みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『人生タクシー』観ました。

2018-03-06 16:00:00 | 中近東の映画
2016年:イラン。 監督:ジャファル・パナヒ。 WOWOWからの録画。
数々の映画賞を獲り国際的にも評価の高いJ・パナヒ監督。しかしイラン政府に
とって不都合な内容が含まれているために映画製作活動を禁止され、やむなく
生活のためタクシー運転手に商売替え。そうはいってもタダでは起きない同監督。
タクシー室内を舞台として一本の映画を仕立ててしまいした。
初めは何だかNHKの某番組みたいだな、とか少し思いました。世界各地のタクシーに
同乗して、運転手さんから様々なコメントを貰う番組があるのですが、
一見ドキュメンタリー風で似ているようでも、やっぱりこれはれっきとした映画
なのですね。

 
監督は有名人。直ぐに客に気づかれる。       これもヤッパリ映画なんでしょ?とツッコミが。

パナヒ監督は、イランではかなり顔の知られた存在らしい。タクシーに乗り込むや否や
すぐに気づかれてしまう。新作の映画の撮影なんでしょう?と聞いてくるお客さん。

  
バイク事故でのケガ人が乗り込む。         早速遺言を始める気の早い客(^^;

交通事故の現場に行きあい、血だらけの男が問答無用で車内に運びこまれる。
命に関わるほどの重傷ではないのだが、死ぬ前に遺言を残さなければと騒ぎたてる。
ただ男の言い分からはイラン社会の一端が垣間見られるようにも思いました。

 
金魚鉢を持って乗車する老婆二人。         監督を利用してちゃっかりDVDの営業。

金魚鉢を抱えて車内に乗り込む意味不明な老婆二人。
監督をダシにしてDVD販売を有利に進めようとするちゃっかり男。
学校の課題で映画を撮ろうとしている姪。
知り合いの女性弁護士。世間には筋の通らぬことが多すぎると不満をぶちまける。


 
可愛い姪は学校の課題で映画製作。         しりあいの弁護士。当局のやり方には不満だらけ。

お客さんにも実に色々な人間がいる。
みなそれぞれの人生を時にマジメに、時に逞しく生きているなあという感じ。
後半になって当局に対する批判がそれとなく織り込まれてきますが、
それもさほど声高に訴えるというものでもなく、
このレベルの不満だったら、当局が神経質になる必要もないだろうにと思いますが....
といってもイラン国民でない自分など所詮部外者なんですが。
最後にちょっとヒヤリとするシーンで映画は締めくくられます。