然と音楽が進む。朝比奈は細部にこだわると云うより、大局的に音楽を捉えて、大づかみに演奏させてゆく感じ。悠久と河は行く・・・・といった風情の演奏と思う。
録音が素晴らしく、弦楽セクションなど抜群の音響を聞かせてくれる。大変にいい音でヴァイオリン群が鳴る。アンサンブルには少々キズがあって、縦の線が揃わないところもあるのだが、ライブだものね、「そんなの関係ねぇ」でしょ。ホルンやトランペットも朗々と輝くような音色を響かせ、聴いていて実に気持ちいい。これは素晴らしい音楽と思う。
第2楽章スケルツォも、急ぎすぎないで安定感十分の演奏。
中間部での弦楽アンサンブルの美しさには陶然、いやもう、快感としか云いようがない。神々しいばかりの美しさ。後光が差しているんじゃないか。
録音も素晴らしいのだろうが、この響きなら欧米のオケにも負けんゾイ。大阪フィル、立派やわぁ。

第3楽章アダージョは、朝比奈隆の自信が漲っている。
いや、自信というと何となく傲慢な感じがするな。そうではなく、もっと謙虚であって、確信、信仰、祈りに似た感じの演奏ぶり。
ああ、これがブルックナーの歌だ。
スケール雄大、高峰のような表現もあり、心から慈しんでいるような愛情豊かな表現もあり、ホンマに朝比奈のブルックナーは素晴らしいと思う。
感動的であります。


録音が素晴らしい。
ホール中央S席で聴いているような感じ。見事な臨場感です。
ライブならではの良さでしょう。
弦楽は柔らかく、スケール豊かに広がっていきます。
金管の炸裂も見事。つぶれたりなんかしません。
日本人の演奏を日本人が録る。そして、こんなにイイ音。
幸福であります。


日曜日からの大雪と氷結で、ゆっくり新聞・テレビのニュースを見ている間がなかったのですが、「違いがわかる男」江藤俊哉氏が亡くなったとのこと。僕はこの人のCMを見て、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を初めて聴き、レコード屋に走ったものでした・・・・・・。エエ音楽やなぁ・・・としみじみ思いました。我が青春の時でした。
合掌。

購ったのはジノ・フランチェスカッティ盤。CBSソニーの1300円廉価盤でありました。



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