『ラストワルツ』 島田虎之介
短編の連作かと思わせて、読み進める内に、実は、すべてが一つの物語の一部であると気づかされる。
物語ること、物語られることの持つ強さをじんわりと伝えてくれる。
この世のすべての物語られなかった物語・人生に捧ぐ傑作。
そして、自分の人生もその大いなる物語りの一部であることさえ感じるのだ。
すべての人生は物語である、と。
副題の『シークレットストリーツアー』が意味深い。
島田虎之助の物語を信じようという姿勢に惚れちまったい。
独特の描線、生と死を取り込みながら、人生の不可思議を描く島田虎之介には要注目です。
2002年出版の作品なので、手に入りやすいかと思われますので、一度、手にとって見ていただければ。
『東京命日』も素晴らしいです。
それで、『東京命日』は映画化したい作品でもあるのです。