菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

僕らは一日一日を生きている。 『14歳の栞』

2024年05月02日 10時34分49秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2350回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 

 

『14歳の栞』

 

2020年代日本、とある中学校の2年6組の生徒35名と教師の3学期に完全密着、それぞれの物語を拾い上げるドキュメンタリー。

 

14歳の栞 | あらすじ・内容・スタッフ・キャスト・作品・上映情報 - 映画ナタリー

 

 

 

製作年:2021
製作国:日本
上映時間:120分
映倫:G

 

配給:PARCO 

 

 

内容。

2021年日本。
ある中学校の3学期、2年6組に在籍する生徒35人全員に数か月、密着する。
中学2年生という子どもか大人か曖昧な時期、学校が世界のすべてだった生徒たち。
主人公もなく、劇的なドラマもなく、どこにでもいるありふれた35人の生徒たちそれぞれの姿を映し出す。
誰もが経験してきた「あの時期」に立ち返るような120分。

 

企画は、映像を中心に様々なコンテンツを生み出す企画クリエイター集団“CHOCOLATE”の栗林和明。

監督は、短編映画『ハロー!ブランニューワールド』で注目を集めた竹林亮。

 

 

スタッフ。

監督:竹林亮
製作:夏生さえり、永井千晴、大澤創太、長沼千春、氏田雄介
企画:栗林和明
製作指揮:島田研一、上藤和興
ラインプロデューサー:福田文香
監督補:河本永

撮影:幸前達之、米澤佳州子
デザイン:谷川瑛一、保坂夏汀
録音:鈴木泰憲、國分玲

編集:小林譲、竹林亮、佐川正弘、毛利陽平
音楽:adNote
主題歌:クリープハイプ 『栞』

 

 

 

出演。

2年6組の生徒35名
担任教師
副担任教師
生徒の家族

YOU (ナレーション)

 

 

 

 

『14歳の栞』を観賞。
2020年代日本、とある中学校の2年6組の生徒35名と教師の3学期に完全密着、それぞれの物語を拾い上げるドキュメンタリー。
2時間で、35人全員の数か月の冬から春に密着しているのだが、現代でこれができたことの意味こそ問いたくなる。
だって、全員実名で顔出しなのだもの。
だから、映画では冒頭にも終わりでも、宣伝でもSNSでも、再三こう呼びかける。
「この映画に登場する生徒たちは、これからもそれぞれの人生を歩んでいきます。SNS等を通じての、個人に対するプライバシーの侵害や、ネガティブな感想、誹謗中傷を発信することはご遠慮ください。どうかご協力をお願い致します」、と。
ゆえに、ソフト化も配信もされない。
映画勘で見る映画。
そこには、2020年代の14歳のリアルがある。
「一部は全体を表し、全体は一部を表す」という言葉があるが、まさにそれ。
このクラス自体は部分だが、個々の生徒から見ればクラスは全体でもある。そして、このクラスからこの中学校が見えてくるし、中学生が見えてくる。
極めて、個人的なことをつき詰めると、普遍性を持つ。
しかも、それが35人分と35人御関係で映し出される。
日本さえ見えてくるようだ。
企画と製作は、映像やゲームなど幅広い企画制作を行うコンテンツスタジオ<CHOCOLATE>。
監督は、短編映画『ハロー!ブランニューワールド』で注目を集めた竹林亮。
堅苦しいお行儀のよいだけのつくりにしておらず、14歳の気分に寄り添うようなポップなつくりがうれしい。
スタッフは、朝から晩まで生徒に密着して撮影したそう。
ただただ密着しているわけではなく、そのつくりには繊細な配慮がある。
名前をカタカナ表記したり、一人ずつを章立てにしたり、繰り返しによる補足など。
取材や撮影、そのものはまさに被写体とその周囲との信頼関係の構築が重要かつ大切にしたことがうかがえる。
学校、保護者、本人たちが出した許諾にも感嘆してしまうのが、現代なのかもしれない。
それを乗り越えてでも、この映画をつくる意義を見出したこと、それが成されたことを受け取れる。
ちょっとしたいさかい、将来への夢、現在のともだち関係、教育制度への解釈、肉体や内面の違い、それぞれへの理解、受け止めきれないもやもや・・・。どこかが自分に当てはまる。このムズ痒さと包まれる安心感、思い出されるノスタルジーと今の自分の立ち位置。
数年ごとに再上映が繰り返されることにも意味がある、見直すことにもまた。
そして、おくり手もうけ手もこの作品を見た多くの人が愛おしく思っていることもが伝わってくる。
出ている人もその関係者も、なるべくはそうであって欲しいと思う。
たのしくて、さみしくて、きっと、しあわせ。
時がたつほどに味が重なる秘伝のたれのような一本。


 

映画チラシサイト:14歳の栞

 

 

 

ややネタバレ。

プロジェクトは2018年11月に立ち上がる。きっかけは、主題歌にもしているクリープハイプの『栞』をもっと広げたいというユニバーサルミュージックがプロデューサーに相談を持ちかけたことから。

 

竹林亮監督はインタビューで、登下校、給食、授業や部活、私生活に密着を続けるうちに、生徒たちと<共同作業>という意識が生まれたと語っている
(HUFFPOST 南麻理江による特集記事より。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/shiori_jp_604cbd98c5b60e0725f77871)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 週刊少年チャンピオン連載版... | トップ | 記者、戦争のはじまりを撮り... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(公開映画)」カテゴリの最新記事