【俺は好きなんだよ】第1690回
『マローボーン家の掟』(2017)
原題は、『MARROWBONE』。
『マローボーン』。
苗字です。
製作国:スペイン / アメリカ
上映時間:110分
映倫:G
配給:キノフィルムズ
スタッフ。
監督:セルヒオ・G・サンチェス
製作:ベレン・アティエンサ、アルバロ・アウグスティン、ジスラン・バロワ
製作総指揮:J・A・バヨナ、サンドラ・エルミーダ、パロマ・モリーナ
脚本:セルヒオ・G・サンチェス
撮影:シャビ・ヒメネス
プロダクションデザイン:パトリック・サルバドル
衣装デザイン:ソニア・グランデ
編集:エレーナ・ルイス
音楽:フェルナンド・ベラスケス
出演。
ジョージ・マッケイ (長男ジャック・マローボーン/ジャック・フェアバーン)
ミア・ゴス (長女ジェーン)
チャーリー・ヒートン (次男ビリー)
マシュー・スタッグ (三男サム)
ニコラ・ハリソン (母ローズ・マローボーン)
アニャ・テイラー=ジョイ (アリー)
カイル・ソーラー (弁護士ポーター)
トム・フィッシャー (父)
マイラ・キャサリン・ピアス (モリー)
物語。
1960年代末、アメリカ。
母ローズに連れられイギリスからメイン州の母の生家の古い屋敷に引っ越してきたマローボーン家の4人の子どもたち。
彼らは恐ろしい過去と決別し、新しい人生を始めようとしていた。
その矢先、母が病を悪化させ、この世を去ってしまう。しかし、家を手に入れるためには母の死は隠さねばならない。
長男のジャックは母と最後に交わしたある約束を実行し、妹と弟たちを守ると固く決意する。
家族は家中の大きな鏡を恐れ、覆いをする。家からもなるべく離れなかった。
ある日、弁護士から母は家の相続の手続きをしなければならないと言われてしまう。
母を亡くしたマローボーン家の4兄妹が哀しくも恐ろしい運命に立ち向かうサスペンス・ホラー。
『永遠のこどもたち』『インポッシブル』の脚本家セルヒオ・G・サンチェスがJ・A・バヨナの製作総指揮の下、記念すべき監督デビューを飾った。
主演は、『1917 命をかけた伝令』、『わたしは生きていける』のジョージ・マッケイ。
共演に、『スプリット』のアニャ・テイラー=ジョイ、『サスペリア』(2018)のミア・ゴス、『ストレンジャー・シングス』のチャーリー・ヒートン。
圧倒的な脚本力と演技力に加えて、チームの力が発揮された美術の雰囲気が一番の魅力。
ホラーの要素はじわじわと出てくるので、前半はサスペンスと雰囲気を楽しませてくれます。
それを牽引するのがキャラではなく、兄弟の関係性と雰囲気とただならぬ秘密で。
これ日本式脚本作法だと認められないかも。
役者の魅力もそれを成立させている。
クライマックスの映画的な興奮はなかなか味わえないですよ。
ややネタバレ。
好みの台詞。
「花と同じように本にも間引きがある」
ネタバレ。
ジャックが強盗殺人を繰り返していた父(13人殺しのパンプトンの野獣)を告発して、逮捕させた。アメリカに逃げることに。
母は夫が奪った1万ポンドを持ってきてしまう。
母が死んだ後、相続のために隠していた金を取り出す。
屋根裏部屋に金を隠す。
脱獄した父が、アメリカに逃げた家族を殺しにくる。
ジャックが父と格闘して気を失っていた間に父は屋根裏部屋で次男三男長女を殺すが、屋根裏部屋から出られなくなる。
ジャックは、扉を開けられず、そのまま父を閉じ込める。
弟妹を助けられず、父とともに閉じ込めた形になったことで、気を病んだジャックは弟妹の人格を自分の中に発生させる。
父はその声がしなくなるまで放置する。
ジャックは、父の死後、父の亡霊(妄想として)も発生させる。(それをゴーストと呼ぶが、それは父であり、弟と妹たちでもある)
だが、実際に父は生き続けていた。
鏡を見るとそこに自分しかいないのに気づくため、覆いをしていた。
家からなるべく出ないようにしていたのも説明できないから。
母が死んだあとからは、主に3つの時間軸で全体が構成されている。
母が死んだ後に父が襲ってくるまで、と、父が襲ってきてジャックが多重人格になってから、と、クライマックスの父が襲ってきたとき、と、ポーターが1万ポンドを要求したあと。
間に、それはジェーンが父の襲撃に気づく時間軸を一度挟んだだけで不気味さを発生させている。
過去と現在のカットバックのサスペンスのシークエンスが素晴らしい。