で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1562回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『シークレット・スーパースター』
少女が強権的な父親に怯えながら、顔を隠して歌を歌い、その才能を解放していくが、そのことで母や家族との関係が変わっていきつつも夢に立ち向かっていく姿を、インドの社会問題を盛り込みつつ、エンターテインメント色を失わず、感動的に描き出す青春音楽ドラマ。
『きっと、うまくいく』、『PK ピーケイ』、『ラガーン』、『ダンガル きっと、つよくなる』のアーミル・カーンが脚本に惚れこみ、製作を買って出て、出演もして、これまた大ヒット(インド映画歴代興行収入第3位)を記録した。
主演は、前作『ダンガル きっと、つよくなる』で主人公の娘役(姉ギータの子供時代)を演じて高い評価を受けたザイラー・ワシーム。
監督と脚本は、これが初監督作となるアドヴェイト・チャンダン。
物語。
インシアは、インドに暮らす14歳の少女。歌が好きで将来は歌手になるのが夢。
だが、女性蔑視の慣習と、強権的な父親の暴力に母親と2人で怯える日々を送っていた。
ある日、インシアはついに父親から学業の邪魔になるからと歌うことを禁じられてしまう。
ブルカで顔をほとんど隠してのパフォーマンスをした動画をYouTubeにアップする。
これを見つけたトラブル続きの音楽プロデューサーのシャクティはとりあえず唾をつけようとする。
出演。
ザイラー・ワシームが、インシア。
メヘル・ヴィジュが、母親のナズマ。
ラージ・アルジュンが、ファルーク。
カビール・サジードが、グッドゥ。
ファルカ・ジャファルが、大おば。
ティルト・シャルマが、チンタン。
アーミル・カーンが、シャクティ・クマール。
モナ・アンベガーンカールが、シーナ・サバワラ。
マヌー・シャルマが、ランジート。
ニキータ・アナンドが、先生。
サロニ・メタが、教師。
シャマス・マズムダールが、アリ。
モナリ・タクールは、本人。
シャーンは、本人。
スタッフ。
製作は、アーミル・カーン、キラン・ラオ、アカーシュ・チョーラ。
撮影は、アニール・メータ。
音楽は、アミット・トリヴェディ。
現代インド、少女が強権的な父親に母と怯えつつ、顔を隠して歌った動画が引き起こす関係の変化を描き出す青春音楽ドラマ。
インド映画のエンターテインメント力に仰け反る。歌舞部分はリアルに落とし込み、がっつり社会問題と青春を描き出す。
大スターのアーミル・カーンが製作を引き受け、大ヒット(インド映画歴代興行収入第3位)を記録。
ザイラー・ワシームの魅力をさらに輝かせる全キャスト、特にメヘル・ヴィジュに拍手。脇キャラ愛も溢れている。
アーミル・カーンも最高のスパイスになっている。
いわゆる才能があればなんとかなる物語に終わらせない広がりに胸が焦げるほど締め付けられる。
音楽も素晴らしいが、抑制が効いており、歌が待ち遠しくなるほどドラマをじっくり描く。150分はあっという間。
映画を見たなぁという気分させてくれるインド映画の力に嘆息。映画館でみなと見る喜び、大きな音で見る楽しさに溢れまくりで、登場人物たちに心が勝手に応援上映ですよ。
縁伸ばした力持ちに気づかされる弦作。
おまけ。
英語題は、『SECRET SUPERSTAR』。
『秘密のスーパースター』。
上映時間は、150分。
製作国は、インド。
映倫は、G。
受賞歴。
2018年のフィルムフェア賞の批評家選出による最優秀主演女優賞(ザイラー・ワシーム)が、助演女優賞(メヘル・ヴィジュ)、最優秀吹替女性歌手賞(Meghna Mishraが『Nachdi Phira』で)を、受賞。
2018年のインド国際映画芸術院アワードにて、助演女優賞(メヘル・ヴィジュ)、最優秀吹替女性歌手賞(Meghna Mishraが『Main Kaun Hoon』で)を、受賞。
2018年のジー・シン・アワードにて、Jury's Choice Award 最優秀新人監督賞(アドヴェイト・チャンダン)、助演女優賞(メヘル・ヴィジュ)、最優秀仇役賞(ラージ・アルジュン)、最優秀音楽賞(アミット・トリヴェディ)を、受賞。
そのほか、多くの賞を受賞。
ザイラー・ワシームは、今作の後、インド大統領ラーム・ナート・コーヴィンドからナショナル・チャイルド・アワードにて偉業達成賞も授与されている。
キャッチコピーは、「私には、歌がある。」。
ネガティブさも感じさせつつ、ストーリーの展開を後押しています。
上映可数が少ないので劇場は満杯で、泣き声に覆われまくりです。
新宿ピカデリーは『バーフバリ』以来インド映画推しなので、『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』、『KESARI ケサリ 21人の勇者たち』と連続して公開されてます。
ややネタバレ。