日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

北朝鮮の非核化は夢のまた夢

2018年09月26日 09時39分17秒 | 日々雑感
 韓国の文在寅大統領は、今月18日と19日に北朝鮮を訪問して金正恩委員長と平壌共同宣言を採択し、・朝鮮半島を核兵器と核の無い平和の地に、・北朝鮮は米国が相応の措置をとれば、寧辺の核施設を永久に廃棄する、等を宣言した。

 文大統領は帰国後の記者会見でも、金委員長の確固たる非核化の意思を確約した、と強調したが、これまでと同様に具体策は無く、当たり前のことを言っているに過ぎない。大統領は北朝鮮で熱烈な歓迎を受け、すっかり丸め込まれた風である。

 韓国と北朝鮮の祖国統一は長年の悲願であることはよく理解できる。その点で両者が意気投合し、その親密さをアピールしているが、両国の政治体制、経済格差は違い過ぎる。

 特に北の政治体制を韓国国民には到底受け入れられないだろうし、北朝鮮の国民は韓国の民主主義体制の自由さに戸惑うばかりであろう。

 東西ドイツの統一においては、東ドイツ国民の蜂起があった。現北朝鮮国民に民衆蜂起の気配はないようだ。貧しさのため日々の生活に追われているせいかも知れないが、それより情報統制、言論統制が厳しいためであろう。

 さて、万が一統一されて、往来自由にでもなった場合、韓国を天国と思い一斉に移動する懸念がある。しかし、現在の韓国国内でも経済格差が大きく、北朝鮮の人々を韓国では到底面倒を見切れ無いであろう。

 当然日本にも押し寄せるだろう。現在移民政策を採らない日本はどう対処するだろうか。かってのベトナム難民のように、日本はベトナム戦争終結後から2005年までの間、1万人以上の難民を受け入れたが、その後はほとんど認めていない現在である。

 ところで、北朝鮮は、先週行われた南北首脳会談の共同宣言で、寧辺にある核施設を閉鎖する用意があると表明したことに対し、アメリカのポンペイオ国務長官は23日、経済制裁こそが金委員長に行動をとらせる圧力になったとして、経済制裁は米国の目標を達成するための原動力であり、完全な非核化を実現するまで緩和しない、と述べた。

 しかし寧辺の核施設を永久に閉鎖するとしても、すでにどこかに代替の核施設を築いている懸念があり、委員長は今後とも核技術を絶対手放なさないであろう。核放棄したリビアのその後の惨状で民主主義の危うさを実感し、ウクライナ紛争ではロシアの核兵器の威力をまざまざと見せつけられたであろうからだ。

 なにより交渉相手のトランプ大統領を信用しているかが最大の問題だ。先の首脳会談では親密さをアピールしていたが、正に狐と狸の化かし合いと言った掛け合いだ。

 さて米国務長官が経済制裁が原動力であるといくら力説しても、実質的には解除状態になっているのではなかろうか。当初経済制裁は効果があったかも知れないが、金委員長の何回かの中国訪問で、習近平主席とすっかり仲良くなった。何しろ北朝鮮の貿易の90%は対中国とのことであり、制裁のさじ加減は中国の出方次第だ。折りしも中国と米国は貿易戦争状態で米国の言いなりにはならない。

 また、国連安全保障理事会は9月17日、北朝鮮制裁の実施を巡る緊急会合を開いた。北朝鮮の制裁逃れの実態を調べる北朝鮮制裁委員会の専門パネルの中間報告書からロシアの関与を指摘した記述がロシアの干渉で削除されたと米国が批判した。中国ばかりでなく、ロシアも北朝鮮と秘かな貿易を行っているようである。

 文氏は説明のため24日米国を訪問した。膠着状態にある米朝協議について、金委員長は2回目の米朝首脳会談の迅速な開催を望んでいる、と伝えた。トランプ大統領は中間選挙を控え成果を焦っている。金委員長の希望に沿うであろう。会談の中身はどうであれ、大成功であったとつぶやくだけだ。2018.09.26(犬賀 大好-480)