日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

新型コロナウイルスは国民の大半が感染しないと収束しない

2020年05月13日 09時50分43秒 | 日々雑感
 現在世間を騒がしている新型コロナウイルスは、スペイン風邪流行の場合のように、全人口の半数以上に抗体が出来ない限り収まらないようだ。但し、SARSやMAASの場合のように必ずしもそうならずとも沈静化している場合もあり、よく分からないことが多いが。

 さて、1918年から始まったスペイン風邪の流行は世界規模で猛威を振るったが、世界規模に広がったことにより死亡者も甚大になった一方で、生き残った人たちには抗体が出来、それが感染の減少と繋がり自然消滅的に収束したのだそうだ。

 抗体を得るためには、感染して自身の体で抗体を得るか、あるいはワクチンが完成するのを待って注射により獲得するかどちらかである。兎も角6~7割の人々に抗体が出来ない限り広がるそうだ。

 今回の新型コロナウイルスの場合でも、当初症状は普通の風邪程度と甘く見ており、何もしないで放って置けばその内多くの人が感染するので収束すると楽観に構えていたのも感染拡大の一因となったようだ。

 現在日本のコロナウイルス感染者の数は1.5万人程度であり、隠れ感染者の数がその10倍いたとしても計16.5万人程度で、多めに見積もったとしても日本人口の0.2%以下だ。6~7割の人々に抗体が出来るのを待つより、ワクチンの開発の方が早そうである。

 加藤厚労相は10日のNHK番組で、新型コロナウイルス感染症を巡り、ワクチン生産を急ぐ考えを示した。”開発できたと言ってから生産を始めたのでは間に合わない。多少見切り発車でも開発と生産の議論を並行して進め、一日も早く届ける体制をつくりたい”、と述べた。厚労相のこの発言は至極もっともであるが、PCR検査数の少なさに関する一連の発言は最高学府を出た有能な大臣とは到底思えない。

 さて、今年3月に米国立アレルギー・感染症研究所 (NIAID)の所長は、米国上院議員達に、ワクチンを使えるようになるまでに少なくとも1年半はかかるが、本当に1年半でできれば、最短記録になる、と話したそうだ。ほとんどのワクチンは市場に出るまでに5年から15年もかかり、SARSやMAASのワクチンは今もって出来ていないとの話だ。

 何しろ人間の健康に関するワクチンの開発手順は複雑だ。すなわち通常、基礎研究2~3年、非臨床試験3~5年、臨床試験(Ph1~Ph3)3~7年、承認審査1~2年、かかりようやく製造販売となる。

 世界保健機関(WHO)の纏めによると、現在臨床試験に入っているワクチンは数種類あり、中にはこの夏にも臨床試験の最終段階P3試験を始める予定の企業もあるとのことだ。世界的に流行する中、通常の開発期間が短縮されることもあるだろうが、NIADの所長が言っているようにワクチンが使えるようになるのは、早くても来年の夏以降であろう。

 また、世界のどこかでワクチンが使えるようになったとしても、世界の人々が使えるようになるまでには更に年数がかかるであろう。それまでは、感染拡大→行動規制強化→感染拡大縮小→規制緩和→感染拡大 を繰り返すのであろう。

 2020東京五輪は1年延期されたが、世界のコロナ騒ぎが収まるのは数年先になろう。開発途上国がコロナ騒ぎの真最中でありながら東京でのお祭り騒ぎは出来ないであろう。中止となる可能性は極めて大きく、今から対策を進めるべきである。2020.05.13(犬賀 大好-599)

隠れ保菌者の実態が分からずして緊急事態宣言の解除が出来るか

2020年05月09日 08時44分26秒 | 日々雑感
 4月16日に発令された国の緊急事態宣言は5月いっぱいまで延期されることになった。この宣言は数々の経済活動に制限を加えるため、宣言解除の日時や解除のための条件が明らかにされることが熱望されていたが、政府からは5日の延期宣言でも示されなかった。

 解除のための絶対的な条件は新規コロナウイルスが収束する見通しが示せることであろう。コロナウイルスの専門家会議は、解除の条件は感染状況等によると言っているだけで極めて定性的な説明だ。感染状況に関しては、・新規感染者数、・累計感染者数、・倍化時間、・感染経路が分からない割合、・実効再生産数、等を挙げており、一見詳細に検討しているように見える。しかし専門家が把握するこれらの数値は限定されたPCR検査結果からの統計値であり、井戸の底から天体観測をするようなものであり、将来を予想するには余りにも心許ない。

