日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

スポーツ界におけるボスを支える脇役の活躍

2018年09月12日 09時12分44秒 | 日々雑感
 再来年の東京オリンピックを目前にして日本スポーツ界は不祥事が相次ぐ。何れも、それまでその団体を引っ張てきたリーダ達のパワハラスメントが問題となっているのだ。

 最近の不祥事は日本体操協会においてである。先月末、18歳の宮川紗江選手が記者会見に臨んだ。そこで、塚原光男副会長と妻の千恵子強化本部長よりパワハラを受けたと報告した。

 宮川選手に塚原夫婦の意に従わないとオリンピック出場は難しくなると圧力を掛けられたとの内容である。しかし、塚原夫婦によりオリンピックの女子団体種目が上位に入った実績は認めなくてはならない。

 同様な不祥事は女子体操の前にもレスリングやボクシングであった。今年の始めには、元日本レスリング協会強化本部長の栄和人氏が五輪4連覇の伊調選手に対しパワハラをしたとされ、第三者委員会は4月6日、一部のパワハラを認定し、栄氏は同日、強化本部長職の辞表を提出した。

 また、日本ボクシング連盟の山根明前会長は、助成金の不正流用問題等で会長職を去った。山根前会長は、全国組織に日本ボクシング連盟をまとめた功績があり、独裁的な運営に批判があるものの、シンパはかなり多いとのことである。

 更に、ごく最近では、日体大における駅伝や重量挙げにおけるパワハラの問題が持ち上がっており、スポーツには必ずパワハラが付き物との感である。

 現在非難の的になっている人々は、長年君臨しており、その道でそれなりの実績を上げて来た。組織の立ち上げ時には、皆の意見をまとめるために多少強引な運営も認められるであろう。また、日本のスポーツ指導には昔から体罰は付き物であり、その歴史の中で育ってきた現指導層も指導とパワハラの区別ができないのだ。

 しかし、実績を上げると、それまでの強引な運営の弊害が生じても、直接意見する者が居なかったのであろう。日本体操協会のパワハラ問題についても、五輪体操金メダリストの森末慎二氏も、”30年くらい前からそういう噂さはいっぱいありました”と明かしているが、正にこのことであろう。

 また、長期に亘る独裁を許す要因に、権力者へ従順に従う者がいることである。この脇役が権力者の回りを固め、周辺の声を届かないようにしていることも確かであろう。

 宮川選手に塚原夫婦の意に従うように電話したのは塚原強化本部長の付き人からとのことである。日本ボクシング連盟の助成金の不正流用問題等においても、当事者の成松選手に不正流用を自らの判断でやったことにしてくれと電話したのは、側近の理事だったようだ。

 日本レスリング協会の副理事長で至学館大学の谷岡郁子学長は上司であるが、栄氏に対する態度が不可解だ。問題発覚の直後は栄氏を擁護していたが、その後一変し非難に変わった。少なくとも、発覚以前は猛烈な支援者であったであろうから、栄氏は心強く、辣腕を振っていたのだろう。

 更に日大のアメリカンフットボールでは、内田前監督に対する井上前コーチの存在がある。彼ら脇役が権力者の意向を忖度して独自に行動したのか、直接の命令でしたのか不明であるが、恐らく忖度の方であろう。

 忖度は日本人特有な行動であり、欧米人には理解され難いようである。この忖度は、森友、加計学園問題で、安倍首相に対する忖度で悪名が高くなったが、本来は、相手の心を推し量るとの優しい心使いの筈である。それが権力者に対するおべっか、忠誠心、追従、虎の威を借りる狐の意味となってしまい、残念なことである。

 森友、加計学園問題は、世間の関心が薄れてきたのかマスコミも余り騒がなくなり、忖度の言葉も余り聞かれなくなったが、スポーツ界の不祥事で再び脚光を浴びるかも知れない。2018.09.12(犬賀 大好-476)

大学受験において差別を味わった女性のやるせなさ

2018年09月08日 09時06分21秒 | 日々雑感
 東京医科大医学部の不正入学問題は、女子受験者の一律減点問題へと意外な方向に展開した。大学への入学試験において、一次試験の点数に対し人為的な操作が行われていたことが明らかになったのだ。女子学生の減点のほか、一部の男子受験生に加点することもあったという。

 そもそもの切っ掛けは、私大支援事業を巡る受託収賄罪であったが、そこで起訴された前文科省局長佐野太被告の息子も、一次試験で同様の操作で加点され、不正に合格したとみられている。

 入試での一律減点操作は女性の入学人数を3割程度に抑えるためで、2010年前後に始まっていたとされ、結構な歴史がある。

 同大によると、今年度、医学部に受験したのは男子1596人、女子1018人で、ほぼ3:2の割合で男性が多いが、女性の入学希望者が意外に多く、意欲ある女子の多さに感心する。しかし、結果的に入学者120人のうち、女性は23人であり、8:2 の割合で女性が少なくなっていた。

