goo blog サービス終了のお知らせ 

みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『ペルセポリス』観ました。

2018-01-07 16:00:00 | 劇場用アニメ
2007年:フランス。 監督:マルジャン・サトラピ、ジャン・パルノー(共同)。 
WOWOWからの録画。

これは観る者に、非常に訴えかけてくるものがある傑作アニメと感じます。
パーレビ王政を打倒したのちに、イラクとの戦争をくぐり抜けてきたイランの
苦難の時期。これはマルジ(愛称)という一人の女性の半生記でもあります。

 
パリの空港待合で。 ふと少女時代を回想。     ブルース・リーに熱中していた幸せな子ども時代。

いまはフランスに住み、アニメ作家として生きているマルジャン。
彼女が子どもだった頃、故国イランは未だ王政をとっていた。
王パーレビは米国を後ろ盾にして、民衆を力で押さえつける。
国民の不満が頂点に達したとき、王政打破のうねりがイラン全土で起こった。
王は国外へ逃げ、革命は成就したが。

 
王政打破を訴える民衆デモ。           パーレビ王は国外へ逃亡したが、現実は....。

新政府はかつての旧勢力を一掃するべく、かつての有力者をことごとく銃殺。
あるいは密告を推奨して大量の逮捕者をだし、不安と恐怖に満ちた世情となる。
結果としてイランの国力は大きく衰退。
その様子を耽々と注視していた隣国イラクが(当時フセイン大統領)攻撃してくる。

 
隣国イラクからの攻撃を受ける。          ひたすら防空壕で爆撃に耐える民衆。

クウェート侵攻に端を発したイラク軍の勢力は大きく、イラン側は防戦一方に傾きがち。
国民は連日の空爆に耐える。だが義勇軍が多く組織され、イラン側の戦意は高い。
やがて膠着状態となるがイスラエルやシリアなどの助力を得て、戦況は好転。

 
叔父は共産主義者ゆえに投獄され銃殺に。      両親は娘を心配してウィーンへ留学させる。

マルジをたいへん可愛がってくれたアヌーシュおじさん。
彼は筋金入りの共産主義者だったため、王政の時も新政府の時も投獄されて
結局は銃殺の憂き目にあう。
しかし世の中で何が正しいか、何を信じるべきかをおじさんは繰り返し話してくれた。
おじさん同様に曲がったことが大嫌いなマルジ。
学校内でも教師たちの保身と偽善を容赦しない。
これはとても危険なことだ。アヌーシュおじさん同様、いつ警察に逮捕されても
おかしくない行為なのだ。
両親はそんなマルジの身を案じて、急いで彼女を欧州に留学させることにする。

ここまでがマルジの少女時代。ウィーン留学以降は、さまざまな体験を積んで
傷つきながらも一人の女性として成長していく様子が描かれます。
ただ戒律の厳しいイスラム系の国家で一般庶民の娘が外国への留学するなどは、
経済的な意味からも、やはり簡単にできることではないでしょう。
マルジが王族に連なる家庭の子女だからこそ可能だったともいえます。
(パーレビ王族とは異なる、別系統の王族の一員)
ディズニーやドリームワークスなどの米アニメとは全く異なる肌あいの作風は、
アニメ愛好家として、やはり一見に値すると言えます。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。