みかんの部屋

自分の趣味(映画・漫画など)に関しての雑記ブログです。

『パッション・フラメンコ』観ました。

2018-11-05 16:00:00 | ドキュメンタリー

2016年・スペイン。 監督:ラファ・モレス。 WOWOWからの録画。

自分はフラメンコには疎い人間です。
ただ、あのフラメンコの特徴的なリズムと踊りに、”面白そう”と思い観てみました。
スペイン・フラメンコ界の大御所、サラ・バラスに数年にわたる密着取材をもとに
構成された番組ですから、見ごたえある内容となっています。




将来はなにか創造的な仕事に就きたいと願望していた少女時代。
まわりからはあまり本気にしてはもらえなかったけど。
フラメンコの世界に入って以来、つねに努力を重ねてきた。




才能がなければ努力しても無駄だと言う人もいる。
人に才能があるかどうかは、だれにもわからない。
才能というものは必死の努力を重ねてはじめて開花の可能性が出てくるものだ。
だから努力をしない人には心底腹が立つ。




まだ駆け出しだった若いころの数年間、契約で日本にきて踊ったこともある。
とてもハードな日々だったが、結局はやり通した。
今になって思うと、そのことが自分にとって貴重な心の財産になってると感じる。
その時に幾人かの日本の友人もできた。




順調にキャリアをつんで”大御所”と言われる地位にまで上りつめたサラ・バラス。
世界各地を公演、どの地でも高い評価を得てきたが、それは彼女の絶えざる努力の賜物でもある。
フラメンコダンサーだから尊いというわけじゃない、
どんな仕事をしていても、つねに努力を怠らない人間が尊いんだと思う。
そう述懐するサラ。

フラメンコを愛して下さる皆さまには限りない愛と努力をもって報いたい。
番組はそのように締めくくられます。

「ホロコーストの”リハーサル”」観ました。

2015-12-14 16:00:00 | ドキュメンタリー
2015年:NHK。 番組ディレクター:村井晶子。 NHK-Eからの録画。
正式にはちょっと長いタイトルになります。
「それはホロコーストの”リハーサル”だった」~障害者虐殺70年目の真実~

これはこれまで自分の知らなかった事実で、そういう意味ではとても衝撃的でした。
ホロコーストあるいはそれに類した行為は、当時のナチ政権の圧力が大きかったから
個人の認識などに関係なく実行されたのだろうという思いはありましたが、
実は医師や法律家の中にも障害者や精神病患者たちは「国家の邪魔だから殺してしまえ」
という考え方があり、実際にそれが実行されていたというのは驚きでした。

 
かつてのハダマーの精神病院。           ナチの宣伝映画。

ハダマーの町に作られた精神病院。ここの煙突から毎日のぼる煙からは
異様な悪臭が漂っていた。
毎日多くの患者が車で搬入されるのに、出ていく者はいない。
ならば病院には患者が溢れているのかというと、そういうわけでもない。
町には怪しい噂が広まるが、誰も正面切って事実を質そうという者はいない。

 
弱者は社会から排除・隔離して当然という発想。   価値のない人間は殺しても良い。いわゆる優生思想だ。

当時のドイツには生産的でない人間は社会から排除・隔離すべきだ、
極論すれば殺害してしまっても構わない、という思想が医療関係者の一部にあった。
そこまでおおっぴらに公言するのはさすがに憚られただろうけれど。
そうして残った優秀な人間だけで社会を構成すれば素晴らしい世界が実現すると
いう考え方。いわゆる優生学の思想だ。


 
ドイツ精神医学の権威たちが音頭をとる。      医師・法律家による共著本。

恐ろしいことにこれは当時のドイツ精神医学の権威たちが音頭をとって実行された
という事実だ。かれらはそれが正しく良いことだと信念を持っていたというから怖い。
若い看護婦も明るく元気に患者たちの殺害に協力していた。狂っているとしか言えない....。