 しかし、これは女性の学力が劣っていたのではなく、人為的な操作の結果だとすると、受験し落第した女性は、何ともやりきれない思いであろう。

 文科省は先日、医学部医学科がある全国81大学の入学者選抜を調べた結果を明らかにした。そこで過去6年間の平均で男子受験生の合格率が女子の約1.2倍だったことを発表した。最高は順天堂大学の1.67倍であり、中には弘前大の0.75倍と女性の方が多い大学もあったとのことで、点数操作が全大学で行なわれていなかったことにホッとする。

 文科省は、男女の合格率の違いの理由について大学側に説明を求めていくとしているが、東京医科大を除く大学からは、これまで不当な差をつけたことは無かったとの回答を得ているようである。

 しかし、点数操作は、昔から、私立ばかりでなく国公立大においても、男子有利の大学、浪人生や再受験生に対し不利な大学の存在は、予備校の先生など薄々分かっていた人がいたようだ。

 また、テレビでお馴染みの西川史子医師は、「東京医大に限らないです。全部の医大がそうです。だって、点数の上から採っていったら、女性ばっかりになっちゃうんですよ」と入試の点数だけで見ると上位の大半を女性が占めると指摘した。なるほどと先の弘前大が典型例と納得できる。

 医学部が女性を避ける理由は、医者の置かれた労働環境が大いに影響しているようである。すなわち医者は患者次第で動かねばならず、日直もこなせねばならず重労働である。また、出産等で長期に休暇に入ると男性医師にしわ寄せが来るなど運営面で支障を来たす。

 特に手術等で体力を要する外科医には女性のなり手が少ない。男性ができることと女性ができることは違うから、入学時に男女比を考慮しないと、世の中が眼科医と皮膚科医だらけになってしまうとの医療現場を知る医者からのコメントもある。

 入試での一律減点操作はパンドラの箱を開けてしまった感で、長年の問題が一気に噴出し、切っ掛けとなった受託収賄罪はかすんでしまった。

 多くの大学が不当な差をつけたことは無いとの主張は、将来を考えての男女の差であると正当化するのであろう。本来は医療現場における労働環境の改善を検討すべきであるが、一朝一夕には進まない。そうであるならば、始めから、合格者の割合を男性何割、女性何割と明示すべきである。

 東京女子医科大学は女性に限るとの条件があるのであるから、男性限定の大学があっても問題が無いだろう。

 問題はこれまで問題を放置してきた後始末である。これまで行なわれてきた点数操作に関し、有志の弁護士で作る「医学部入試における女性差別対策弁護団」が、大学側に成績開示や慰謝料を請求する方針のようであり、中には長年の夢を断たれた女性の恨み辛みもあるので、問題の解決は難しい。2018.09.08(犬賀 大好-475)

地球温暖化がもたらす更なる脅威

2018年09月05日 09時07分42秒 | 日々雑感
 今年の夏はやけに暑い。地球温暖化の影響との説が有力であるが、再来年東京オリンピックの年は更に暑くなるのであろうか。

 気象庁の報告によると、日本の年平均気温は長期的には100年あたり約1.19℃の割合で上昇しているそうだが、年毎の変動が大きく、特に1990年代以降、高温となる年が頻出しているとのことだ。

 環境省が宣伝のため制作した動画 ”2100年 未来の天気予報” では、地球温暖化への対策を怠った未来を予想し、「明日の予想最高気温は東京や名古屋44度、大阪43度、福岡42度、札幌でも41度、那覇39度……となるでしょう」と、予報している。

 近頃の暑さを経験すると、決して的外れでないような、あるいはもっと早い時期にそんなことが起こりそうな気がする。

 地球温暖化は平均気温の上昇ばかりでなく、当然降水量にも影響を与える。国内51地点で観測された降水量から計算した2017年の年平均降水量は、例年になく多雨の年であったようである。降水量も気温と同様に年ごとの変動が大きくなっているとのことだ。

 日本では、幸いなことに、これまで全国的な旱魃に見舞われたことは無かったが、これからはそんなことが起こる可能性も出てくる。

 また雨は年間を通して平均して降れば良いが、まとめて降るところに問題がある。日本では短時間強雨の発生回数は、ここ30年間余りで増加傾向にあるそうだ。1時間に100mmを超すような降水は土砂崩れなどの自然災害を起こす。

 1時間に30~50mm位の降水は”バケツをひっくり返したような雨”と表現するが、これ以上の場合は何と表現するのだろう。自然現象に対し様々に表現するのが日本語の特徴であるが、”バケツ・・・”以上の表現が見当たらないのは、こんな現象がこれまで日本では無かった証拠であろう。

 ”天地がひっくり返ったような” や ”地獄の釜の底が抜けたような” は、何となく恐ろしいことが起こりそうだと言う意味で使いたいが、実感が伴わないところが欠点である。その内、誰かがもっと適切な言葉で表現するだろう。

