で、ロードショーでは、どうでしょう？ 第９２２回。
「なんか最近面白い映画観た？」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『クリーピー 偽りの隣人』
第15回日本ミステリー文学大賞新人賞に輝いた前川裕のベストセラー『クリーピー』を黒沢清監督が映画化したミステリー・スリラー。
犯罪心理学者の主人公が、謎めいた隣人によって妻との平穏な日常を浸食され、いつしか深い闇へと引きずり込まれていくさまをミステリアスに綴る。
物語。
刑事、高倉は、ある事件をきっかけに、刑事をやめる。
大学で犯罪心理学を教えるようになった高倉は、郊外の一軒家に引っ越し、妻・康子と二人、穏やかな新生活をスタートさせる。
ある日、彼は、元相棒の刑事の野上から６年前に起きた未解決の一家失踪事件の分析を依頼される。
一人だけ残された長女・早紀は健在だったが、彼女の当時の記憶は曖昧で、事件の核心にはなかなか近づくことができない。
そんな中、高倉と康子は、謎めいた隣人・西野の不可解な言動に次第に振り回され始め…。
原作は、前川裕 『クリーピー』（光文社刊）
脚本は、黒沢清と池田千尋。
出演。
西島秀俊が、元刑事の大学教授の高倉幸一。
竹内結子が、妻の高倉康子。
香川照之が、隣人の西野。
藤野涼子が、女子中学生の西野澪。
最所美咲が、母の西野多恵子。
東出昌大が、元相棒の刑事の野上。
笹野高史が、刑事の谷本。
川口春奈が、残った長女の本多早紀。
戸田昌宏が、助手の大川。
馬場徹が、松岡。
スタッフ。
製作総指揮は、大角正。
エグゼクティブプロデューサーは、黒田康太。
プロデューサーは、深澤宏、住田節子、赤城聡、石田聡子。
撮影は、芦澤明子。
照明は、永田英則。
素晴らしい不穏さ。
美術は、安宅紀史。
装飾は、山本直輝。
こういった冒険が映画を面白くします。
助監督は、海野敦。
スクリプターは、柳沼由加里。
編集は、高橋幸一。
録音は、島津未来介。
音楽は、羽深由理。
音楽プロデューサーは、高石真美。
英語題は、『CREEPY』。
ぞっとするような、気味の悪い、という意味。
上映時間は、130分。
製作国は、日本。
映倫は、G。
キャッチコピーは、「あの人、お父さんじゃありません。全然知らない人です。」
副題とキャッチコピーでネタバレしても、ほぼ関係ないのが、黒沢清作品の強みですね。
ネタバレ。
小説の元ネタはたぶん北九州で起きた最悪の事件の一つの家族監禁殺人事件。
映画はかなり脚色している。
教授は元刑事ではないとか。
謎の隣人もそうだが、刑事もおかしいし、犬が襲ったのに、残り物のシチューをもっていくあたり、妻もどこかおかしい。
世界が静かに狂っていくのが黒沢清世界の魅力なので、そのズレを楽しめない向きに狂ってるとしか思えない変な映画だろうとも思う。
コメディであると気づいてないでコメディにするあたりも。（特にあの薬とか）
デビッド・リンチと似たタイプ。
黒沢清世界としては愉快でしたが、人を操る怪隣人のリアルサイコサスペンスを見たくもなった。
『冷たい熱帯魚』が見たくなった。
