で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1212回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『大好きだから』
『猟奇的な彼女』、『ハロー!?ゴースト』のチャ・テヒョンが主演を務め、事故によって他人の身体に憑依しつづけるはめになった青年が起こすロマンティックなトラブルを描く、笑って泣けるファンタジック・ラブストーリー。
故ユ・ジェハの名曲『愛しているから』をモチーフに、愛に素直になれない者たちの心を “愛のメッセンジャー” となるチャ・テヒョン演じる主人公を通して鮮やかに紡ぎあげている。
共演に、『殺人の輪廻』のキム・ユジョン、『怪しい彼女』のソン・ドンイル、『インサイダーズ 内部者たち』のペ・ソンウら。
監督は、『うさぎとリザード』のチュ・ジホン。
物語。
イヒョンは愛する女性ヒョンジュンへのプロポーズを決めた日に、事故に陥ってしまう。
目覚めた彼はなぜか女子高生の体に魂だけが入っており、しかも、記憶を全て失っていた。
その奇妙な言葉をスカリーと名乗る女子高生に知られたイヒョンは、彼女の助けを借りて、記憶を取り戻そうとする。だが、どうやら、体に入ってしまった女子高生はとんでもない状態にあるらしい。
その状態を巡る事態を解決、愛のキューピッドを果たすとイヒョンは女子高生の空だから抜け出ていた。だが、目覚めるとそこはまた自分の体ではなかった。
脚本は、ファン・スンジェ。
出演。
チャ・テヒョンが、イヒョン。
キム・ユジョンが、女子高生のスカリー/ジャンスイ。
キム・ユネが、女子高生のキム・マルヒ。
ソ・ヒョンジンが、歌手のヒョンジュン。
ソン・ドンイルが、刑事のパク。
ペ・ソンウが、学校の担任の先生。
ソヌ・ヨンヨが、老妻。
パク・グニョンが、老夫。
ほかに、イム・ジュファン、チャン・ヒョク、など。
スタッフ。
製作は、チャ・ジヒョン。
撮影は、キム・ギテ。
編集は、キム・チャンジュ。
音楽は、キム・ジュンソク。
プロポーズに行く途中、事故にあった男がなぜか女子高生かつ記憶喪失で目覚めるSFハートウォーミング・ラブコメ。
加えて、音楽もので○○もの、という設定ごった煮の割にすっきりとした語りを素直に楽しめる。理屈より人情で畳みかけることの心地よさで観客をええ気持で帰らせたるという矜持溢れる定食屋映画。こういうご都合主義は受け入れたい。
チャ・テヒョンを筆頭に喜劇寄りの芸達者のあったか芝居に満腹、キム・ユジョンやソ・ヒョンジンなど居並ぶ美女祭りで眼福。
街歩きの途中、ふとストリート・ミュージシャンの素敵な歌声に足止める温作。
おまけ。
原題は、『사랑하기때문에』。
英語題は、『Because I Love You』。
『愛しているから』ですね。
劇中の歌であり、サビの歌詞が、『愛しているから』なので、邦題も『愛しているから』でもよかったのではないか。ラブストーリーっぽ過ぎてコメディっぽくないからだろうけど。
じゃあ、『愛してるので』とか『愛してるからだ』とかでもよかったと思うのでした。
なぜなら、劇中に「大好きだから」って出てこないし、ちょっと合わないエピソードもあるので。
シネマート新宿、シネマート心斎橋にて開催の特集企画「のむコレ」(17年10月28日~)上映作品。
スカリー役のキム・ユジョンが見たことある顔だなぁ、とネットを探ったら、乃木坂46の久保史織里に似ているのでした。キム・ユジョンがこの映画の魅力の一つ。
ややネタバレ。
最後に、歌手のユ・ジェハに捧げられている。
ネタバレ。
悪くない脚本だが、意外と雑で、それは書いている方も自覚している模様。
事故現場にいない後輩にも入るし。
スカリーにわざわざなんで、この人に評したのか、出てこれたのかは不明と言わせているし、愛の軌跡で片づけるおおざっぱさも魅力っちゃ魅力。
最初の妊娠騒ぎは、二人とも出産を望んでいるようなので、イヒョンが入ったことでかってに愛のトラブルになったが、そのまま流れで産んでいるよりも愛の強固な結束が必要だったのかもしれないけど、それは映画からはわからない。
別に、厳密なルールがあるわけではないのだろう。
老夫婦の話は、死に行く人への最後の手向けには認知症が愛の奇跡で治っちゃうし。
スカリーが周りからどう思われているかなどの描写もないのはもったいない。
彼女が一番いいキャラなのに。語り部にもなっちゃうからだろうけど。
まぁ、友達がいない彼女がおっさんの友達が出来たことが解決なのだろう。
キムや担任とは、つながりがなくなるしね。
そもそも、みな、事故現場いたって言われても、だから何? だしね。
ある意味、このゆるさゆえに、コメディとして、ぬるっと楽しめたというジャンルものの強さはあるだろう。
老若男女きっちり出していることで多様化できていたのも。
スカリーとモルダーの『Xファイル』コンビで受けることで、不思議な設定を飲み込ませたのはうまい。
韓国でも、興行は振るわなかった。公開延期などもあったようだし、内容もアイドル押し映画と遜色ないし。
だから、まったくどうでもいいと思う人がいるのも納得の出来ではある。画も弱いし。
古い形式的な押し付けと先に解ありの予定調和の思考停止な内容でもあるから。
キム・ユネの頑張りがなければ、おいらもどうでもいいな、と思ったかも。
スカリーの自転車でのなにげないシーンその一つ。
タイミング次第でこき下ろしていた可能性も高いが、こういう気楽さがはまる時ってあるのよね。