 専門家会議のメンバーの中には、新規感染者数が1日100人以下となることが目安と言う専門家もいるようだが会議の統一見解にはならなかったようだ。現在全国の1日の新規感染者数が現在200~300名であり医療崩壊も目前に迫っているが、100人を下回り、2ケタになると現状の医療体制でも継続的に感染者を受け入れることが出来るようになるからだが、その主張の根拠だ。

 これも一つの目安であろうが、100人以下が永遠に続く保証が無くてはならない。現在PCR検査は限られた条件の人にしか実施されず、統計上現れない隠れ感染者がその10倍は存在すると主張する人もいるが本当のところは分からない。現在県外に出ることが強く自粛要請されるが、これも東京から地方へ移動した人が感染を広げた反省からであり、この事実からも東京の隠れ保菌者が如何に多いかを暗示している。

 国が明確な基準を示さない中、5日大坂の吉村知事は独自の判断基準を示した。そこでは指標として、4つの具体的な数値で表される警戒基準を設け、4つの基準すべてが原則7日間満たされれば自粛は段階的に解除し、解除後であっても基準が満たされなくなった場合には、改めて府民へ自粛などの対策を要請するという方針とした。具体的な数値を明示した判断基準を示せるのも、大阪が先見の明を発揮し幅広くPCR検査を実施して保菌者の実態を把握出来ているからであろう。

 大坂の発表に慌てて、西村経済再生担当相は6日の記者会見で、緊急事態宣言解除の判断に関し、”数値基準について専門家と議論を進めている。近く示したい”と述べた。具体的には、新型コロナウイルスの新規感染者数や感染経路が不明な患者数、PCR検査の件数などが判断材料になるとの考えを示したが、大坂の後追いである。

 専門家会議は現状認識として感染者数が減少していると判断しているが、なぜ判断できるのかとの質問に対し以下の答弁をしている。医師が必要と判断した場合及び濃厚接触者を中心に PCR 等検査を実施してきたため、感染者の全てが把握されているわけではないが、検査件数が徐々に増加している中で、陽性件数は全国的に減少傾向にあることなどから、新規感染者数が減少の傾向にあることは間違いないと判断されると、苦し紛れの答弁をしたのだ。

 専門家会議は安倍首相からも判断基準を示すように要請されているが、先述のように隠れ保菌者の実態を把握しておらず、この状態で判断基準を出すことが可能であろうか。2020.05.09(犬賀 大好-598)

繁華街のネズミ天国をなぜ放っておく

2020年05月06日 08時59分45秒 | 日々雑感
 地球上には実に様々な生き物が生息している。その生息数の割合はほぼ一定と思われるが、時には突然変化する。

 国際連合食糧農業機関(FAO)の統計によると、乾燥地帯に生息するサバクトビバッタが、アフリカ大陸北東部のソマリア付近で大量発生し、一日に100〜200kmも移動しながら、農作物を食い尽くし、更に海を越えて中近東のサウジアラビア、イラン等を経由し、更にパキスタン、インドなどへ飛来し、中国西部に迫っているとのことだ。

 野生動物が突然大発生するのは食べ物が充分にあり、天敵の居ないことが条件だそうだ。バッタの大発生は日本では無縁と思われるが、ねずみの大発生は身近である。

 2018年10月にオープンした東京・豊洲市場にわずか半年後建物内でのネズミの大発生が話題となった。この件に限らず都内の飲食店街にネズミが多いことは予てより有名である。今回のコロナウイルス騒動でも自主規制により閑散とした飲食店街をネズミが我が物顔に走り回っているとの報道もあった。

 ネズミの天敵は人間であり駆除剤であろう。しかし東京では、スーパーラットと呼ばれる、駆除剤が効かないネズミが増えているという。ネズミの繁殖力は凄まじいため、そんなスーパーラットが雲霞のごとく増殖していることは想像に難くない。中には猫の大きさのネズミもいるとのことだ。

 折りしもパリの水道公社の研究チームが下水処理場の水からコロナウイルスを検出したとの新聞記事が4月末あった。また、仏パリ市当局は同時期、市内の道路清掃などに使用される雑用水道の水から新型コロナウイルスの微量な痕跡が検出されたと発表した。

 昔からネズミから人へ感染する疫病は多く、中でも中世ヨーロッパで流行したペストが非常に有名だ。14世紀に起きた大流行では、当時の世界人口4億5000万人の22%にあたる1億人が死亡したと推計されている。日本では1899年から1926年までの日本の感染例は2,905名で、死亡例2,420名との記録があり、新型コロナウイルス程の流行の大きさでは無かったようだ。

