日々雑感

最近よく寝るが、寝ると言っても熟睡しているわけではない。最近の趣味はその間頭に浮かぶことを文章にまとめることである。

旧統一教会に対する山上容疑者の功罪

2023年01月22日 09時51分57秒 | 日々雑感
 去年7月に奈良市で演説中の安倍元首相が銃で撃たれて殺害された事件で、奈良地方検察庁は山上徹也容疑者を殺人と銃刀法違反の罪で起訴した。容疑者は統一教会に恨みがあり、統一教会と安倍元首相との関係を疑って犯行に及んだそうだ。

 元首相の祖父に当たる岸信介氏は1957年に内閣総理大臣に就任し、その翌年統一教会は日本で布教を始めた。教会は6年後宗教法人として認証されると岸氏の自宅の隣に本部教会を移し、1968年には反共産主義を掲げる政治組織“国際勝共連合”を設立し、反共を掲げる岸氏と共同歩調をとるようになったと思われる。

 さて、殺害事件後自民党と統一教会との関係がマスコミで話題となり、政府は議員の調査をしたが強制力や罰則はなく、通り一遍の調査のようであった。そこで各メディアが独自の調査を行った結果、ある調査によれば、現職、退職、故人を含めると、121人もの国会議員が、統一教会と何らかの関わりを持っており、自民党議員が多くその中でも安倍派が多数を占めていることが分かったとのことだ。この現状と岸信介氏の付き合いはじめ等から、山上徹也容疑者ならずとも安倍元首相と統一教会に関係ありそうなことは察しが付く。

 更に、国会議員ばかりでなく地方議員にも関りを持つものが多数いると判明し統一教会は日本の政治にも深く浸透していることが判明した。議員は選挙時に応援してもらう便宜を得、教会は名前を宣伝に利用するとの相互の利益のための関係が多そうである。選挙時の応援では公明党に対する創価学会の肩入れが有名であり、恐らくこれに類するものであったろう。

 統一教会と議員の係わりに関しては、現在衆院の細田議長の係わりが問題となっている。今月19日、統一教会との関係を非公開の懇談形式で短時間、野党の質問に答える意向を示したが、当然ながら野党は拒否している。

 兎も角、宗教では心の問題が大きく、統一教会に限らず創価学会等とも共通する問題である。心に悩みを抱える人間が、痛みを分かち合ってくれ、それで生き易くなるというのであれば、信仰が何かを与えてくれる宗教の存在意義は大きい。遠藤周作の小説 ”沈黙”にも心の苦悩と信仰の関係が書かれており、考えさせられる。 

 統一教会問題では、霊感商法、高額寄付、宗教2世関係が取り沙汰されているが、これらの問題は直接信仰とは関係ないが、信仰を悪用する点で深く関係していることが問題を複雑にしている。

 文化庁は1月18日、宗教法人法に基づく質問権を行使し、3回目となる質問書を教団に送った。3回目の質問では、①組織運営、②予算、決算、財産、③信者からの献金、④教団内の給与、退職金等約80項目について、より具体的に調査する予定のようだ。

 山上容疑者の殺人行為は重いが、統一教会に関する問題点をあぶり出し、国会でも取り上げている点でその功績を認めないわけにはいかない。2023.01.22(犬賀 大好ー882)