みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『ブレンダンとケルズの秘密』観ました。

2016-03-30 16:00:00 | 劇場用アニメ
2009年:愛蘭・仏・白。 監督:トム・ムーア。 米BD盤にて視聴。
3月24日に観た「ソング・オブ・ザ・シー」と同じく、トム・ムーア監督作です。
日本や米国のアニメとは全く違う作風が彼の身上ですが、
この作品にもそうした世界観が色濃く投影されていますね。


カラー24Pの小冊子が添付(内容はアイルランドに伝わる伝説)。
添付のカラー24Pの小冊子ですが、これを読むとケルト民族が北方のヴァイキングから
しじゅう襲撃を受けていたことが解ります。

 
僧院長みずから砦壁づくりの石はこび。       ヴァイキングの襲撃から逃れてきた修道士エイダン。

ブレンダン少年は伯父さんの僧院長とともに僧院で毎日を送っていた。
いずれは自らも聖職者の道を目指すつもり。
ある日ヴァイキングに襲われた遠くのアイオナ島から一人の老修道士が逃げのびてきた。
彼は白い猫を連れていた。そしてその手には制作途中の『ケルズの書』があった。
はじめ自分はちょっとカン違いをしていました。
『ケルズの書』=所有者には人間ならぬパワーが与えられ、
襲ってくる敵をことごとく撃退してしまえる力があるのだと。
実際はそういうモノではなくて、あくまで人の心に平和と知識そして安寧の境地を
もたらすのが『ケルズの書』ということでした。
まあ映画を観ているうちに間違いに気づきましたが。


 
知識と英知を宿したケルトの書。          インクの原料となる木の実を森で探さねばならない。

老修道士エイダンはブレンダンに、制作途中のケルズの書を完成させるべく助けてほしいと依頼。
”羊皮紙に描くための特殊なインクが必要だ。その原料となる特別な木の実を探してきてほしい。”
書の美しさに魅かれた彼はすぐに同意するが、大きな障害があった。それは伯父の修道院長だ。
彼はヴァイキングどもの襲撃から村を守るためには、村の周囲に堅固な高い壁を築くことこそが
最も大事だという考えであり、それ以外のことは全く頭にない人物だった。
ケルズの書を手伝うヒマがあれば石材の一つも余計に運べという考えの人。
伯父さんには逆らえないと思いつつも、ブレンダンは早朝のうちに村を出て森に向かい
インクの原料となる木の実を探すことにする。

 
ブレンダンとアイシュリンの出会い。        アイシュリンは目的の木の実まで案内をしてくれる。

あてもなく木の実を探すうちに不思議な少女アイシュリンに出会う。
彼女こそが森の精であり森の主なのだった。
何が目的で森に入ったのかを厳しく問うてくるアイシュリン。
ブレンダンは隠さず事情を話すと彼女は解ってくれて木の実のある場所まで案内してくれる。

 
「さあ、あなたの探していた木の実よ」       ブレンダンの最初の作品。人の気持ちを和らげる力がある。

首尾よく木の実を手に入れたブレンダン。森の出口まで見送るアイシュリン。
どうやら彼女はブレンダンが気に入った様子だ。
「またいつでも森にきて良いよ」と言ってくれる。
おかげでブレンダンとエイダン修道士はケルズの書の制作を再開。
しかし書を制作するに当たって必要なものがまだあった。それは....!?
再び森に向かうブレンダン。
この後ほどなくしてヴァイキングたちが村を襲います。あれほど伯父が心血を注いで
築いた砦の壁もあっさりと突破されてしまい、村人を守る手段にはならなかった。
焼払われた村を後にして、ブレンダンはエイダン修道士とともに
僧としての修業のため長い旅に出ます。ケルズの書の制作も同時に進めながら。
現在アイルランドの首都ダブリンに、このケルズの書の実物が国宝として
保管されているとのことです。
このアニメ、新作の『ソング・オブ・ザ・シー』もそうでしたが、美しい画面の
オンパレードです。この手の画風が好きならばもうウットリという感じですね~。
”森の精”とかが出てくるなど物語は半ば伝説混じりでしょうが、
書の完成に至る大筋はこれに近い感じなのでは。

