日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

自民党の総裁選に国民は無関心である

2018年09月01日 09時22分50秒 | 日々雑感
 自民党の総裁選(9月7日告示、同20日投開票)に、安倍首相も8月26日になってようやく立候補を正式表明した。首相は、総裁選はどのような国造りをしていくかということが争点であり、骨太の議論をしていきたいと語り、森・加計学園問題は些細な過去の出来事としたいようである。

 安倍首相は、憲法9条に自衛隊を明記することや、また外交・安全保障やアベノミクスの成果に関する議論を骨太の議論としたいと考えているのだ。

 先に立候補を表明している石破茂元幹事長は27日午後の記者会見で、総裁選で掲げる政策を発表した。新たな経済政策の司令塔として米国の国家経済会議(NEC)の日本版や、経済金融総合対応会議の創設などを提案したが、国民とどう関係するかよく分からない。

 政策パンフレットには、格差是正、真の地方創生、技術革新、新しい時代の要請に応じた人材強化に重点を置き、財政規律にも配慮するとの見解も示したが、問題点の列挙で特に目新しさは無い。しかも、具体的な内容は不明であり、現在の安倍首相の方針から大きく変化しないと思われる。

 また、憲法改正問題では、安倍首相の自衛隊明記に対し、緊急事態条項などを優先させるとしている点で異なるが、石破氏は他党との丁寧な議論を積み重ね、国民の理解を得つつ真正面から向き合うとしているが、野党とは憲法に関する根本認識が異なるところもあり、どこまで出来るか懸念される。

 両者の差で分かり易いのは正直・公正の政治姿勢である。安倍首相は森・加計学園問題では丁寧な説明をすると繰り返しているが、国民の大半が未だに納得していない。石破氏は首相のこの政治姿勢への批判を強め、官邸の信頼回復を打ち出していく構えだ。石破氏が総裁選に勝ちたいならば、その点を大いに訴えるべきだ。

 首相は総裁選期間中も外交日程などがあり、公開討論会や街頭演説などは最小限となる可能性が高い。外交は常に重要な行為であるが、なるべく石破氏との議論を避けたいとの姿勢が明らかである。

 このような情勢の中、総裁選は一般国民が投票する訳でもなく、国会議員の7割が安倍支持と決まった現在、勝負は決まった感で、世論が盛り上がる筈が無い。

 さて、17年前を知るベテランの自民党関係者の間では、当時の橋本龍太郎元首相と今の安倍首相が似ている、という噂が飛び交っているそうだが、何とか世論を盛り上げようとする意図も透けて見える。
 
 当時橋本氏は、永田町内の数の力では圧倒的優位に立っていたが、熱狂的な支持はなく、小泉純一郎氏に逆転されてしまった。その再現を息子の小泉進次郎に期待したいところであるが、進次郎氏は最近口数が少なくなっており、何を考えているか分からないとのことである。

 読売新聞社が8月24~26日に行った世論調査の数字で、次の総裁は誰がふさわしいと思いますか、の問いに対し、安倍氏と答えた人が36%、石破氏22%、そして進次郎氏が24%だったそうだ。

 石破氏と進次郎氏が組めば一波乱ありそうだが、最近の進次郎氏は、総裁選については語りたがらないようだ。将来総裁になることを狙っているようだが、そのためにはどうすべきかを深慮しているのであろう。悪い意味での政治家になりつつある。

 国民の最大関心事は経済政策である。しかも、概して目先の利益が最優先であり、財政バランスはどうでもよく、消費増税は反対である。本来は石破氏にこの辺りを強く訴えてもらいたいが、あまりやり過ぎると人気が下がることは目に見えている。2018.09.01(犬賀 大好-473)