みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『夜明け告げるルーのうた』観ました。

2017-10-31 16:00:00 | 劇場用アニメ
2017年:アニメ制作・Science-SARU。 監督:湯浅政明。 セルBDにて視聴。
自分は『マインド・ゲーム』(劇場アニメ)や 『ケモノヅメ』(TVアニメ)を
観て以来の湯浅監督のファンですが、あまり作品数の多い人ではないです。
最近、本作に加えて『夜は短し歩けよ乙女』が同時にBDリリースされたので喜んでいます。

 
窓から投げたスナックに人魚が喰いついた。     以来、ルーとカイは友だちになる。

ここ日無町では未だに人魚伝説が町民の間で伝えられているような鄙びた小さな漁村。
カイは動画投稿サイトに自作の打込み曲を投稿して採用される。
勘の良いユウホ、クニオは直ちにそれを嗅ぎつけ、カイに自分たちのバンドに入るよう勧誘。
連れだって行動することを好まないカイは、初めはユウホたちの申し出を断る。

ある晩、何気なく家の二階の窓から海へスナックを放ると、すかさず人魚がそれに喰いつく(^^;
それが切っ掛けとなり、ルー(人魚)とカイとの友情が発生。徐々に深まっていく。
それにつれ彼の性格もだんだん明るくなっていき、ユウホたちのバンドに加入を加入する。
さて、年に一度の灯篭祭が今年もやってきた。

 
海底に沈む船の窓から魚群の観賞。         年に一度の灯篭祭。大勢の町民が参加。

主催者側から依頼され、祭りの品目の一環としてバンド演奏をすることになる三人。
ただしそれぞれの親などからは、バンド活動はあまりいい顔をされないこともあって、
当日は魚のかぶり物をして顔がバレないように演奏をする。

 
なかなかノリのいい演奏だ。            カイの作戦。ルーも飛び入りで参加。

ただカイの思いつきで、ルーに参加をさせたところ、その見事な踊りっぷりが
周囲の大注目を集めて”ありゃ~人魚だぞい”とバレてしまい大騒ぎになる。
日無町に人魚あらわる!
噂が噂を呼び、日無町にはカメラ持参のモノ好き連中が大挙して押しかけてくる。

 
町外から大挙して押し寄せるカメラの群れ。     町の意見は二分する。

そこで町では急遽会議を開いて今後の方針を決めようとするのだが、意見は二分して喧々囂々。
 ① 人魚騒ぎなどトンデモナイ。なんとか早く危険な人魚どもを排除しなくては町民に害が及ぶ。
 ② 人魚を観光資源とした町おこしをすべきだ。現状ジリ貧の町の現実を考えなくては。
一応②派が当面の主導権を握り、物事を進めていくことになるのだが。
だが人間の欲は良い結果を生まないというのが、この種のおとぎ話の通例。
日無町の場合はどうなるかですが、結果は....(^^;

湯浅監督のテイストは感じるものの、ちょっと薄いです(^^;
ファミリー向けの夏休み興行作品ですから全方位的妥協・愛嬌は仕方がなかったのかも。
小さな女児がヒロインというのも、直接的にどうということではないですが、
やはりあの『崖の上のポニョ』を連想させてしまいますかね~。
自分的評価としては70~80点といったところでしょうか。

『賭ケグルイ』観ました。

2017-10-28 16:00:00 | TVアニメ
2017年:アニメーション制作=MAPPA。全12話。 監督:林 祐一郎。
TOKYO-MXからの録画。

私立百花王学園。上流階級・政財界の子女が数多く通う名門校だ。
ただしここでのルールは総てギャンブルによって決定されていく特殊な世界だった。
生徒会長として学内の頂点に君臨する桃喰綺羅莉(ももばみ・きらり)。
いうまでもなくギャンブルに関しては無敵のクイーンであり、畏怖の対象でさえある。


生徒会長・桃喰綺羅莉㊧ VS 蛇喰夢子㊨

ある日、学園に一人の転校生がやってきた。
蛇喰夢子(じゃばみ・ゆめこ)。2年華組。おっとりとした清楚な美人。
初めは学内の雰囲気に慣れず、ギャンブル一回戦は負けてしまい、
結果として”家畜ランク”とされてしまうが、大して気にする風でもない。
クラスメイトで学級委員の鈴井涼太は夢子に同情。

