厚生労働省は11月16日、新型コロナウイルスの感染者が全国で新たに10万7186人確認されたと発表した。前週の水曜日より約2万人増え、日本医師会も感染拡大の第8波が始まったとの認識を示した。
しかし感染者数に占める死者数を示す致死率は、第5波が0.414%に対して、第6波は0.143%、第7波では0.091%で4分の1程度に下がり、専門家は要因にウイルスの弱毒化やワクチン接種を挙げている。第8波では更に改善される見通しで、緊急事態宣言等の社会経済を止めようとする対策は取らないと政府は現段階で判断しているが、ただ懸念されるのはインフルエンザとコロナの同時流行だ。
日本より懸念が大きいのは中国だ。10月末の中国共産党大会で異例の3期目入りを果たしたの習近平総書記は周りを側近で固めたそうだ。これにより中国は益々習氏の思い通り動くのであろうが、その一つがゼロコロナ対策であるが、習氏の勝算はどこに在るのだろうか。
最近の報道によると、中国本土の新型コロナウイルス新規感染が1日当たり1万9609人と2万人に迫っており4月後半以来の高水準となり、南部の製造拠点、広東省広州市は6296人だそうだ。ところが、広州市で14日夜、新型コロナウイルス感染対策に基づく厳格な封鎖措置に住民が抗議し、暴動に発展した。香港メディアは、住民が警察車両や封鎖に使われていたフェンスを倒すなどし、警察が高圧放水で鎮圧を図ったと報じた。
ゼロコロナ対策は、大規模な集団検査や突然のロックダウンなどが経済や国民生活に大きな影響を及ぼしている。最近では庶民の不満を抑える為隔離期間の短縮化など政策の調整を進めているようだが、庶民の不満は鬱積しており、一部では暴発しているのだ。
日本を始めとする西欧諸国はワクチン接種を積極的に薦め、その効果が十分発揮されているが、中国では世界で最も厳しい新型コロナウイルス対策を講じている習近平総書記だが、ワクチンを積極的に活用していないようだが何故であろうか。もし活用するとすれば、自国製のワクチンであろうが、自国製のワクチンは信用出来ず、だからと言って、海外から輸入することは面子上出来ないと言った背景であろうか。
ゼロコロナ政策の若干の修正があると言っても、基本的にはゼロコロナ政策でありこのまま続行しても勝ち目のない戦いのようにも思える。しかし、習氏の頭にはサーズやマーズの記憶が強く残っているのでは無いだろうか。いずれも、現在の新型コロナウイルスと同じコロナウイルスの仲間で、サーズは2002年に現れ翌年の5月には終息宣言された。マーズは2012年現れ特に中東で猛威を振るった。
現在でもサーズ、マーズに対するワクチンや特異的な治療法は無いそうだが、いつの間にか地球上から消えたようだ。習氏は新型コロナウイルスも同様な過程を踏むと考え、2、3年抑え込めば自然に消えると高を括っている、としか思えない。1強体制では異論を挟む人は出てこないだろう。2022.11.19(犬賀 大好ー864)