みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『ブリッジ・オブ・スパイ』観ました。

2017-06-29 16:00:00 | 洋画
2015年・米。 監督:スティーヴン・スピルバーグ。 WOWOWからの録画。
わりと評判が良いようなので観てみました。事前の知識なしだったんですが、
クレジットを見て初めてスピルバーグ監督の映画だと気づきました(^^;
まあ全体にそつなく巧く纏めている印象を受けるんで、
けっこう手練れの監督さんかなとは感じてましたけど。

 
FBIはソ連側スパイ・アベル大佐のアジトに突入。

当時は世界が資本主義国側(米陣営)と社会主義側(ソ連陣営)の二手に別れて
何かと張り合っていた時代。”冷戦”などとも呼ばれていました。
当然、スパイ合戦の激しさも一般人が想像する以上のものがあったと思われます。

 
多くの米国人はスパイ=死刑が当然との考え。    米側も優秀な軍人を諜報員として養成。

そのような世情の中、FBIはソ連側スパイ・アベル大佐のアジトを発見、逮捕に至る。
米国民の多くがソ連側のスパイなど死刑に処するのが当然との意見の中、建前だけでも
”米側の公平さ”をアピールするため、議会は弁護士をつけて裁判を開く。
担当したドノヴァン弁護士は米社会の憎まれ役を引き受ける形になることもあって
初めはあまり乗り気ではなかったのだが....。
結局ドノヴァン弁護士の尽力で、米国民の予想とは異なり死刑を免れることになるアベル大佐。
そのことが後になって重要な意味をもつことになります。

 
米偵察機U2。ソ連側はこれを発見し撃墜。     パワーズ操縦士はパラシュートで脱出。

一方、米側も軍人の中から優秀な者を選抜して諜報活動に従事させていた。
U2と呼ばれる全身黒塗りの偵察機に高性能なカメラを積んでソ連領空を侵犯、大量の
航空写真を撮影していたのだった。
だがソ連側に発見されて撃墜されてしまう。パイロットのパワーズ中尉はパラシュートで
脱出するが捕えられ、禁錮10年の刑を宣告される。

 
スパイ交換作戦は秘密裡に決定。          妻は今回の夫の出張に軽い不安を覚えて....。

アベル大佐とパワーズ中尉。
ともに米ソ両国の安全上の最高機密情報を握っている二人を極力早期に交換するというアイディア。
映画の後半は両国の利害が一致して、実際にスパイ交換が実行されるというまさかの展開に。
しかし事の性質上、国家が表立つわけには行かない。計画を実行するにしても、あくまで実権のない
一般人としての行動になる。またしても損な役回りを引き受けることになった弁護士ドノヴァン。
だが彼の侠気は「受けるべきだ」と判断。妻には休暇半ばの気楽な出張だと言い置いて
交換の場所=東独ベルリンへ向かう。

長めの上映時間ですが、飽きさせませんね。さすがにスピルバーグ監督の作品だと思いました。
ネタとしては飛びきり新鮮ともいえない題材ですが、それなりに面白かったと感じさせてくれる
あたりはやっぱり大した人です。

U2の存在が明らかになった当時自分はまだ子供、しかし世界中が大騒ぎになったのを
憶えています。特異な形の黒塗り機体はかなり強い印象を受けました。
そして黒い塗料にはレーダーに反応しないための成分が入っているのだとか後から知り
またしてもビックリ。

『レジェンド 狂気の美学』観ました。

2017-06-25 16:00:00 | 洋画
2015年:英・仏・米。 監督:ブライアン・ヘルゲランド。 WOWOWからの録画。
かつて英国に実在していた双子のギャングをトム・ハーディ(二役)が演じています。
兄のレジーは冷静に状況判断の出来るタイプ。
弟のロンは激情的で凶暴、結果を考えずに行動してしまうタイプ。
しかし結局二人とも血のつながった兄弟だけに根本は似たようなところがありますね。

 
ロンドンの裏社会に君臨するクレイ兄弟。      敵対するギャングの経営する店で大暴れ。

一時期ながら60年代初頭のロンドン裏社会に君臨したクレイ兄弟。
昇り調子のときは何もかもが上手く行くように思えたものの、
権力の頂点に立った途端にそれを維持する難しさに直面、
自滅するような形で、兄弟の築き上げた組織は徐々に崩壊していく。

 
レジーは美しいフランシスと出会い、恋に落ちる。  結婚を決意する二人だが。

レジーは美しいフランシスと出会い、恋に落ちる。
だが裏社会を生きていくレジーと、平凡な結婚、平凡な幸せを望むフランシスとでは
所詮うまくいくはずのない恋愛だった。

