日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

IOCはまず自らの商業主義を反省せよ

2019年11月02日 09時24分38秒 | 日々雑感
 国際オリンピック委員会(IOC)は10月16日、2020年東京五輪の男女マラソンと競歩の競技会場を、東京から札幌市に移すと発表した。理由は選手第1主義からの暑さ対策のためだと言う。

 東京五輪の主催の責任者である小池都知事にとって寝耳に水だったようであるが、橋本聖子五輪相や組織委員会の森会長にはIOCより事前説明があったようであり、何か政治的な匂いもする。

 橋本五輪相は10月19日、札幌市内で開かれたスポーツイベントで、報道陣の取材に応じ、東京五輪の一部競技を札幌市に移す案について、非常に喜ばしいと、大賛成を表明し、小池都知事を更に激高させたことだろう。

 また、橋本氏は五輪開幕まで1年を切っての変更については、IOCは数々の五輪を運営し、そうした組織が決める場所は、それだけ調査がされてきたはずだ、とIOCを擁護した。そかし、IOCが熟慮の結果の変更では無く、ドーハでの世界陸上の女子マラソンで4割が途中棄権したことで慌てた結果であることに間違いないだろう。

 東京の暑さと湿度の高さは今に分かったことでは無く、東京五輪を決める際にも分っていただろう。しかし、東京は温暖であるとの招致宣伝文句を頭から信用したのか、この夏ドーハで行なわれた世界陸上の出来事を目の当たりにしないと暑さの弊害を理解できない想像力の欠如の為か、今頃になって選手第1主義を言い出すとは誠に情けない。

 暑さ対策のため、これまでに組織委とIOCは、男女マラソンは招致段階の計画から1時間半繰り上げて午前6時スタートとし、男子50キロ競歩も午前5時半開始とすることを決めていた。また、東京都も道路に特殊塗装をする等、暑さ対策をいろいろしてきたが、それでも不十分との判断であろう。小池都知事にとってはこれまでの苦労を無にされ、切歯扼腕と言ったところであろう。

 北半球の7、8月は夏の真っ盛りである。この季節はサッカーやアメフト等、スポーツに向いていない季節なのだ。従って、テレビで放映するスポ-ツ番組が少ないから、放送局にとってオリンピックは格好の放映材料なのだ。IOCが7、8月にオリンピックを開催するとしているのは、放送権料が高く売れる商業第1主義からである。

 競歩、マラソン以外でも暑さ対策が必要な種目はいくらでもある。ドーハでマラソンが問題となり、急遽競歩、マラソンが移転対象になったのであろうが、他の種目は問題ないと、一言あって然るべきだ。実際目にしないと理解できないIOC委員には無理かもしれないが。

 そもそも、7、8月開催自体が無茶な話なのだ。日本の招致する側は、復興五輪とかコンパクト開催とか美辞麗句を並べ東京開催に漕ぎつけたが、暑さ対策に関しては日本特有の精神論で乗り切れると高を括っていた節が伺える。

 IOCは日本の言い分を丸のみにしてここまで来たが、ようやく日本を疑い始めたのだ。IOCの東京五輪調整委員会(コーツ委員長)は、東京での会議で、当初移転について議論するとしていたが、IOCのバッハ会長は決定済みとのことであり、主催者が納得しないまま権力で押し切った。

 しかし、今回のごたごたは元々はIOCの商業第1主義からのことであり、今回の出来事を切っ掛けに自己反省をしてもらいたいものだ。
2019.11.02(犬賀 大好-545)


コメントを投稿