で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1996回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『PASSION』(2008)
結婚間近の男女とその友人たちが揺れ動く日々を描く群像劇。
映画作家・ #濱口竜介 の名を世界に知らしめた初期の代表作。#東京藝術大学大学院映像研究科 修了作品。
物語。
結婚を間近に控えた一組のカップル。仲間の祝うパーティーの席上で、期せずして男の過去の浮気が発覚する。男と女は別れ、それぞれの夜を過ごす。等身大の20代終盤の男女が、夜の横浜を舞台に繰り広げる軽佻浮薄な恋模様、にも形而上学的な愛に関する考察、にも見える。彼らの辿り着いた結論に対して起こるのは感動か、嘲笑か。
出演。
河井青葉
岡本竜汰
占部房子
岡部尚
渋川清彦
スタッフ。
監督:濱口竜介
プロデューサー:藤井智
脚本:濱口竜介
撮影:湯澤祐一
照明:佐々木靖之
録音:草刈悠子
美術:安宅紀史 岩本浩典
編集:山本良子
助監督:野原位
『PASSION』(2008)を鑑賞。
現代日本、結婚間近の男女とその友人たちが揺れ動く日々を描く群像劇。
濱口竜介 の名を世界が見つけた初期の代表作。東京藝術大学大学院映像研究科の修了作品。
脚本の面白さがすでにある。ゲーム性や構成の甘さと言いたいことが前に出過ぎているところや意図が強い部分はある。
演技的な提案はまだないが、そこがない分、作家としての芯の味が見えてくる。その片鱗をまるで前後を削除したかのような教室シーンの生徒の演技に見る。
それは、会話の面白さがある。すでに世界レベルの。ただし、会話の扱いの難しさがまだこなれてない。そのことで、役者の技量の差が目立ってしまう。2008年代のはずが、どこかトレンディドラマのよう。これは年齢的なものかね。
シーンごとの芝居のムラがある。これは作品によっては今もあるけど。そのことでフィクションを際立たせる。
いくつか、撮影の残念さが際立つ。だが、堂々たるロケ地や長回しなど印象的で、映画的なシーンがあり、脳裏に焼き付く。これは凄まじいことだ。
それらは、よくできているからこそそういうところが気になってしまうレベルということだ。
恋愛感情と暴力の並べ方にはお子だけ取り出して話たくなる魅力的なテーマ。そして、それはそのままタイトルにつながってもいる。
作家は初期作に熟練することを改めて思い出す煙作。
おまけ。
『PASSION』は『情熱』。
すでに世界を見たタイトルともいえる。
2008年の作品。
製作国:日本
上映時間:115分
新しい下北沢の映画館シモキタ・エキマエ・シネマ"K2"の開館での特集<言葉と乗り物>にて鑑賞。