みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『屍者の帝国』観ました。

2018-01-31 16:00:00 | 劇場用アニメ
2015年:WIT STUDIO制作。 監督:牧原亮太郎。 WOWOWからの録画。
SF作家としてその大きな才能を惜しまれつつ亡くなられたという伊藤計劃氏。
その遺された作品たちをキチンとした形で世に出そうという動きがあることは
TVCMなどで薄っすらとながら知っていました。
しかし突っ込んだ意味では彼に対して全くの無知だったです。
最近WOWOWで、彼の原作・原案による劇場版アニメが三本放映されました。
これは良い機会と思い録画して今回視聴しました。
先に結論をいえば、成程これは確かに優れた作家さんだったんだな~と
深く頷ける、観ごたえのある良いアニメ映画に仕上がっていました。
それで最初に観たのが、この『屍者の帝国』です。

 
19世紀末のロンドンでこの物語は始まる。      軍隊は専らゾンビによって編成されるようになる。

19世紀末の英国。死者を蘇生させる技術が発明・確立される。
以降、次第にゾンビたちはさまざまな仕事や兵役に就き社会にとって不可欠の存在となっていく。
ここロンドンの一隅でも若い医学生ワトソンが失った親友を蘇生させようと
日々研究を重ねていた。ただし彼の望みは単なるゾンビをつくりだすことではない。
生前と変わらぬ理性を持った人間そのものとしての再生を目指していたのだった。

 
友人の死体を独力で蘇生させるワトソン。      警察に踏みこまれ、交換条件を飲まされる。

ある時、彼のアパートに警官たちが踏みこんでくる。
政府の許可なくしてのゾンビ研究は重罪なのだ。
とはいえ、独力で高いレベルで研究を進めているワトソンの能力は並みのものではない。
逮捕・収監するのは簡単だが、この男にはもっと良い使い道がある。
英国諜報機関のMと名乗る男から、ある交換条件を提示される。

 
政府機関の者だと名乗るM。            長旅を経て、ようやくインドに到着。

史上初めてゾンビ研究に手を染め、これを成功させたフランケンシュタイン博士。
最終的には知性と感情を持ったゾンビを造り出すことに成功したようだ。
その特別なゾンビの名は”ジ・ワン”。
Mの要求は、”ジ・ワン”の身柄確保と研究内容を詳細に書き残したという日誌の入手。
虫の良い要求ではあるが、いずれにしても収監されてしまえば自分の研究は頓挫してしまう。
なにより同じ道の先達者としてのフランケンシュタイン博士の研究内容に興味がないといえば
嘘になる。
結局、ワトソンはMの言い分を飲むしかない。

 
小舟に乗換えボンベイに上陸。           街はゾンビたちで騒然としていた。

こうしてワトソンはフライデー(=元親友であり、実験の対象でもある)を伴い、
インドはボンベイにやってくる。
今回の調査の手助けをしてくれるエージェントと落ち合うためだ。
ボンベイの街は騒然としていた。
大勢のゾンビたちの襲撃を受け、あわや、という状況を何とか切り抜ける。
だがそんな困難もほんの序の口。さまざまな危険が一行の前に待っていた....。

最初にも書きましたが、これはなかなか楽しめるアニメでした。
ただ(かつて見たことのないような)斬新な着想だとまでは言えないかも。
でも骨太に組みたてられたストーリーは”大作を観ている”と感じさせ
られるものがあります。


『イシュタルの娘』 読みました。

2018-01-25 17:00:00 | 漫画
2000年~2017年:小学館刊。 著者:大和和紀。
10巻までを古本で求め、以降は新刊が出るたびに1巻ごとにネット購入。
なのでラストに辿りつくまでに結構な時間が経ってしまいました。
それって割とイライラするんですよね。
出来れば全巻揃えで古本をポチれれば一番ラクなんですが。
それはともかく16巻で完結してホッとしました。


『イシュタルの娘』第一巻。全16巻の長丁場なのにヒロインはほとんどトシをとりません(^^;
 
小野於通(おのの・おつう)といえば、それなりに知られた人物ではあるものの、
歴史上の超有名人というわけでもなく、無位無官の、言ってみればのタダの一般人。
なので、まとまった形の記録は残っておらず、そのため一時期は実在した人物かどうかの疑念も
持たれていました。
ただ書画を始めとして和歌の創作にも優れた業績が知られており、広い審美眼を具えた女性としての
足跡が断片的に残っているのみ。
その才能が多岐にわたるため、実は複数の人物を繋ぎ合わせた存在ではないかとの説も。
近年その実在がようやく裏付けられたようですが、その人物像には、依然ナゾの部分が
残っているようです。
本作は大和和紀(漫画家)さんが、断片的な史実に大いなる創作を加え紡いだ大河歴史漫画。
読んでいてこれって事実はどうなのよ?と思う場面は多々あるものの、
読み物としては大変面白く描けているので、まあいいかな?と思いました。
それにしても信長~秀吉~家康三代の天下人に親しく仕えたというのは盛りすぎかな?(^^;