 この異次元の異常降水は、観測史上始めて、50年に一度等、という言葉で言い表されるが、毎年のように発生し、日本の恒例の行事になりつつあるように感じる。

 実際、2014年の広島地区での平成26年8月豪雨、2015年の平成27年9月関東・東北豪雨、2016年の北海道への3つの台風の上陸、2017年の平成29年7月九州北部豪雨、今年7月西日本豪雨と毎年の恒例行事化している。

 地球温暖化は北極海の氷の減少、世界各地の氷河の後退などで観察されるが、アラスカ、シベリヤ等における永久凍土の溶解にも見られるとのことだ。

 最近、シベリアの氷の大地で長い時間にわたって凍りづけされてきた線虫の一種が、実に4万2000年ぶりに息を吹き返して活動を再開していることが明らかにされたそうだ。線虫の生命力に驚かされる一方、これらの線虫と同じように、永久凍土に眠る古代の細菌やウイルスたちが現代によみがえり、人類の新たな脅威にならないのか、心配の種でとなる。
2018.09.05(犬賀 大好-474)

自民党の総裁選に国民は無関心である

2018年09月01日 09時22分50秒 | 日々雑感
 自民党の総裁選(9月7日告示、同20日投開票)に、安倍首相も8月26日になってようやく立候補を正式表明した。首相は、総裁選はどのような国造りをしていくかということが争点であり、骨太の議論をしていきたいと語り、森・加計学園問題は些細な過去の出来事としたいようである。

 安倍首相は、憲法9条に自衛隊を明記することや、また外交・安全保障やアベノミクスの成果に関する議論を骨太の議論としたいと考えているのだ。

 先に立候補を表明している石破茂元幹事長は27日午後の記者会見で、総裁選で掲げる政策を発表した。新たな経済政策の司令塔として米国の国家経済会議(NEC)の日本版や、経済金融総合対応会議の創設などを提案したが、国民とどう関係するかよく分からない。

 政策パンフレットには、格差是正、真の地方創生、技術革新、新しい時代の要請に応じた人材強化に重点を置き、財政規律にも配慮するとの見解も示したが、問題点の列挙で特に目新しさは無い。しかも、具体的な内容は不明であり、現在の安倍首相の方針から大きく変化しないと思われる。

 また、憲法改正問題では、安倍首相の自衛隊明記に対し、緊急事態条項などを優先させるとしている点で異なるが、石破氏は他党との丁寧な議論を積み重ね、国民の理解を得つつ真正面から向き合うとしているが、野党とは憲法に関する根本認識が異なるところもあり、どこまで出来るか懸念される。

 両者の差で分かり易いのは正直・公正の政治姿勢である。安倍首相は森・加計学園問題では丁寧な説明をすると繰り返しているが、国民の大半が未だに納得していない。石破氏は首相のこの政治姿勢への批判を強め、官邸の信頼回復を打ち出していく構えだ。石破氏が総裁選に勝ちたいならば、その点を大いに訴えるべきだ。

 首相は総裁選期間中も外交日程などがあり、公開討論会や街頭演説などは最小限となる可能性が高い。外交は常に重要な行為であるが、なるべく石破氏との議論を避けたいとの姿勢が明らかである。

 このような情勢の中、総裁選は一般国民が投票する訳でもなく、国会議員の7割が安倍支持と決まった現在、勝負は決まった感で、世論が盛り上がる筈が無い。

 さて、17年前を知るベテランの自民党関係者の間では、当時の橋本龍太郎元首相と今の安倍首相が似ている、という噂が飛び交っているそうだが、何とか世論を盛り上げようとする意図も透けて見える。
 
 当時橋本氏は、永田町内の数の力では圧倒的優位に立っていたが、熱狂的な支持はなく、小泉純一郎氏に逆転されてしまった。その再現を息子の小泉進次郎に期待したいところであるが、進次郎氏は最近口数が少なくなっており、何を考えているか分からないとのことである。

 読売新聞社が8月24~26日に行った世論調査の数字で、次の総裁は誰がふさわしいと思いますか、の問いに対し、安倍氏と答えた人が36%、石破氏22%、そして進次郎氏が24%だったそうだ。

 石破氏と進次郎氏が組めば一波乱ありそうだが、最近の進次郎氏は、総裁選については語りたがらないようだ。将来総裁になることを狙っているようだが、そのためにはどうすべきかを深慮しているのであろう。悪い意味での政治家になりつつある。

 国民の最大関心事は経済政策である。しかも、概して目先の利益が最優先であり、財政バランスはどうでもよく、消費増税は反対である。本来は石破氏にこの辺りを強く訴えてもらいたいが、あまりやり過ぎると人気が下がることは目に見えている。2018.09.01(犬賀 大好-473)