みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『リリーのすべて』観ました。

2018-02-23 16:00:00 | 洋画
2015年:イギリス。 監督:トム・フーバー。 WOWOWからの録画。
なかなか評判の映画のようなので観てみました。いわゆる性同一性障害者のハナシです。
世界で初めての性転換手術を受けるに至るまでの顛末が描かれています。

  
「画家は人前に出ることも大事よ」と説得する妻。  面白いこと思いついちゃった」

デンマークの画家アイナー・ヴェイナー氏。そして妻ゲルダも同じく画家。
夫婦仲は良いのだが、いまのところ二人の絵はあまり売れていない。
近く知人宅でパーティーが開かれる。本来人づきあいはあまり得意ではないが
そういう場所に顔を出すことも画家には必要と考えて出席を決める。
そしてゲルダが思いついたちょっとした冗談。
夫アイナーに女装をさせて、どの程度みんなを騙せるものか試してみようと提案。

  
夫(右端)の美女ぶり?にみんな騙される。     なりゆきでのキス....。

”この子は親戚のリリー”だと周りに紹介。周囲はみな騙されて企みは大成功。
というか、リリーにキスを仕掛けてくる猛者もいたりして....(^^;
しかしそれは妻にしっかり目撃されていた。もともとが自分の発案だけに文句が言えない。

 
妻は夫のキスシーンをしっかり目撃。        「リリーはもう要らない」。

しかしアイナーは本来自分は女なのだと気づいてしまった。
いわば心のスイッチが入ってしまったのだ。
もはや妻から何を言われようと元には戻れない。そして次第にリリー的な部分が露わに。
最終的には体も女性になってしまいたいという願望を持つに至る。
いまでいう性転換手術だが、当時はまともに彼の言い分を聞いてくれる医師はいなかった。
重度の精神病患者として、危うく監禁されそうになったりもする。
いっぽうゲルダは女性的な夫に画興を感じてさまざまにスケッチやタブローを精力的に制作。
それらの作品は特異な魅力を放ち画商の関心を引く。個展も開かれ大成功。

 
ゲルダの新作は画商の興味をひく。         手術後のリリー。経過は思わしくない。

そうこうするうちに、ようやくリリーを正しく理解してくれる医師にめぐり合う。
診察の結果、性転換の手術を段階的に行うことに合意。リリーにとっては希望の持てる時期。
しかし性転換手術というものを実際に行った例はまだない、
理論上は可能だということでしかない。何せ施術例が一切ないのだから。
従って手術が失敗した場合には生命の危険もありうる重い話なのだ。

リリー(=アイナー)役のエディ・レッドメイン、だいぶ頑張ってはいると思うんですけど
個人的には、やっぱり違和感を感じてしまいましたね~。
まあこの辺は、あらかじめ男性が女性を演じていると知ったうえで観ているから
感じることなのかもしれませんが。
現代ならばこの映画とは時代も変わっているし、その種の情報も豊富でしょうから、
リリーほどの深い悩みは感じなくて済むのかな。
あと妻ゲルダ。悩みつつも夫を支えるアリシア・ヴィカンダーの演技が良かったです。
でもこういう事情の場合、現実には気持ち悪がって拒絶しちゃう女性だっているんじゃないかな。
その辺は理屈じゃないし、当事者以外には善し悪しは言えないでしょうけどね。

『ハリウッド・スキャンダル』観ました。

2018-02-20 16:00:00 | 洋画
2016年:米。 監督:ウォーレン・ビーティ。 WOWOWからの録画。
『ハリウッド・スキャンダル』というタイトル、そして劇中にハワード・ヒューズが
出てくる映画と聞き、てっきりハリウッドのドロドロ内幕ものかと連想しちゃいました。
でも違いました。大富豪ヒューズ氏はむしろ脇の役どころなのでした。
そしてこれは意外にも純愛ストーリーなのでした。