 しかし、ペストは人獣共通感染症だそうだ。ネズミなどげっ歯類を宿主とし、その血を吸ったノミによって拡散され、野生動物やペットからの直接感染や、人間の間での飛沫感染の場合もあるそうだ。

 現在のパリ市街の下水道の完備はペストの流行の反省からだとのことであるが、パリにおける下水道や雑用水道からのコロナ菌の検出は現時点での流行の激しさを感ずる。

 とは言え日本ではネズミとコロナウイルスの濃厚接触が既に始まっているかも知れない。新型コロナウイルスは元々野生動物が保菌していたウイルスが人間にも感染するように変異したとのことだが、ペスト菌同様にネズミとの相性はすこぶる良いかも知れない。ネズミにも感染し媒介するようになるとそれこそ大変な騒動になる。ネズミの天敵は人間の他に猫もいた筈だが、繁華街における猫の活躍は余り聞かない。

 兎も角、繁華街のネズミは衛生上よくない。コロナ以前の問題としても一刻も早く全滅に向けた努力をすべきだが、ネズミ退治の話はほとんど聞こえてこず、相変わらずネズミ天国のようだ。大事に至る前に対策すべきだが。
2020.05.06(犬賀 大好-597)

地球温暖化対策の遅れはコロナ感染症対策の遅れより影響が大きい

2020年05月02日 09時20分24秒 | 日々雑感
 現在コロナ感染症で世界中が大騒ぎであるが、このように世界に蔓延したのは対策の遅れがあったからだと言われている。

 さてアフリカ東北部で発生したバッタの大集団が農作物を食べ尽くしながら現在中国の西部に迫りつつあるそうだが、バッタの激増の原因は普段乾燥氣味な土地に大雨が降り、植物が繁茂したためだそうだ。

 この大雨の原因はインド洋のダイポール現象の発生の為だとのことだ。すなわちインド洋熱帯域の東部と西部で海水温の差が生れる現象で、数年に1度、夏から秋にかけて発生し、今回はインド洋の海面水温が東部より西部で温かくなり、東アフリカで雨が多く、インドネシアでは雨が少なくなっているのだそうだ。

 この海水温の偏りは東アフリカでバッタを大発生させている他、オーストラリアでは異常乾燥の為に大森林火災を引き起こし、日本では暖冬騒ぎの原因となる等、世界的に影響を及ぼしているのだ。

 ダイポール現象には今回と逆の場合もあり交互に繰り返すそうだ。この現象は太平洋熱帯域におけるエルニーニョやラニーニョ現象と同じであり、このような自然のゆらぎは地球上の気候現象に元々備わっている性質であり、今に始まったことでは無いそうだ。

 昨年の日本に台風15号、19号等がもたらした近年にない大洪水は、エルニーニョが一因であったと説明される。

 さて気象庁の4月10日のエルニーニョ監視速報によると3月時点ではエルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態となっており、今後夏にかけて両現象とも発生していない平常の状態が続く可能性が高いとのことだ。インド洋熱帯域の状況に関する速報もあるが、何れも基準値から若干高い値で推移するとの予測で極端な変化は無さそうである。そうだとすると日本のこの夏の異常気象は少なくなるのではないかと期待が高まるが、東京五輪がコロナ騒動で1年延期になったことが悔やまれる。

 インド洋や太平洋における海水温の偏在は自然のゆらぎだとしても、ゆらぎ幅が地球温暖化のため大きくなっていると主張する気象学者もいる。また近年の異常高温や異常降水の頻発は地球温暖化の影響であるとの主張があり、感覚的にはその通りの感がするが、学問的な裏付けは不十分との話だ。

 気象を左右する要因は、大気や海水の流れ、大気温度や海水温度のみならず、地形や太陽の活動状態等複雑多岐に亘り、超高速・大型計算機でも答えが出ないようだ。今回の海水温の偏りが例年になく大きく影響したのは地球温暖化の影響とすれば人間は温室効果ガスの削減等に努力するしか対処策は無いが、学問的な裏付けを待っていたのでは遅きに失する感である。

 地球温暖化は温室効果ガス排出が原因と見られるが、経済活動を優先して排出規制に後ろ向きな人が沢山いる。今世界を騒がしている新型コロナウイルス対策でも経済活動を優先させたため、対策が遅れウイルスを蔓延させてしまった国が多い。

 今回の件では失策が直ちに明らかになったが、温暖化対策の遅れでは結果がすぐには現れない。しかし、影響の大きさはコロナ感染の比ではない。2020.05.02(犬賀 大好-596)