1月19日、岸田文雄首相が打ち出した ”異次元の少子化対策”を議論する関係府省会議の初会合が開かれた。少子化対策として、児童手当などの経済支援、等を3月末までにこの会合で政策のたたき台を作る予定だそうだ。
少子化対策はこれまで歴代の内閣もやってきた。1990年の合計特殊出生率が1.57と過去最低であった1966年の1.58を下回ったことが切っ掛けであった。1966年は干支の一つである丙午の年であり、”丙午生まれの女性は気性が激しく夫を不幸にする”という迷信があり、出生率が激減したが、この年より更に下回ったのだ。
この年以降、政府は少子化社会への対応を重要な政策課題として位置付けるようになり、エンゼルプランの策定、少子化対策推進基本方針の決定、少子化社会対策基本法の制定、少子化社会対策大綱の決定、少子化社会対策を次々講じてきたが、何ら成果を得られず、2022年の合計特殊出生率も1.27程度と低下、1.30を割る公算が大きくなっている。
一方、小池東京都知事は、1月12日、子供に対する月5000円の給付について、2024年1月から一括で給付する方針を明らかにした。また、0歳から18歳の子供1人につき月額5000円、年間6万円を一括で給付するという。小池都知事は、同時に、現在は半額負担となっている0歳から2歳の第2子の保育料を完全無償化することも発表した。都知事は国の動きが遅いため、待っておれないので始めたと説明したが、完全に国の動きの先取だ。国は都知事の政策に埋没しない政策を打ち出せるか、小倉担当大臣の力量が試される。
さて中国の2022年末時点の総人口は14億1175万人で、前年末から85万人減ったことが明らかになった。習近平国家主席は一人っ子政策を7年前に廃止し、人口増加の方向へ舵を切ったにもかかわらず、子供は一向に増えないとのことだ。
人口減少は先進国に共通の問題となっているが、中には増加の方向へ動き出している国もある。例えば、フランスは直近の出生率が1.83とG7の中で最も高く、2人目の子どもから月2万円の児童手当を支給するなど手厚い対策があり、出生率が一時2を超えるまでに回復した。他にもスウェーデンでは、出産や大学までの教育を無償化していて、出生率が、一時V字回復を果たしたそうだ。また、ハンガリーでは、4人以上子どもを産んだ女性の所得税を免除したり、子どもの数に応じて住宅購入費を給付したりするなど思い切った対策を取ったことで、出生率が2011年から上がり続けているそうだ。対策はいろいろあるだろうが、兎も角お金が必要なことは間違いない。
岸田首相の異次元少子化対策は、世論調査では国民の約3/4が期待できないとしているが、先述の出生率が比較的高い国の対策はいずれも国の予算が多い。少子化対策は様々な面からの対策が必要であるが、先立つものはやはりお金である。首相は倍増と言っているが、その財源は示されていない。2023.01.25(犬賀 大好ー883)