  
ハリウッド女優を夢見るマーラ母娘。        全米から同じような志望者がやってきて....。

大富豪ハワード・ヒューズ氏は世評に違わず相当な変り者。彼は幾つかの事業を
同時に手がけているが、映画会社のオーナーでもあった。
彼の映画会社では大型新人女優を発掘するべく、全米各地で新人オーディションを
行っていた。マーラもそのオーディションに合格した一人。

  
常に世の情勢に注意を怠らないフランク。      少しづつマーラとフランクの仲は近づく。

運よく高給なヒューズ氏お抱え運転手の職にありついたフランク。
先輩格スタッフを通して、空港へマーラ母娘を迎えに行く。
早く有名人のヒューズ氏に会って話したい彼ら。好奇心むき出しで
「ヒューズ氏ってどんな人?」
そう聞かれたフランクもまだ顔さえ知らないのだ。

 
卵たちのオーディション風景。          ヒューズ氏からの厳命を守ろうとするが。

母娘に寝起きする住居は与えられても、一向にヒューズ氏には会えない。
だんだんと苛立ってくるマーラ母娘。特に母親の方は腹を立てて、
「馬鹿にしてる!」と娘を置いて一足先に郷里に帰ってしまう。
フランクにしてもヒューズ氏にはまだ会ったことは無い。
異様なほど用心深く、信用されるまでは顔すら見せない雇い主なのだった。
フランクの運転する車に何度も乗って言葉を交わすうちに、
自然にマーラとの仲は近くなっていく。

 
軽食がてらの気軽な会話。             目の前には、ヒューズ氏が開発中の大型飛行艇が。

”この男は大丈夫”と思ったのか、ある時ヒューズ氏はフランクの前に姿を見せる。
二人は軽食(バーガー)を摂りつつ、世間話などで一時を過ごす。

『ハリウッド・スキャンダル』というタイトルですが、ヒューズ氏の映画会社が
行っていた新人オーディション、これの真意は実はスター発掘などではなく、
ヒューズ氏好みの愛人さがしの意味が多分にあったと思われます。
清純タイプがヒューズ氏のお好み。マーラは彼のお眼鏡に叶ったようで、
ある夜、ヒューズ氏とマーラは一線を越え....。

監督&ヒューズ役をこなしたウォーレン・ビーティ氏。
いまやハリウッドの大物俳優ということですが、自分にとっては
エリア・カザン監督『草原の輝き』における青年役が強く印象に残っています。
この映画にもどことなく60年代のニュアンスが流れているような気がして、
懐かしく感じるモノが有りました。
そういえばマーラ役のリリー・コリンズもエリザベス・テイラーを思わせる雰囲気でした(^^;

『カフカ:田舎医者』観ました。

2018-02-15 16:00:00 | 劇場用アニメ
2007年:松竹(配給)。制作:山村浩二。 セルDVDにて視聴。
カフカの小説『田舎医者』を原作に、あの『頭山』で評判をとった山村浩二氏が
自主制作したアニメーション。


急患発生。急いで馬車の用意をする田舎医者氏。

田舎の医者は忙しい。夜中だろうと吹雪だろうと担当地区に患者が発生すれば、
ただちに駈けつけねばならない。それでいて受け取る給料はとても安い。
ある田舎医者の過酷な業務に消耗する日々、そして報われないやりきれない思いが
描かれて行きます。
例によって山村氏の画風は濃くて独特。20分程度の作品ですが結構受ける印象が重いです。
購入してそのままになっていたDVDですが、今回はじめてキチンと視聴。
良かったです。

カフカ(原作)の方は読んでいないので比較して何かを言うことはできないですが、
機会を見つけて読んでみたいという気持ちになりました。
それにしても最近は村山氏のアニメ作品について耳にすることが無くなりました。
いまは別の分野に活動をシフトされているということなのでしょうか?