二回戦はあっさり勝利。以降、夢子の賭ケグルイ=ギャンブルの才能は全開。
彼女の物静かな外見はあくまで見せかけだけのもの。
その内面ではギャンブルに対する熱いマグマが煮えたぎっているような女なのだった。
連戦連勝で彼女の学内での階級はたちまち急上昇。
涼太の心配など初めから無用のものだったのだ。
だが夢子は自分に味方してくれた者には常に誠実な態度をくずさない。

最終的には生徒会長・綺羅莉VS夢子のサシの勝負に行きつくのだが
その結果は果たして??(^^;
これはなかなか面白いアニメでした。ストーリー・演出ともにケレン味たっぷりといった印象。
分かってはいても、ついニヤニヤしてしまう辺りは制作スタッフの手練れを感じますね。

『幼女戦記』観ました。

2017-10-25 16:00:00 | TVアニメ
2017年:アニメーション制作=NUT。全12話。 監督:上村 泰。 TOKYO-MXからの録画。
久々に手ごたえのある面白いアニメに出会えました。
”幼女戦記”というタイトルからして、もっとロリっぽさを出した演出かなと
思ったのですが、そういうことはありませんでした。
ヒロインの外見が幼女なのは確かですが、中味は成熟した男性....
というのも前世が現代日本のサラリーマンで、その記憶がまだ消えていないのでした。
ある日、誰かにホームから突き落とされて電車に轢かれ死亡するのですが、
転生した先が共通暦1920年代の某帝国(ドイツ?)。
時代は何やら欧州大戦前夜のようです。


ターニャ少尉の指示のもと、空中で戦闘陣形を整える魔道師軍団。

教会に捨てられ育てられたターニャは、生まれつき魔道師としての強力な能力を持っていた。
そこで彼女は、早いうちから自分の生涯設計を描く。
持ち前の魔道師としての能力を職業軍人としてうまく活かしていこうと。
ただ、できれば後方勤務に就いて、安楽に毎日を過ごしたいものだ。
しかし現実には多くの戦いにおいて勝利と軍功を重ね、いつか”ラインの悪魔”と
綽名され恐れられる存在になる。
軍の上層部は安全な後方から、つぎつぎに危険で無理めな任務を安易に与えてくる
ようになる。アイツなら巧く戦果を出してくれるだろうと。
ターニャ少尉本人はもちろんだが、部下たちもボロ雑巾のように疲れきってくる....。

戦争の描き方はわりと重厚ですね。物語全体にシッカリした印象があり、
まったく退屈するようなことはありません。続編が作られるならゼヒ観てみたいですね。

『スポットライト~世紀のスクープ』観ました。

2017-10-23 16:00:00 | 洋画
2015年・米。 監督:トム・ラファロ。 WOWOWからの録画。
”児童に対する性的虐待”というテーマからして、ちょっと堅い映画なのかな?
と思ったんですけど、実際はそういう事はありませんでした。
映画の中で記者たちの事件への追及はヒステリックにはならず
淡々と、しかし確実に進められていきます。

 
新局長バロン。グローブ紙の購読者を増やしたい。  スポットライト欄のチーフと打ち合わせ。

地元新聞ボストン・グローブ紙。このたび局長人事に異動があった。
新局長バロン氏は穏やかな物腰の紳士。だが内に秘めた思いは熱い。
直ちにスポットライト欄の担当チーフ、ロビーを呼び、読者を増やす企画を相談。
折よくロビーには気にかかっている事案があった。
それは時折り漏れ伝わる教会の不祥事。
少なからぬ神父が児童に対する性的虐待を行っているようだ。
ただしこの問題を世に明らかにしようとすると、当然教会との戦争が起こるだろう。
特に長年の購読者は高齢で熱心なカトリック信者が多く、教会側に味方する可能性が高い。
余程の確証がない限り、迂闊な行動は新聞社の首を絞めることになる。

 
枢機卿を訪問するバロン氏。            教会の秘密主義に原因がありそうだ。

取りあえず枢機卿への表敬訪問をおこなうバロン局長。しかし敵もなかなかお利口だ。
バロンの意図などとっくにお見通しのようで、体よく追い払われてしまう。
一方、実際に被害にあったという人間を一人ひとり探しだして証言を求めるグローブ紙の記者たち。

 
かつて神父から性的虐待を受けたと証言。      それは彼が11歳の頃の話。今も心の傷が癒えない。

その結果、すでに成人となった今も、面談途中で泣きだしてしまうなど、
心に重い傷を抱えた者も多い。
教会では、問題を起こした神父を休暇中とか転任などと理由をつけて
事件をウヤムヤにしてきた。教会の体制自体も腐っているのだ。