『21グラム』観ました。

2016-03-28 16:00:00 | 洋画
2010年:米。 監督:アレハンドロ・G・イニャリトゥ。 WOWOWからの録画。
評判の良い作品なので期待していたんですが、実際に観てみると今ひとつでした。
時間軸の交差がたびたびあるのはともかく、『オチ』のない落語を聞かされたような....。
どの俳優さんたちも頑張っていると思うんですが、作品としての纏まりが希薄に感じました。
つまり監督さんの責任が少なからずあるといった印象です。
全体を流れる雰囲気は割と引き締まっていて良いものがあるんですけどね~。
最後の『21グラム』に対するコメントも何かあんまり意味がないって気がするし。
観終ったあとにアヤフヤな気分の残る、ちょっと残念な映画でした。

 
元コカイン中毒患者のクリスティーナ。       かつて「札付き」だったジャック。いまは熱心な信者に。

コカイン中毒患者のクリスティーナ。今は結婚して子どもにも恵まれ幸せな毎日。
断酒会ならぬ断薬物の会にも定期的に出席している。
しかしそれは表向きの話。実は現在もコカインとは切れておらず、精神的に不安定な
状況にあると、つい薬物に頼ってしまう傾向がある。
つて札付きのワルだったジャック。いまは信仰に目覚めて、教会の奉仕活動にも
積極的に参加している。

 
ポールの妻メアリーは人工授精を希望。       必ずしも成功するとは限らないと釘をさす医師。

学で数学を教えているポール。心臓の持病があり、移植手術を受けない限り
先は長くないとの診断を受けている。
のメアリーは、夫の存命中に人工授精でポールの子を産みたいと願っている。
ただ人工授精をしても必ず成功するとは限らないと医師は釘をさす。

 
警察からの電話。夫と娘二人が交通事故に。     ひどい状態の事故現場。

そんなある日クリスティーナは警察からの突然の電話で、夫マイケルと二人の娘が
交通事故に遭ったと知らされる。結局3人ともに命は助からなかった。
加害者はジャックだった。運転中のちょっとした不注意が大事故を招いてしまった。
気が動転して一度は現場から逃げたジャックだったが結局は自首して収監される。

 
ポールの心臓手術は成功。             加害者ジャックを深く怨むクリスティーナ。

亡くなったマイケルの心臓はポールに移植され、結果ポールの命は助かった。
そうなると妻メアリーとの仲は逆におかしくなってくる。
元々二人の夫婦生活は破綻していたのだ。棚上げにされていた夫婦の問題も
ポールの延命により再浮上。今さらだが人工授精の問題も微妙になってくる。
一方ポールは探偵を使って心臓の提供者であるマイケルのことを突き止める。
そして残された妻クリスティーナの姿をみて一目惚れしてしまう。
二人は親しくなり、クリスティーナはポールにジャックを殺すように願うが....。

惜しい映画だと思いました。小細工が過ぎて焦点がぼやけてしまった感が
あります。イニャリトゥ監督は気負いすぎ、弄りすぎてしまったということでしょうか。

『チャッピー』観ました。

2016-03-26 16:00:00 | 洋画
2015年:米・墨。 監督:ニール・ブロムカンプ。 WOWOWからの録画。
評判がいいようなので観てみました。なるほど~これは確かに中々の映画でした。
ロボット型警官て発想はこれまでもあったけど、面白かったです。

 
世界初のロボット警官隊が誕生。          圧倒的なパワーで犯罪組織を次々に撲滅。

南アフリカの首都ヨハネスブルグ。あまりの治安の悪さに手を焼いた政府は、
人工知能を組み込んだロボット警官隊を創設。これが予想以上の好結果を得た。
警察はメーカーのテトラヴァール社に対して大幅な追加注文を決定。
おかげで生産ラインはフル操業。開発者ディオンに対するブラッドリー社長の覚えはめでたい。
いっぽうで軍隊仕様の重装備を備えたロボットを開発した別部署のヴィンセント
ここまでの攻撃力や装備は必要ないと警察から却下されてディオンに対する嫉妬がメラメラ。

 
生産ラインはフル操業。              廃棄処分のロボットをこっそり持ち出す。

ディオンは更なる段階をめざしていた。それは知性や感情をもった自立型ロボットの製造。
ある意味それは技術者にとっては究極であり最高の目標でもある。
ブラッドリー社長に直談判して開発許可を得ようとするが、経営者の立場からすれば
直ちに利益を生まない事項には興味がわかない。あっさり却下されてしまうディオン。
諦めきれない彼は廃棄処分の壊れたロボットを自宅に持ち帰り研究を続けようとするが....。

場末の廃墟を根城にしている3人組のチンピラがいた。彼らは恐い本物のギャングから
多額の借金をしていた。返済期日が迫っており、返さなければ命が無い。
どう金を工面したものかと焦っている。
今のご時世、悪事を働こうとしても直ぐにロボット警官がやってきて逮捕されて
どうにもならない。そんな時一人が思いつく。
「そうだリモコンがあればいいんだ」