『ハーモニー』観ました。

2018-02-09 16:00:00 | 劇場用アニメ
2015年:スタジオ4℃制作。 監督(共同):なかむらたかし&マイケル・アリアス。
WOWOWからの録画。

伊藤計劃氏(原作)による劇場アニメの第二弾。
う~ん、色々とストーリーの設定が混みいっています。それをいちいち説明しようと
なるとエラク面倒だし、さほど意味もないと思うので大幅に省略させて貰います(^^;


ミァハ㊥、トァン㊨、キアン㊧ の仲良し三人組。

仲良しの女子高生トリオ。
カリスマ的位置にあるミァハの提案により、三人は同時に自殺することを計画。
彼女はそのための毒薬まで用意して、二人にも配る。
だが実行する直前になってキアンは恐ろしくなって親に計画を打ち明ける。
キアンの親の通報によって早めに発見~治療を受けたトァンは辛くも死を免れる。
だがミァハは間に合わなかった。
生き残った二人の心にはミァハに対する後ろめたさがトラウマとなって残った。

近未来の地球。戦争や疫病の蔓延などで、従来の人間社会は崩壊。
必要に迫られて人類は、社会通念上マイナスの方向に向かう人間の行動・思考を
一切抑制するシステムが提案され実行された。
具体的にはすべての人間の体内にコントロールチップを埋め込み、人間のロボット化
ともいえる処置を施す。これにより人間の社会に平和的ハーモニーの構築が可能になる。
ミァハはこのことに徹底的な反発を覚えたのだった。私の身体と心はあくまで私のもの。
目的が平和な社会の実現であろうとも、私が私以外の意志に左右される事態はあくまで
拒否しなくては。他者に操られるくらいならいっそ自殺したほうがマシ。

13年後、WHO螺旋監察事務局(警察機構)の上級監察官となったトァン。
さまざまな事件に遭遇するうちに『ひょっとしてミァハは生きているのでは?』との
思いを抱くようになる。もしそうであるならばぜひとも彼女に再会したい!
確かに本当の意味ではミァハは死んでいなかった。
肉体的には消滅しても、彼女の<意志>は継続していた。
それどころか全世界を巻き込んで人類を滅亡させようと邪悪な計画を進めていたのだった。

なんか複雑な設定でややこしいアニメですが、核になる部分はわりとシンプルかな。
しかし死にたいと思うのはミァハの勝手ですが、全人類を巻き添えにしようとするのは
邪悪な意志としか言えませんね。
自分以外の者からコントロールを受けるのをあれほど嫌ったミァハですが、大勢の他者を
簡単に自分の巻き添えにしようとするのは矛盾もいいところですね。
しかし<歴史を変える者>というのは、しばしばこういう自分勝手な奴ですかね?(^^;
ラストに流れる合唱歌は哀しくも美しいです。滅亡してゆく人類への鎮魂歌とも聴こえます。

『台風のノルダ』観ました。

2018-02-04 16:00:00 | 劇場用アニメ
2015年:スタジオコロリド制作。 監督:新井陽次郎。 米BD盤にて視聴。
アマゾンのBDサイトで本作の存在を知りました。ただ国内盤はかなり強気な
価格設定と感じたので、割安な米BD盤を購入。


台風の目が極限に近づき物語はクライマックスをむかえる。

それで観た感想(結論)を言うと”こりゃアカンわ~....”(^^;
なんか全てにわたって中途半端さが見えるという感じです。
この作品で作り手側がいったい何を言いたいのかが伝わってこないです。
いろんな要素を盛りこもうというのは判るけど、全部生煮えな感じ。
はじめはあの相米監督の実写映画『台風クラブ』的な世界かな?とか考えつつ
観てましたが、別物でした(^^;
新井監督はアニメーターとしてジブリに数年間在籍していたとのことですが、
なるほど作画はジブリ調です。その技術水準はまずまずの印象を受けます。
ですが、肝心のアニメとしての中味(ストーリー)はスカスカ。
これは人さまにはお薦めできないですね....。

蛇足ですがこのBD盤、日本と同じリージョンAなのですが、
更に国別コード(アメリカあるいはカナダ)の指定が必要になります。
パナソニック機にはそのような機能はないので、再生不可です。
普段は眠っているパイオニア機か韓国LG機の出番となります(^^;
そうした盤はけっこうあるようなので、購入前の確認はしておいた方が無難ですね。