国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は今月21日、東京で緊急事態宣言が発令されることについて、”政府が感染の拡大を防ぐためにとる、ゴールデンウィークに向けて先を見越した対策だと理解している”述べ、東京五輪の開催には影響しないとの考えを示した。ゴールデンウィーク中に拡大を収めれば、五輪開催の頃にも感染拡大が収まっていると予想する、余りにも単純な考えで呆れ果てる。
政府は大坂や東京等で、25日緊急事態宣言を再び出そうとしている。大阪府全域に”まん延防止等重点措置”が4月5日~5月5日が適用されたが、その効果なく新規感染者は増すばかりである。この法律は緊急事態宣言が都道府県単位で発令されるのに対し、まん延防では、知事が市区町村を指定し、特定に地域に対し措置を講ずることができる等の違いはあるが、一般国民にとって自粛要請等はほとんど変わらず、コロナ慣れやコロナ疲れがすっかり定着してしまっており、どの位効果があるか疑問である。
新型コロナウイルスの感染急拡大が続く大阪府で、18日の新規感染者が過去最多の1220人となった。1日あたりの新規感染者が1千人を超えるのは6日連続であり、様々な規制にも拘わらず、感染が拡大する根底には大坂人特有のおおらかさがあるかも知れないが、より大きな要因は国民のコロナ疲れ、コロナ慣れである。
19日、政府のコロナ対策の基本的対処方針分科会の議長でもある尾身氏は、大阪府では、一般診療への影響がかなり深刻に出ている、とし、災害派遣医療チーム(DMAT)や自衛隊の派遣も含め、「オールジャパン」の対応が必要だと力説した。
政府は東京五輪を今でも開催するつもりで、聖火リレーを続行中である。聖火リレーはオリンピックムードを高めるために全国を巡業するが、コロナ拡散を防止する為の外出自粛要請とは真逆な行為である。コロナ禍前に決めた計画を予算消化のために実行しているに過ぎず、リレーランナーの作り笑いが哀れである。
今こそオールジャパンでの対応が必要とすれば政府は五輪中止宣言をすべきである。国民の誰もがコロナ疲れやコロナ慣れを起こしている現状、これまでと同じような緊急事態宣言やまん延防を発したところで、政府の真剣度は国民に伝わらない。真剣さを示すためにはオリンピック中止しかない。このようなカンフル剤でオールジャパンを示さないと、国民は政府の真剣さを信用しない。
4月6日、北朝鮮の体育省は、この夏の東京五輪について新型コロナウイルスによる世界的な保健の危機状況から選手たちを守るために参加しない方針を明らかにした。北朝鮮は日本の感染状況を理由に挙げているが、世界の中には自国の感染状況が理由で参加できない国も続々現れるだろう。
米国内では来年2月に開催予定の北京冬季五輪への参加のボイコットの可能性が、リベラル志向の強い民主党内でが語られ始めているそうだ。中国は今のところ東京五輪に参加予定のようだが、中国と米国の関係悪化によって、親米路線の日本に対しボイコットの可能性言い出すかも知れない。外圧に屈して中止に追い込まれるより、自らの判断で中止を宣言すべきだ。2021.04.24(犬賀 大好ー697)