個人的に注意を引いたのは、三代将軍・徳川家光の乳母=春日局の部分でした。
かつて池田理代子さんの歴史漫画、『春日局』全三冊(文庫本)を読んでいたので、比較してみて
同じ人物でも描く人によって、かなりの違いが見受けられるのだなあと面白かったです。

『ピンポン』観ました。

2018-01-22 16:00:00 | TVアニメ
2014年:タツノコプロ制作。全11話。 監督:湯浅政明。 フジテレビ<ノイタミナ>からの録画。
個性あるアニメ作法で、独自の色を感じさせる湯浅監督。
自分は『マインドゲーム』(2004)を観て衝撃を受け、それ以来ファンとなっています。


トリッキーなプレイで相手を翻弄するペコ。

湯浅監督のカラーはこのテレビアニメにも存分に投影されており、
スポーツアニメとはいえ他社制作の熱血作品とはかなり異なる感触ですね。
そうはいっても、作品としてのお話の積み上げ方は普通なんですけど。
やはり目に見える絵柄から受けるスタイリッシュな感じが大きく作用しているかな。
小学生のころから卓球に魅せられ、お互いに切磋琢磨してきたペコとスマイル。
二人は共にピンポンに対して非凡な才能を見せるが、そのタイプは真逆だ。
情熱とヒラメキのペコ、クールで理詰めなスマイル。
最終的に生き残る者は誰か?
スポーツものとして王道の展開を踏襲するものの、ラストはなかなかにシビア。
着地点、というか物語の畳み方にリアルさを感じます。まあ現実はこんな風かな?と
納得するものがありましたね。

『金田一少年の事件簿』 観ました。

2018-01-19 16:00:00 | 劇場用アニメ
2004年:東映。 監督:西尾大介。 WOWOWからの録画。
画質からみて「ちょっと古いかな」という印象を受けました。
映像機器類の進歩ぶりは、近年ますます速まっています。
2004年では結構キレイな画質だったのでしょうが、いまとなっては
無料で流れるテレビ(地上デジタル民放)にも負けそうなレベルですかね。


最初の犠牲者が出る。シャンデリアが落下~その下敷きに。

本アニメの内容ですが、ある孤島で起こった密室殺人事件~その顛末譚となります。
たまたま現場に居合わせた金田一少年がみごとな推理力を発揮して、
事件を解決に導くというストーリーです。
ただ、ちょっと古めかしさを感じてしまう構成。
じゃあ詰まらないのかというと、そうでもないです。
特に終盤はなかなかダークさを感じさせ、引き込まれる印象が有りました。

ただこの事件のトリックを、観る者が推理しようというのは、ちょっと無理かな?
大昔の推理小説の場合、ディープな読者だったり勘の鋭い読者だったりすると、
トリックを解明することも可能でしたが、現代の推理作品は複雑に構成されていて、
殺人の方法を言い当てるのは可なり難しくなっていると思います。
とくに自分の場合、ナゾ解きは初めから諦めて物語そのものを楽しもうという姿勢です(^^;

『いぬやしき』観ました。

2018-01-16 16:00:00 | TVアニメ
2017年:MAPPA制作、全11話。 監督:藪田修平。 TOKYO-MXからの録画。
こう言ってはナンですが、予想以上の秀作というか。とても面白かったです。
終盤には思わずホロリとさせるシーンもあったりして(^^:
主人公の名前は犬屋敷壱郎(いぬやしき・いちろう)。
都内に勤める初老のサラリーマンだ。
定年を間近に控えた彼は、小さいながらも一戸建てを構えた。
しかし家族には”ちっぽけな、しょぼい家だな”とあまり評判が良くない。
考えてみれば、そのしょぼい家は、これまでもパッとしなかった
彼の人生を表しているようでもある。
しかし家族の評価はともかく、予算的に無理をせずに彼に建てられる家と
なれば、結局この程度にならざるを得ないだろう。
せっかく家を持ったのだから、犬を飼ってみたいと思いつく。
しかしそのことも家族からの評判は芳しくない。
「家じたいが狭いのに犬を飼うだなんて」「犬を飼うと家の中が臭くなる」。
とうとう自分の室内で飼うなら問題は無かろうと家族に妥協せざるを得ない。
お父さんはツライよ、だ。
夕方の犬の散歩中に、ふと自分の人生が急に無意味に思えて、
いっそ自殺でもしようかと大泣きする犬屋敷氏。


<未知>と遭遇してしまった犬屋敷氏㊨。

そんな時。いきなり彼の目前に巨大な宇宙船が出現。
どうやらマシントラブルだったようだが、このときの衝撃で犬屋敷氏の体はバラバラに。
宇宙人たちは、彼の治療(修復)を適当にやっつけて、さっさと現場を去る。
結果的に無敵のスーパーマンに改造されてしまった犬屋敷氏。
以降、彼の人生は大きく変化してゆく。
そしてこのとき、現場に居合わせていた人間が犬屋敷氏以外にもう一名いた。
獅子神ヒロなる高校生がそれだ。改造手術を受け、彼の人生もまた大きく変わっていく。
以降は二人のスーパー改造人間の対比を中心にストーリーが進んでいきます。
最初に書いたように、このアニメは出色の面白さでした。機会があればゼヒ視聴を薦めます。