(本頁は「全国山の日協議会」への投稿文「東北の山を眺める/まずは鳥海山・その1」の原本です。)
今回は山に登るのではなく、山を眺める話をしようと思います。
私は子供の頃から山が好きでした。
幼少の頃は下界から遠く眺めるだけ、長じてから山そのものに登り、
ときには頂きを極めるようにもなりましたが、
老いて来たらまた眺めるスタイルに戻りつつあります。
冒頭写真は私の生地(秋田県)横手市郊外から見た鳥海山です。
鳥海山は私が今住んでいる秋田市からも小さく山体の一部を見ることが出来ます。
眺める山、最初は鳥海山からスタートします。
この山は秋田と山形の県境付近に聳える火山です。
高さは2236m、東北では尾瀬の燧ヶ岳に次いで二番目に高いとされていますが、
日本海のすぐ近く0mから聳えているので、
山体としての高さ、規模の点では燧岳(2356m、ただし山麓の尾瀬ヶ原の高さは約1400m)を遥かに凌ぎます。
私は東北第一の高山だと思っています。
庄内平野や本荘、にかほの平野から眺めると2200mを超える標高差で聳えております。
これだけの標高差で平地から眺められる山は東北では鳥海山だけ、
国内でもそう多いものではありません
(これ以上の標高差がある山は富士山、富山から見る剱岳立山、加賀の白山、日光の男体山女峰山、上越の頚城三山くらいか)。
なお鳥海山は秀麗な姿から出羽富士や庄内富士、秋田富士などとも呼ばれますが、
本物の富士山とは異なり、見る角度や場所が変わると、その姿を大きく変えます。
二番目の鳥海山は山形県(庄内地方の)遊佐町から見たものです。
鳥海山の眺めは多彩なので、今回も含め、三回シリーズで語ってまいります。
初回は今年1月11日、秋田県にかほ市から見た鳥海山です。
日本海側の秋田地方の天候は冬場の約四か月間は曇天や降雪が続きます。
そのため冬に鳥海山が見えることは滅多になく、
三月になって初めて見えたという年もあったほとです(ここが太平洋側の富士山との大きな違いです)。
1月11日は珍しく、朝から、からりと晴れて自宅二階から鳥海山のアタマが見えました。
すぐにでも車を飛ばしてもっとよく見える場所まで行きたかったのですが、
この日はあいにく午前中、用事があり、家を空けられませんでした。
昼、用事が済んだら、今度は鳥海山方面に雲が懸かり見えなりました。
ところが15時近くになったら、雲が取れてまた姿を現していました。
秋田市からは遠いですが、にかほ市まで走れば、
夕日を浴びた鳥海山が見れるかもしれない。善は急げと家を出ました。
16時ちょっと前頃、にかほ市の象潟インターに到着。
参考マップ
次の写真は、高速を降りて奈曽大橋を越えた先の道端(参考マップの地点A)から撮りました。
これが私の今年の鳥海山、初撮影になりました。
この位置(下のマップ地点A)から見た鳥海山は冒頭二枚の鳥海山とはとても同じ山とは思えない姿です。
鳥海山本体の前面に支峰の稲倉岳が覆いかぶさっています。
次いで約10分後、国道7号線との合流点にあるローソン大砂川店の駐車場(参考マップの地点B)から。
ここから眺める鳥海山は左側に支峰の稲倉岳が突き出しているので、
ふたつ山が並んでいるように見えます。鳥海山は見る場所がちょっと違うだけで大きく姿を変えます。
ローソン(参考マップの地点B)で鳥海山を眺めた後、国道7号線を南に少しだけ走り、
左折して大須郷の集落(マップの地点C)に入ってみました。
ここから眺める姿はBとあまり変わりません。鳥海山全体の姿を眺めてみました。
ところで鳥海山本体の右、手前側に見える笠を伏せたようなゆったりとした山は何というのでしょうか。
地図で見ると、扇子森(1759m)や御浜神社、笙ヶ岳(1635m)など部分的な地名は有るが、
緩やかな山全体を表す名前はわかりません。
後で手持ち書籍、フィールドガイド日本の火山4 東北の火山(高橋正樹+小林哲夫・編、築地書館・発行)を
あたったところ、鳥海火山は東部と西部のふたつに分けることが出来ると言う記述が有りました。
そのため西部のこのゆったりとした鳥海山はひとまず西鳥海山、あるいは西鳥海火山と呼ぶことにしました。
この先、県境を越えて山形県側からも眺めたかったのですが、今日はそちらへの移動を断念しました。
理由はもうじき日没だからです。
日没前ににかほ市内の小滝(参考マップの地点D)に急ぎ移動し、バス停跡地で撮影を始めました。
ここから見ると、稲倉岳は鳥海山本体の脇に収まり、見分けがつかなくなっています。
17時少し前になったら日没でした。
日没後、少しですが、アーベンロート(夕焼け)になりました。
ラスト写真は私自身初めて見た夕焼け姿の鳥海山です。
以上。
「東北の山を眺める2/山形から見た鳥海山」へ続く。