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最期までその人らしい生活を…そのためにいる私たちかな 「介護百首」を目黒の特養が出版

2023年01月27日 | 生活

「東京新聞」2023年1月26日

駒場苑提供

 より良い介護をするための理念や技術を込めた短歌を、東京都目黒区の特別養護老人ホーム(特養)「駒場苑」の坂野悠己ゆうき施設長(42)らが創作し、百人一首のような「介護百首」として今月出版した。端的で分かりやすく、ケアの要点をリズミカルに理解できるのが特長。坂野さんは「介護業界全体に伝えるツールにしたい」と意気込む。(五十住和樹、写真も)

◆実践的な内容ばかり

 「最期まで その人らしい 生活を そのためにいる 私たちかな」

 坂野さんが「介護百首」の最初に掲げた1首。介護とは、お年寄りが人生の最期まで気持ち良く主体的に、自分らしい生活を送るのを支えること。そんなケアを実践する決意がこもる。

 認知症や寝たきりの人が大半を占める特養だが、駒場苑は重度の人でも寝かせきりにせず、食堂で食事をし、できるだけおむつをしないで過ごせる介護を掲げてきた。100首はこうした理念に加えて食事や排せつ、入浴介助のこつ、認知症の人への対応などすぐに役立つ実践的な内容ばかりだ。

◆「五七五七七」なら頭に入りやすい

駒場苑提供

 短歌を創作したのは7年前。介護職全員に効果的にケアの基礎を伝える方法を考えていて、「五七五七七なら頭に入りやすい」と思いついた。ベテラン介護職3人と協力して作った。解説文やイラストを付けたA4判のポスターにして施設の目立つ場所に掲示。面白がって勤務中に読む職員が増えたという。

 2019年から毎月2首ずつ収録したカレンダーを作製。坂野さんがSNSで紹介すると、全国の特養やデイサービスの事業所から「送って」と希望が殺到した。運営法人に1000円以上寄付した人への返礼品として、今年は約500部を印刷するまでになった。今回、「100首まとめて読みたい」との要望に応え、持ち歩いて参照できるようにポケットサイズの本にした。

◆「最期がこれでいいのか」

 坂野さんは大学時代、アルバイトした特養で全員おむつをつけベッドに寝かされ、身体拘束もいとわない介護に疑問を抱いた。「人生の最期がこれでいいのか」という怒りを原動力に、卒業後は資格を取って介護の世界へ。横浜市の特養で「おむつは極力しない」「食事は座って食べる」などと介助方法を工夫し、移籍した駒場苑でも実践した。

 駒場苑が掲げる「寝かせきりゼロ」などに向け、利用者の状況や希望に応じて個別のケアを行うことは、職員から「人手が足りない」「忙しすぎて無理」と反発を受けやすい。坂野さんは、午前のお茶など定例の日課をなくして時間の余裕を生むなど工夫を重ねたという。

 介護職の山本秀樹さん(49)は「介護百首を見ると『確かにそうだな』と納得できる」。職場に来て2年目の川添桃子さん(30)は「読んで自分の介護が変わったと思う」と話す。坂野さんは「カレンダーを発送した500の施設がこうした介護を目指していると思うと、希望を感じます」と笑顔を見せた。本は「駒場苑がつくった介護百首」(ブリコラージュ発行)。新書判、1760円


人間らしく生きたい。
人間らしく死にたい。

久々の青空。
明日からは、また大きな雪ダルマのマークです。




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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良いお話が嬉しいです (はる)
2023-01-28 01:07:32
怒りを沸かせずに読ませていただける話題で、とても良かったです。
福祉関係の職場というと労働のキツさが容易に想像できて、対象となる人々に対して、ともすると管理的になりがちではなかろうかと思ってしまいます。良いお話を読ませていただきました。ありがとうございました^^
ありがとうございます。 (mooru)
2023-01-28 09:36:39
 もっと待遇を改善し、人員も十分確保しなければ難しいと思いますが、その中でもこうして頑張っておられる施設の皆さんには頭が下がります。人生なのです、「物」ではありません。
Unknown (nerotch9055)
2023-02-13 17:55:03
こんにちは!
これはとても素晴らしいお話ですね。
私の級友たちも、何人か介護の職に就いていますが、現場のご苦労をいろいろと聞いておりました。
寝たきり介護の現状に、もどかしさを感じながらも、人手不足でなかなか難しいと嘆いて
おりました。
本来であれば、日本をここまで豊かな国にしてくれた功労者の方々が、余生をこんな状態で過ごすのは
悲しくなります。
やはり、この国の仕組みを一から作り直して、利権に絡む人々を排除しなければ、いけませんね。

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