菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

聖林と摩天楼の夜に抱かれて。  『カフェ・ソサエティ』

2017年05月17日 00時00分56秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1089回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

『カフェ・ソサエティ』

 

 

 

 

ウディ・アレンが、1930年代のハリウッドとニューヨークを舞台に、華やかな世界に憧れた素朴な青年の成長とほろ苦い恋を描くロマンティック・コメディ。

 

 

 

物語。

1930年代のハリウッド。

業界の大物エージェントとして活躍するフィル・スターンに、ニューヨークの姉から電話があり、息子のボビーがハリウッドで働きたいというので面倒を見て欲しいと頼まれる。

ニューヨークのユダヤ人であるボビーの家は父マーティを家長として宝石加工業を家業としていた。隣家にボビーの姉エヴリンとその夫で共産主義者の義兄レナードが住んでいた。そして、ボビーに優しい長兄のベンは表向きはナイトクラブを経営しているギャングだった。

家の仕事を手伝っていたボビーは、先が決まったかのような自分の道から逃れるために、ハリウッドを目指したのだった。

ボビーはフィルおじさんの雑用の仕事をすることになる。

フィルは、秘書のヴェロニカに、ボビーへ街を案内するよう申し付ける。

ボビーは、LAの気候、フィルおじさんのセレブとの仕事、ハリウッドの豪華さにあてられ、女優志望だったヴォニーにすっかり心奪われる。

だが、ヴェロニカにはワケありのジャーナリストの恋人がいた。

それでも、あきらめきれずにボビーは彼女にアタックし続ける。

 

 

 

 

 

出演。

ジェシー・アイゼンバーグが、素朴なニューヨーカーのボビー。

ウディ・アレン作品は『ローマでアモーレ』に続き、2本目。

やっぱりウディ・アレンっぽくなってます。

 

スティーヴ・カレルが、俳優エージェントでおじのフィル・スターン。

この濃さと時代へのなじみの芸達者ぶりがさすがです。 

 

クリステン・スチュワートが、秘書のヴェロニカ(ヴォニー)。

久々のオーディションで役を掴んだそうで、『アドベンチャーランドへようこそ』の演技がウディ・アレンのお気に入りなんだとか。

 

ブレイク・ライヴリーが、ニューヨークのヴェロニカ。

ちょっと人形的な役です。

 

ジーニー・バーリンが、母のローズ。

コリー・ストールが、兄のベン。

サリ・レニックが、姉のエヴリン。

ステファン・クンケンが、エヴリンの夫レナード。

シェリル・リーが、フィルの妻カレン・スターン。

ケン・ストットが、父のマーティ。

 

パーカー・ポージーが、モデル事務所の社長のラッド。

 

 

 

 

 

スタッフ。

製作は、レッティ・アロンソン、スティーヴン・テネンバウム、エドワード・ウォルソン。
製作総指揮は、ロナルド・L・チェズ、アダム・B・スターン、マーク・I・スターン。

 


撮影は、ヴィットリオ・ストラーロ。

伝説の名撮影監督との初のタッグで、夜の室内に新しいルックが加わりました。

しかも、本人も初めてのデジタルカメラによる撮影で、今作をデジタルで撮影しようと自らウディ・アレンを説得したんだそう。

使用したカメラは、Sony CineAlta F65とPMW-F55だそう。

 

 


プロダクションデザインは、サント・ロカスト。 

衣装デザインは、スージー・ベンジンガー。

シャネルが一部の服を提供しています。

眼福。

 

 

編集は、アリサ・レプセルター。

 

 

 


1930年代のハリウッドとNYの虚飾の夜の世界を素朴な青年(とその家族)の成長と恋を通して描く大人のドラマ。
『ラジオ・デイズ』+『ミッドナイト・イン・パリ』的お話で、ナレーションをウディ・アレン自らやっていることもあって、おじさんに子供の頃聞いたような雰囲気。

どこか『ラ・ラ・ランド』の原作みたいな匂いあり。
何度目よ?的なジェシー・アイゼンバーグとクリステン・スチュワートの映画的歴史もスパイス。
現代的キャストの中で馴染んでしまうスティーブ・カレルの才。
人生のミルフィーユと恋の飴細工を味わうアラカルトな灯作。

 

 

 

 

 

 

おまけ。

原題も、『CAFE SOCIETY』。

ネットによると、【カフェ・ソサエティ】とは、1930~1950年代にレストランやナイトクラブによく出入りしていた、映画スターやスポーツ選手などの有名人たちとその社交界のこと。

アメリカのジャーナリストのLucius Beebeによる、1920~1930年代のNew York Herald Tribune紙のコラム記事での造語、とのこと。

1938年には、公人も白人も入れるナイトクラブその名も【カフェ・ソサエティ】がニューヨークにオープンしている。

 

 

 


上映時間は、96分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、G。

 

 

 

キャッチコピーは、「ひとりの男とふたりのヴェロニカ」

嘘ではないけど、この映画の中心はそこではない。

ヴェロニカに街を重ねたのかもしれないけど。
でも、「一人の男、二つの街、二人の女」でよかったと思う。

「昼のハリウッド、夜のニューヨークで二人のヴェロニカに出会った」もしくは、「1930年代、青年はハリウッドとニューヨークで夜の顔を知る」てな感じはどうかしら。

 

 

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ。

ウディ・アレンと二人三脚で映画を作ってきた映画プロデューサーのジャック・ローリンズ(アレンの元マネージャーで、45年もの間共同製作をしてきた)が2015年に100歳で逝去。

なので、『カフェ・ソサエティ』のフィルは、彼のイメージなのかも。

 

 

 

不思議なもので、物語とテーマが『ラ・ラ・ランド』と『ムーンライト』にどことなく似ている。

新人監督の作品と大ベテランの作品の要素が似ているのはなぜだろう?

アメリカが持ち続けているノスタルジーなのだろうか。 

 

最初の娼婦のネタから考えると、もしかすると、NYのヴェロニカは実は元高級娼婦なのかも。

 

 

 

 

 

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