で、ロードショーでは、どうでしょう? 第954回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ヒマラヤ~地上8,000メートルの絆~』
ヒマラヤの8,000メートル峰14座の完全制覇をアジアで初めて達成した実在の登山家オム・ホンギルが、エベレストで命を落とした仲間の亡骸を回収するためだけに、遠征隊を率いて危険な登山を敢行した感動の実話を映画化。
主演は、『新しい世界』『傷だらけのふたり』『国際市場で逢いましょう』『ベテラン』と韓国映画に欠かせない名優でスターのファン・ジョンミン。
監督は、『パイレーツ』、『ダンシング・クィーン』のイ・ソクフン。
物語。
登山家オム・ホンギルは、アジア初の8,000メートル級14座制覇に挑み続けていた。
残すは二つ。
不足してきたクルー補強の候補として、新人を二人紹介される。
しかし、それはかつてホンギルが山での遭難救助の際に、無茶をして叱り飛ばした学生登山家のムテクとジョンボクだった。
ホンギルは、「こいつらはダメだ」と突っぱねる。
二人は、すがるように「学校も就職も恋人も捨ててきた。戻るところがあるとでも?」と言うが、ホンギルは、「家だ」と二人を追い出す。
帰宅したホンギルを二人が庭にテントを広げて、待ち受けていた。
なぜここにいる?と困惑するホンギルに、二人は「家に行け」と隊長がおっしゃったから、と答えるのだった。
ホンギルは、根気負けし、二人をテストすることにする。
脚本は、スオ、ミン・ジウン。
出演。
ファン・ジョンミンが、伝説の登山家オム・ホンギル。
チョンウが、その弟子の登山家パク・ムテク。
キム・イングォンが、弟子の登山家パク・ジョンボク。
チョ・ソンハが、イ・ドンギュ。
ラ・ミランが、仲間の女性登山家チョ・ミョンエ。
キム・ウォネが、キム・ムヨン。
イ・ヘヨンが、チャン・チョルグ。
イヘヨンが、チャン・チョルグ。
チョン・ベスが、チョン・ベス。
チョン・ユミが、チョン・スヨン。
ユソンが、チェ・ソンホ。
スタッフ。
撮影は、キム・テソン、ホン・スンヒョク。
音楽は、ファン・サンジュン。
実在の伝説の登山家オム・ホンギルとその仲間たちのヒマラヤへのある取り組みを描く実話ドラマ。
山ドラマの中でもそこで見える景色にこだわっており、主観での登山シーンには驚きがある。
ベタ熱の漫画的ドラマが拳を圧し、奥歯を軋ませる。
主演のファン・ジョンミンの魅力が雪を解かす。
涙でホワイトアウトするストレートな熱作。
おまけ。
英語題は、『THE HIMALAYAS』。
『ヒマラヤズ』でヒマラヤ連峰ってことでいいんですかね?
上映時間は、124分。
製作国は、韓国。
映倫は、G。
近年、登山映画大ブームで、2013年のニュージーランド映画『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』、2015年のアメリカ『エベレスト』、2016年の邦画『エヴェレスト 神々の山嶺』、欧州映画『フレンチアルプスで起きたこと』などなど、これもその一本ということになる。
ドキュメンタリーであったり、ディザスター、サバイバルであったりといろいろだが、基本は実話。
今作も実話が基。
日本だけ有名原作のフィクションというのが、今の日本を表しているのかも。
当然。それぞれ、見どころを変えている。
アメリカ映画は、圧倒的な気候と3Dの撮影、再現。
邦画は、スターによるちょっと濃すぎる物語性。
今作では、独特の主観撮影と景色の見せ方。
昨今流行りの主観カメラに上手く特殊撮影を入れ込んで、観客を登山家に変える。
TVクルーが撮影した映像のドラマ的な活用など、映像による語り方にひと工夫ふた工夫がある。
キャッチコピーは、「エベレストに眠る仲間のため、いま、名誉も栄光もない遠征が始まる――」
ややネタバレ。
キャッチコピーや、予告編でも、映画としては、中盤からの展開である、遺体回収登山を押すが、その前に、誰の遺体を、こそ大事なのに
一応、世間に出ている、あらすじを転載。
現役を引退した伝説の登山家オム・ホンギルは、かつて8,000メートル級4座を一緒に登頂した愛弟子ムテクが、エベレストで遭難死したことを知る。ムテクはエベレスト登頂に成功するも、下山中に8,750メートル付近で命を落としてしまう。しかし8,000メートルより高所は“デスゾーン”と呼ばれ、人間が活動することが極端に困難な過酷な場所。ムテクの遺体も、これまでの多くの遭難者同様、その場に置き去りにされたままとなる。しかしホンギルは、ムテクを家族のもとに連れ帰ることを決意。彼の亡骸を回収するためだけに、仲間を集めて遠征隊を結成する。そして、命がけでありながら、記録にも残らず、登頂の栄誉も得られない過酷な登山に挑むべくエベレストへと向かう。
だけど、英語題にもある通り、映画のメインは、その前の友情や山そのものなんだよね。
それがあってこその遺体回収登山であって、そこに実話ならではの切なさが見えてくるのだから。