 
ヒトラーも精神医たちを大いに後押し。       全国のナチ党員は国民を監視。

ヒトラーも自らの思想(ユダヤ人・有色人種を排除すべし)に合致するものとして
こうした考え方を大いに後押しする。
加えて全国のナチ組織が国民を監視。迂闊なことは言えない恐怖の社会だ。

 
患者たちをガス室で処理。             一人の司教の勇気がみんなを目覚めさせる。

最終的医学措置=ガス室に送り込んで患者を殺害するという意味。
しかしついに一人の司教が立ちあがって、この非人間的な制度を厳しく告発する。
これによってようやく目の覚めるドイツ国民。
司教の意見書は手作業による写しが繰り返して行われ、全国の隅々にまで届くことになる。
ナチも止むなく制度の廃止せざるを得なくなる。
やはりみんな心の奥では「これは悪いことなんだ」という感覚はあったのだろう。
ただ一部の地方病院では相変わらず患者の殺害が続いていたようだ。
第二次欧州大戦も後半に入って、収容所のユダヤ人たちをガス室にて殺害する
行為は、むしろこれからが本番となる....。

「トレブリンカ~死の収容所」

2015-01-25 19:36:27 | ドキュメンタリー
2014年・NHK。 NHK-BS1よりBD録画。

第二次欧州戦争時にあった筈のポーランド・トレブリンカ収容所。
ドイツ降伏の少し前に証拠隠滅のため、徹底的に消滅させられた施設。
もと施設のあった場所には植林まで行われ、これまで場所の特定も出来ないでいました。
なかには「始めからそんな施設は存在していなかった」とまで言う人間も.....。

 
番組の扉画面。                           ヒトラーにより徹底的なユダヤ人排除の政策が進められる。
 
ユダヤ人の扱いに関する当時の文書。                 関係者の記憶による収容所の見取り図。
"適切な処置"=抹殺を意味していた。

 
最新のレーザー技術を併用しての発掘作業。              ユダヤ人収容所のプレートを発見。やはり実際に収容所は"あった"のだ。
 
婦人たちは衣類を脱がされ、体一つでガス室へと追いやられた。     土の中から出た子どもの顎骨。歯並びが解るのが生々しい。

人間というものは、時にかなり陰惨な仕打ちも敢えてしてしまう....。
人間の「狂気」というものに、しばし暗い思いに沈んでしまった。

「ナチスとフルトヴェングラー」。

2015-01-19 15:13:08 | ドキュメンタリー
2013年・WOWOW制作。 WOWOWからのDVD録画。
クラシック音楽、とくにベートーヴェン~ワーグナーあたりに関心のある人にならば、
フルトヴェングラーの名を知らない人はいないでしょう。
戦前から戦後まもない時期には圧倒的人気を誇った指揮者です。
記録としてはモノーラルの古い録音しか残っていませんが、たまに聴いて感動を
貰ったりします。

 
週末にはドイツ各地で無料の野外音楽会が開催される。         いまでもクラシック音楽はドイツ国民の間に根付いている。

 
フルトヴェングラー氏と当時のベルリン・フィルのメンバー。      第二次欧州大戦時にはナチスの援助のもと、精力的に演奏会を開催していた。

 
戦後、フ氏はナチス協力者だったかどうかの査問を受ける。       疑義が晴れたのちに音楽活動に復帰。しかし.....。
その後、裁判にかけられる。だが結果はいずれも無罪。


戦争中も変わらず精力的に演奏会を催して、一見ナチスの協力者のように見えたフルトヴェングラー氏。
そうした行動が戦後になって、周囲から疑いを持たれてもある程度は仕方がなかったと思われます。
他人からは心の内側って見えないですから。

幸い無罪を勝ち取った氏は、再び音楽活動を再開するも、こんどは聴覚がダメになり
絶望するといった一節もあります。
やむなく作曲の方に転向すべく努力されたようですし、実際にも作品(交響曲)が残っています。
これってまるで「苦悩するベートーヴェン」みたいな話だ.....。