クラシック音楽のひとりごと

今まで聴いてきたレコードやCDについて綴っていきます。Doblog休止以来、3年ぶりに更新してみます。

シューマンの交響曲第4番 ニ短調 ハイティンク/アムステルダム・コンセルトヘボウ管

2007年11月01日 06時02分49秒 | 交響曲
今日から11月。早いもんです。
今年も残すところあと2ヶ月です。

さて、今日はロマンうねる交響曲を。

シューマンの交響曲第4番 ニ短調 作品120。
ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏。
1984年12月、コンセルトヘボウでの録音。フィリップス盤。

全体的にバランスが良く、仕上げも美しい、ハイティンクの職人芸が味わえる演奏。ACOの音も、ほの暗く、しっとりと濡れたように柔らかく、この交響曲の暗い情念、ディオニソス的な一面にふさわしいと思う。

第1楽章は速めのテンポで推進力あふれる運び。
ハイティンクは克明に楽譜をなぞって、シューマンの書いたとおりに再現していこうと音楽を進めてゆく感じ。その証拠に楽器が重なってしまうシューマンの弱点(そこが僕はまた好きなのだが!)、これがよく出ていて、響きがくすんでいる。オケの音のせいではなく、シューマンの音楽そのものに起因するくすみと思う。灰色がかって、モヤッとした音楽なのだが、ハイティンクはそれを見事に再現する。
それにしても、ACOの音は素晴らしい。しっとりとした肌触りはこのオケならではの音。全く心地よい。

第2楽章は、いかにもシューマンらしいメランコリックなロマンツェ。
シューマンはこの交響曲に「交響的幻想曲」と副題をつけていたという。その意味が分かるのがハイティンクの演奏。ACOの響きがまさに幻想を誘う渋い音。
ソロ・ヴァイオリンも細身ながら実に美しく、弦楽セクションのアンサンブルも乱れなし。木管群が活躍する時の、音楽がどんどん内面に沈潜してゆくところ・・・これは全く美しい。旋律も絶美。

第3楽章は、スケルツォ。今度は外へエネルギーが噴出する。
第2楽章が内面への沈潜なら、この楽章は外部へのロマンの放射。
ハイティンクの指揮は見事にそのへんを描き分けてゆく。巧いもんだなぁ。今思えば、この時期、ハイティンクは着実に巨匠への道を歩んでいたのだ。その証左たる演奏と云うべきかな。

フィナーレは、冒頭のホルンの朗々たる響きに耳を奪われる。
快速な歩みとともに、仕上げが美しく、ラストは堂々たる音楽が出現する。
シューマンのロマンが大きくうねりながら、最高潮の盛り上がり。ハイティンクの指揮はメリハリがきいて、聴かせどころではグイッと盛り上げるしたたかなもの。堂に入った演奏だと思う。

録音は、コンセルトヘボウの余韻が美しく捉えられていて、木質の響きも素晴らしいもの。自然でふっくらした音楽を堪能できる名録音であります。



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