 
当問題を知る弁護士により枢機卿を起訴。      枢機卿は問題を長年放置してきたが限界だろう。

だがそうした教会の腐った内情を知る某弁護士から、枢機卿に対する訴えがなされる。
枢機卿は長年教会の実状から目をそむけ、結果的に神父たちを法の裁きから守ってきた。
そういう意味で枢機卿には大きな責任があるというわけだ。
だが起訴には当然ながら明確な証拠が必要だ。それが何故か見つからない。
グローブ紙の記者はさんざんな苦労のあげく、その証拠の所在をようやく掴みとる。
どうやら教会に有利なように、証拠をあるべき保管場所から移した者がいたようだった。
これは滅多にない大スクープだ。他社に感づかれないようにグローブ社の
編集員たちは記事掲載にむけて極秘モードにはいる....。

映画として面白くうまく纏められていると感じました。
俳優さんはどの役の人も真実味のある演技だと感心しました。
ただ教会の腐敗ぶりを暴く、といった話はそう珍しくは無いですし、
一般に信仰心の薄い日本人にとっては、問題の深刻さがあまり伝わっては
こないのではとか思ったりもして....。


『レッドタートル ある島の物語』観ました。

2017-10-20 16:00:00 | 劇場用アニメ
2016年:スタジオジブリを主幹とする製作委員会。 仏プリマ・リネア・プロダクションズ制作。 
監督:マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット。 セルBDにて視聴。

すでに出来ているアニメをジブリが買い付けたのかと思ったら
そうではなく何とジブリのプロデュースで制作された作品と知り、ちょっとビックリ。
いや~世界も狭くなったものです(^^;
なおヴィット監督はオランダ出身のアニメーターだそうです。

 
大嵐の海のなか、男は必死に泳ぐ。         どことも分らぬ孤島に辿りついて。

大荒れの海を必死に泳ぐ男。乗っていた船が不運にも遭難したのだろうか。
気がつくと、彼はどこか知らぬ無人島の浜辺に打ち上げられていた。
一通り島をひと通り探索したところ、取りあえず水や食べ物は何とかなりそうだ。
だが、やはり”帰る”ことを考えねばならない。
幸いたくさん自生している竹を材料にして男は筏をつくり、島を出る。
しかし沖に出たあたりで筏は何者かの攻撃を受けバラバラにされ、やむなく泳いで引き返す。

 
竹の筏で島を出る。                何者かに攻撃され筏はバラバラに。

何度も筏を壊された後に、ついに犯人が分った。それは大きなアカウミガメ。
彼が島から離れるのを阻止しようとでもしているかのようだ。
アカウミガメが海辺に上がってきた機会をとらえて棒で殴り、甲羅をひっくり返す。

 
犯人はなんと、大きなアカウミガメ。        恨みをこめて何度も棒で殴る。

甲羅をひっくり返されたら、カメの運命はそこまでだ。
何日もかけてカメはジリジリと陽に灼かれ乾燥し、とうとう甲羅に亀裂が走る。
いざカメに死なれてしまうとやり過ぎてしまったという後悔の気持が男にめばえるが、
そのとき不思議な現象が起きる。

  
カメの亡きがらは美しい女性に変貌。        二人の気持ちはじょじょに近づいていく。

アカウミガメの亡きがらは、なぜか人間の女性に変貌していた。
そして二人はいつか愛し合うようになり、人生を共にするようになる。
見かたにもよるが、それは全うされた、美しい人生といえるかもしれない。

初の長編ものですが、ヴィット監督の持ち味が短編同様に発揮されていて、
観ていて涼やかな思いにかられました。
静寂感。一抹の哀しみと幸せ。どこか知らぬ世界へ向けられた憧憬。
これはファンタジーというか、もっとあからさまな言い方をすれば
このアニメは、すべてヴィット監督の妄想を形にしたものといってもいいかもしれません。

本作BDと過去の作品集BDの二枚組で希望小売価格は1万円します。
少し値段が高めなので、躊躇してしまいましたが、結局は購入しました。
以前にWOWOW録画で観たヴィット監督の『父と娘』の素晴らしさが決定打となりました。
それで短編集の方に収録されている『父と娘』をちょっと再生してみました。
輪郭の滲みがちなWOWOW録画に比べて、かなり画質が良くて安心しました