 
ロボットも機械であることに目をつけた悪党。   自宅に帰る途中、悪党どもに捕えられる。

ロボットも要するに人がつくった機械に過ぎない。基本はテレビと同じことだろう。
ロボット警官がやってきたら、リモコンで即動きを止めてしまえばいい。
それなら犯罪も簡単だ。だがそのリモコンはどうやって手に入れる?
早速インターネットを使って検索。どうやらディオンというチョロそうなヤツが開発者のようだ。
こいつを捕まえればリモコンも何とかなるに違いない。
ディオンが廃棄処分のロボットをバンに載せて、会社を出たところを襲撃。
クルマに押しこんでそのままアジトに連れ込み、リモコンを要求。
だがもともとロボット警官はリモコンなどで動いているわけじゃない。
つまり3人組の計画は初めから見当はずれなものだったわけだ。ガッカリだ。

そんなチンピラたちに構わず、ディオンは自分の研究成果を載せたチップを
使って廃棄ロボットを再起動させる。
自ら知識を取り入れて成長することのできる、知性や感情をもったロボットの誕生だ。
ただし赤ん坊同様に成長にはそれなりに時間はかかるが。

 
引きつづき自分が面倒をみると主張。        チキン人形を見て喜ぶチャッピー。

初めのうちは全くの幼児状態。目の前に出されたチキン人形を見て大喜びしたりする。
ディオンにしてみれば大切な研究の対象だ。ぜひ自分の手でちゃんと育てたい。
しかし彼は会社勤めの身。どうしたってチャッピーは大半の時間をチンピラどもと過ごすワケで。
やがてチャッピーはじょじょにチンピラどもに影響され、その行動も染まっていく...。
まあ似たようなストーリーはあると思うんですよね。でもこの映画を観て
面白いというのはやはり創る側の才能とか手腕というものでしょうね。
あと嫉妬野郎のヴィンセントですが、後半おおいに活躍?してくれますよ~(^^;

『ソング・オブ・ザ・シー』観ました。

2016-03-24 16:00:00 | 劇場用アニメ
2014年:米ユニバーサル。 監督:トム・ムーア。 米BD盤にて視聴。
アイルランド系のスタジオがメインになって制作されていますが、これだけの規模の
作品ですから、数カ国の協力も仰いでいる様子です。
パッケージのデザイン絵を見て、その美しさに感動。何としてもBDを入手したいと
思いましたが、とうとう日本盤は出ずじまい。
已むなく米盤を購入して(日本語いっさい無し)英字幕でなんとか理解に努力しました(^^;
”こりゃ~上品すぎて日本じゃ売れないかも”とか関係者の方は考えたんでしょうか。残念です。

 
ベンとク―は大の仲良し。             アイルランドの古い伝説を絵に描くベン。

本土からちょっと離れた小島に住む家族。父親コナーに長男ベン、妹セイシャ、そして犬のクー。
コナーは未だになくした妻ブロナーの面影から離れられないでいる。
そのため子どもたちに対する関心も薄く、本当の意味では人生を生きてはいないようでもある。
ベンとクー(犬)は大の仲良し。今日は浜辺に出て、アイルランドの伝説にでてくる
神さまの絵をノートに一心に描く。しかしベンは妹セイシャにはごく冷淡だ。
「絵をみせて」と寄ってくる妹をうるさがり、ついに足蹴にして追っ払ってしまう。

 
「ねえ私にも見せて」妹が寄ってくる。       アザラシの群れに誘われるように海に入るセイシャ。

その後ベンは再び絵に没頭。しかしクーの吠え声に海の方を見ると
妹は独り海の中に入り、なおも沖に向かって進んでいた。
最初ベンは知らんふりを決め込んでいたが、なおも激しく吠え続けるクー。
仕方なくセイシャの後を追うが、ひっくり返ってズブ濡れになる。
妹は何事もなかったようにしずしずと岸に引き返す。
ベンにしてみれば憤懣やるかたない、といったところ。

 
ベンの訴えをロクに聞いてくれない父。       母はセイシャを産んだ直後に亡き人に。

さっそく独りで勝手に海に入ったセイシャの行動を父親に言い付けるが
心ここにあらずと言った体でロクにベンの言うことを聞いてくれない。
父の関心は自分よりもセイシャの方にあると感じ取り、なお妹が憎くなってしまうベン。
今日はセイシャの誕生日。本土からお婆ちゃんもやってきて妹の誕生日を
祝うが、ベンだけは仏頂面。
その夜なんとなく目が覚めたセイシャは母の写真立てに見入る。自分を産んだ直後に
亡くなったと聞かされているが....。良く見ると写真立ての後ろの鍵に気がつく。