 
レジー㊨とロンの兄弟げんか。           今回はかなり本気でやりあう。

慎重に損得を見極めて裏社会の荒波を巧みに泳いでいく兄レジー。
表向きと本音の使い分けが出来ないようではギャングとしてとうてい長生きはできない。
だが短慮で凶暴な弟ロンにはそれが見えていず、組織が大きくなっていっても
粗暴な行動は相変わらず改まらない。
チンピラのレベルならそれでもいいが、ギャングの頂点に立とうという気なら、それでは駄目だ。
苦心して築きあげたものを片端から台無しにしてしまうロンに、とうとうレジーの怒りが爆発。
ロンにしてみれば兄に置いていかれるような焦りもあり不満がたまっていた。久々の大喧嘩となる。


ロンの行状はアメリカにも伝わり....。

だがいくら派手でも所詮これは兄弟喧嘩なのであり、二人に本気で傷つけあうつもりはない。
ただ、しばしば組織の存続をを危うくさせかねないロンの軽率な行動は、出資元でもある
アメリカのマフィアにも伝わっていた......。

評判が良いようなので観てみましたが....まあまあでしたかね~(^^;
異なるキャラ二役を演じるトム・ハーディの演技も話題になっていますが、
個人的には何となく同一人物の”匂い”を受けてしまいました。
やはり別の役者さんを立てるべきだったのでは?とか思いました。

『哀しみのベラドンナ』観ました。

2017-06-20 18:00:00 | 劇場用アニメ
1973年制作:虫プロダクション。 監督:山本暎一。 米BD盤にて視聴。
当時としては、エロい表現がふんだんに盛られていて、けっこうな話題になった
”大人向けのアニメ”です。
原画担当の深井国氏の絵柄が当時はあまり好みじゃなくて、映画館行きをパス。
でも、いまの目で見直すと大変に上手い絵を描く人だなあと感想が変りました。(^^;
多少は自分の感受性が変化してきたのかもしれません。

フランスの歴史家ジュール・ミシュレの『魔女』が原作だそうですが、まあ宗教的な
感覚の希薄な自分にはさほどストーリー的に響くところはありませんでした(^^;
当時手塚氏は”アニメは子どものもの”という既成概念を打破しようとしていて、『千夜一夜』
『クレオパトラ』の長編を製作しましたが、『哀しみのベラドンナ』はそれに続く三作目。
しかし”大人向けのアニメ”と意気込んだ割には興行収入が伸びず、資金的にも限界で
アニメラマシリーズも本作で最後となってしまいました。

 
若い男女の結婚式。                結婚には過酷なまでの重税が課せられる。

実際に本作を観て受ける印象は、アニメというよりも紙芝居ですね。
当時の技術から言っても絵の枚数を押さえるためには仕方がなかったんだろうと思います。
しかし、ここぞというところでは入念な作画ぶりを随所に感じます。そういう意味では
手抜き感はあまり感じませんでしたね。

結婚しようとする幸せな一組の男女。しかし結婚するには過重な結婚税が必要となるが
貧乏な彼らにはとても払えない。その結果、王の怒りを買い新婦は純潔を汚されて翌朝帰宅。

 
翌朝、新婦は王に純潔を踏みにじられて。      自分の力の無さに死ぬほど悔しい思いのジャンヌ。

力の無い者は、強者から何をされても泣き寝入りするしかないのか。
夫ジャンは”長いものには巻かれろ”式に諦めているようだが、妻の方はそうではない。

 
女の怒りが本物の悪魔を呼び寄せる。        悪魔は巨大化して女を抱きとめる。

女の激しい怒りは遂には悪魔を呼び寄せてしまう。初めは遠慮がちに?小さなペニスの外形で出現。
しかし憎悪が大きくなるに従い、悪魔も本来の巨大な姿を見せるようになる。
飢餓、戦争、ペストの大流行などの形を取って悪魔は人間に向かって猛威をふるう。

 
悪魔と通じた罪で捕えられるジャンヌ。       女が最後に見せる物言いたげな表情。

だれ言うとなくジャンヌは悪魔に取りこまれたことが段々と知られるようになる。
最初のうちはを彼女を巧く懐柔しようとする王だが、それが無理と分かると一転
火あぶりの刑を命ずる。
十字架にかけられ、業火に焼かれる中での彼女の思いは何なのか....。

総合的にはまあまあかな、という印象でした。何しろ1973年制作ですので若干の
古さは感じますが、深井氏の絵の力で、かなりポイントアップ。
ところでこれって日本のアニメなんですけど、日本盤は出ていないですね(^^;