 
自分の誕生日に白いキレイなコートを見つける。   コートを着て海の中を自由に泳ぎ回るセイシャ。

物置き部屋の奥の箱を見つけて鍵を開けると、綺麗な白いコートがあった。サイズもぴったり。
あとはもう夢の中にいるように無意識にコートを着て海辺に向かう。そのまま海の中に入り
セイシャの身体は白いアザラシと化してゆく。
母親のブロナーもそうだったが、セイシャもまた海の精霊の血を受け継いでいるのだった。
これから以降、じょじょにストーリーが動き出します。
いわば兄妹の冒険物語が展開されるワケですが、
とにかく紡ぎだされる画面の美しさに何度もうっとりとなってしまいます。
実はこのアイリッシュな美の世界こそが監督の真に描きたかったことではないか、と思われます。

あと蛇足ながらセイシャの綴りは ”Saoirse” です。どう読むのか困りました。
なので自分の耳に聞こえる通りに”セイシャ”と表記しました。
女優のシアーシャ・ローナンさんと同じ綴りだと後で気が付きました。(^^;

『BOXTROLLS 3D』観ました。

2016-03-22 16:00:00 | 劇場用アニメ
2014年:米ユニバーサル。 監督:グラハム・アナベル+アンソニー・スタッチ。
セル3DBD(米盤)にて視聴。

傑作アニメ『コララインとボタンの魔女』を制作したスタジオの作品なので
かなり期待しての視聴でした。そしてじゅうぶん満足できる出来だったと思います。

 
赤ん坊はトロールに抱かれて何処に?       害虫駆除業者スナッチャー氏とその部下。

”トロール”の意味は広いようですが、この場合は”小鬼”くらいのイメージですかね?
その小鬼が箱をかぶっているので、”ボックストロール”というわけです。
町の人間たちは”トロールたちが赤ん坊を攫っては食べてしまう”というイメージを抱いているが
それは全くの間違いで、実際は地下に隠れ、じっと目立たないように生活している大人しい彼ら。
時々夜中に町に出て、がらくた集めするのが大好きというだけ。
そんなトロールたちを殺人鬼呼ばわりして、残らず捕まえてみせましょうと約束する
害虫駆除業者のスナッチャー氏。もちろん只ではない。彼はそれなりの報酬を要求していた。

 
トロールたちは次々に捕えられる。         スナッチャー氏の憧れ。白い帽子は貴族の証。

スナッチャー氏には熱い望みがあった。
それは貴族に列せられ、町の名士連中とも対等の付き合いができる身分になること。
そういう意味で彼は、トロールどもを駆逐した暁には貴族の証である”白い帽子”を
リンデ卿から貰い受けたいと願い出て許可を得ていた。
だから一日も早くトロールたちを全員捕まえて抹殺しなければならないのだ。
スナッチャー氏は燃えていた。

  
赤ん坊はトロールに大事に育てられ成長。      捕まった皆を助けようとエッグ少年は地上へ。

一方あの時トロールに抱かれて町から姿を消した赤ん坊は、トロールたちからエッグと
呼ばれ大切に育てられ、今では立派な少年に成長していた。
次々に仲間が捕えられている状況を憂えて、何とかしようと取りあえず地上に出てみる。
そこでリンデ卿の娘ウィニーと知りあうが、噂に聞くトロールの残虐ぶりが
実際はどんななのかと彼女は興味津々。根ほり葉ほりで何でも聞いてくるウィニー。
まともに相手をしているのがバカバカしくなり、その場を立ち去るエッグ少年。

 
少女ウィニーはトロールを誤解している。      ようやくスナッチャー氏の建物に辿りつくが。

町じゅうを探して、ようやくスナッチャー氏の害虫駆除業の建物に行き当たる。
捕まえたトロールたちを監禁するとすればここしかないだろう。
エッグ少年は、用心深く中へ忍んでいく....。
造形にややエグさを感じるものの、個性的だしそれなりに魅力を感じるアニメです。
まあ個性というものは時にエグく、時に美しくでそう単純なものではないですから。
しかし様々な要素があり観ていて退屈はしないアニメでした。
自分は2D盤を購入後に3D盤の存在を知り、3D盤を改めて購入してしまいました。(^^;